第30話、小説の設定を考えている時が1番楽しい
第30話、小説の設定を考えている時が1番楽しい
優の両親は離婚している。
それについては、第2話の時に小さな時の優が言っていた。
それからは母一人子一人で生活していた。
そして優は事故に遭い右腕と右足を失ってしまう。
優は大変辛い思いをしていたが、もちろん母親も辛い思いをしていた。
日々の仕事、マスコミの対応、事件の対応、保険や裁判やPTAなど……
ノイローゼになっても不思議ではないし、自殺していたかもしれない。
もし母親が居なくなっていたら、優は……
「実は、まんじゅう先生に相談される前から優ちゃんを助けるために、沢山のマリリンたちが連携して裏方で助けていたんだ。」
と、ヤクザのマリリンが珈琲ゼリーを口にしながら話す。
「優ちゃんの周りにいたマスコミ、結構早く居なくなっただろ?」
「そう言えば先生もツブヤイターで気にしてたお【第11話参照】。」
「マスコミに政治家の汚職事件や有名女優のスキャンダルの情報を流したからなあ。」
「そんな事してたのかお!?」
レアチーズがチョコレートパフェを頬張りながら、マリリンの話に驚く。
「他にも有名な弁護士を紹介したりな、まあ弁護士もマリリンの一人なんだが……【第10話参照】。」
「マジかよ……」
紫はんぺんも珈琲を飲みながら驚く。
「優ちゃんの父親は元アダルトゲームのシナリオライターだった。今は以前書籍化したアダルト小説の担当だがな【第23話参照】。」
「あの書籍を書いたのが、お父さんだったのか……」
「働いていた会社も経営が苦しくて倒産してな、生活が苦しい時に魔が差してな……仕事したことのある声優さんと……」
それがバレて離婚になった。
その時の離婚の条件に、二度と娘と自分の前に現れないで、と言われたそうだ。
「養育費は、もう貰ったから、これは要らないと断られたがな……」
マリリンが優ちゃんの、お母さんに渡そうとした封筒だった。
マリリンは分厚い封筒をテーブルに投げ置く。
中には1万円が札束で複数あった。
父親のアダルト小説の印税だろう。
「まあ、別の形でも手助けできるか……義手の開発の寄付とかな。」
「依りを戻すとか、無理なのかお(。´・ω・)?。」
「無理だな、優ちゃんのお母さん再婚しようとしていたからな。」
「「ええええええええええええっ!!!!!!!!」」
レアチーズと紫はんぺんは、この初情報に驚く。
実は伏線は、あったのだけどね。
第3話で優が事故に遭う前に、母親と高級レストランに行く話を先生にしていた。
この時に母親は再婚相手を優に紹介する予定だった。
だが、優の事故がきっかけに……
「本当に大変だったんだよな、裏方は……この事は絶対に優ちゃんに言うなよ。」
「分かっているお(._.)。」
「優ちゃん責任感じるだろうしな。」
「ちなみにレアチーズは父親に会っているぞ、先生と経費で遊園地行っただろ?その時のタクシー運転手が父親だぞ【第17、18話参照】。」
「そうだったのかおΣ(・ω・ノ)ノ!」
場所などの準備はマリリンがやっていたので、仕込むのは簡単だった。
遊園地のスタッフにも多くのマリリンが居たのだが……
「まあ、これからも裏で優ちゃんを手助けするつもりだから、邪魔はするなよ。あと、ここの支払いは俺がしといてやる。」
「なあ、どうしてそこまでしてやるんだ?」
紫はんぺんがマリリンに尋ねる。
確かに優ちゃんは可哀想だが、みんなでどうしてここまでするのか?
「全てのマリリンが手を貸してるわけじゃないさ。俺や手を貸してる連中は、好きで手を貸してるだけさ。育児放棄するヤツの多い世の中で、例え会えなくても父親らしいことしたいアイツのためにな。」
そう言ってマリリンは喫茶店を出ていった。
色んなことが分かり、暫く考えと気持ちの整理のために黙って考えこむ。
帰りに二人は、取り敢えずマリリンの書いた本を三冊買い、ついでに売られていた、まんじゅう先生の新刊を一冊買うのだった。
続く