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欠損少女  作者: 同時斬
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第34話、何気ない距離

第34話、何気ない距離




 優もクラスの皆も、この日のために体を作ってきた。

とはいえ、それでも優の体のことを考えると、何度も挑戦できるものでもない。

医者からも……


「何度も挑戦できませんな、おそらく2回目以降は達成できるか難しいですね。」


と言われる。

失敗許されないが、台本では何度も失敗することになっている。

番組スタッフとアイドルが集まって、どうするか話し合った。

話し合いが終わって優たちの所にスタッフの1人が来て言う。

ワザと早い段階で引っかかってスタミナを温存して欲しいとのこと。

そんな演技を素人の優たちが出来るはずもない。


「そんな手抜き出来ません、私もクラスの皆も全力でやります‼」


と、優が答えてクラスの皆も同意する。

スタッフが説得をこころみるが、優たちの意志は変わらない。

これは、優が始めた頃から決めていたことだった。




 前回マリリンの問いに優が即答する。


「全力で目標に頑張りたいです。中途半端にやっても成功しないと思うんです。私は皆と以前のような関係になりたくて今回の話を受けました。右腕と右足を失くしたので完全に以前のようにはなりませんけど……でも、皆との関係は以前のようにしたくて、遠慮えんりょあわれみなどなく、気兼ねなく関係、何気ない距離にしたいんです。皆と一緒に目標に全力で頑張れば、なれるような気がするんです。」


優の、その言葉は迷いなく力強かった。

その意志の強さを理解したマリリンは……


「分かったわ。なんとかしてマリリンたちを番組にねじ込みましょう。出来るかぎり優ちゃんをサポートしてあげるわ。」


『マリリンの万能感が、半端ねえなあ。』


と思う紫はんぺんだった。

それから優とクラスメイトたちは一緒に練習をする。

特に、スタミナを付けることを重点的に行った。

そして……




 時間は生放送の時に戻る。

番組スタッフたちの判断で縄跳びを回す専門の人たちに、ワザと縄を引っ掛けるように回せと指示を出した。

指示に従い頷く専門の人たち。

優やクラスメイトたちも指定の位置につき、準備が整う。

そしてスタジオから指示が出て中継がこちらに来て、生放送の長縄跳びが始まる。




 学校の屋上。

一人の男が校庭で長縄跳びの挑戦をしている優を見つめていた。


「おう、ここにおったんか。」


浜口が屋上に現れて、男に声をかける。

男は浜口に気付いたが、振り向きもせず優を見つめ続ける。

構わず浜口は話を続ける。


「なんとか最悪の事態は回避できたで。まあ優ちゃんが酷いことされそうやったらマリリン全員で大乱闘して番組ぶち壊すつもりやったけど、縄を回す奴らもマリリンやからな、指示に従うフリして全力でやる手筈通りや。あとは優ちゃん次第やな。でもよ、お前もっと近くで応援したっても、ええんとちゃうか?自分の娘の頑張る姿、近くで応援したれや。」


男は優の父親だった。

父親は優の頑張りを見つめながら浜口に言う。


「いいんですよ、これで……いつもすみませんね、優との会話を優先的に俺に回してもらったり、あの子の身の回りの面倒な事を……」


「まあお人好しの連中が好きでやっとることや……あっ‼」


優が長縄に引っかかって転んでしまう。

30回以上跳んだところでの失敗。

だが、優は諦めない。


「ごめんなさい、みんな。」


「いいって。」


「もう1回、頑張ろう。」


クラスメイトたちも挑戦を諦めていない。

再び50回跳ぶ挑戦に挑む。

それを見て父親は観るのを辞めて屋上から立ち去る。


「もう大丈夫でしょう、あの子の事を、これからもよろしくお願いします。」


父親が去った後に優は挑戦を成功させる。

優とクラスメイトたちが一緒に喜んでいるところに、まんじゅう先生も混ざる。


「やったンゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!よかったンゴーーーーーーーー!!!!!!!!!!!」


番組スタッフに捕まった先生が追い出されるのだった。

先生……




続く

















 



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