第4話、心配だけど仕事をする、まんじゅう先生
第4話、心配だけど仕事をする、まんじゅう先生
洞窟の大きな広場に、男2人と女1人を囲む大勢の男たち。
囲んでいる男たちのボスらしい男が3人に言う。
「何者なのかは知らねえが、たった3人で俺たち山賊団タイタンの牙に挑むとは、身の程知らずな連中だぜ。生きて帰れると思うなよ。」
と、3人に武器を構えて言う。
3人の一人、タキシードを着た眼鏡をかけたダークエルフが言う。
「姫様、我々が時間を稼ぎますので魔法攻撃をお願いします。行くぞウルフ。」
「テメーに言われなくても、わかってるよセバス、じゃあ頼むぜサファイア。」
大きな剣を担いで鎧を着た獣人の男が、女に笑顔で手を振りながら前に出る。
タキシードを着たダークエルフの男は、セバス。
獣人の鎧を着た男は、ウルフ。
女は姫で、サファイア。
「うりゃー!」
ウルフが剣で力任せに山賊たちを薙ぎ払う。
木の葉のように舞い散る山賊たち。
セバスは山賊の1人に急接近して手刀を叩き込む。
力で強引に戦うウルフと1人ずつ確実に倒すセバス。
対称的な戦闘スタイルだ。
「なんだ、こいつら……」
山賊たちは驚き、包囲が崩れる。
だが、この2人の攻撃は時間稼ぎだ。
本命のサファイア姫の魔法詠唱が終わる。
「いくわよ、ファイアーマシンガン!!!!」
「ズガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と魔法の連射音を書いていく、まんじゅう先生。
まんじゅう先生の作品は連射音が長いのが有名で、長い時だと数十ページも連射音で書かれている作品もある。
編集長、正気の沙汰じゃないな……
今書いてる作品は、残念プリンセスの勘違い珍道中、という作品だ。
嫌な隣国の王子と結婚したくないサファイアは、国から逃げ出したのだが、騎士団長のウルフと執事のセバスはサファイアが身分を隠しての世直し旅だと勘違いしている。
それで旅の先々で事件を解決していく物語だ。
「ふンゴーーーーーーー!」
肩をコキコキと鳴らしながら一息つく理恵。
テレビを付けると優が巻き込まれた事件が報道されていた。
死者7名、重軽傷者が多数の大事件だった。
優が生存者の中で1番の大怪我で、右腕と右足を切断しないと命にかかわるくらい酷い状態だった。
優と面会できなかったが、母親から凄く感謝された理恵。
理恵の応急処置のおかげだ。
マンションの近くや道路、病院、学校にも多くのマスコミがいて、取材をしていた。
一気に日常が変化してしまった。
明日、優と面会できるそうなので、理恵は時間を作っていくと母親に言っておいた。
「さて、仕事を頑張るンゴねえ……」
優に会いたいけど見たくないような、複雑な気持ちの理恵。
考えを振り払うように、仕事を頑張るのだった。
続く