第28話、優の選択
第28話、優の選択
優は、まんじゅう先生と一緒に三者面談を受けることにした。
進路希望のプリントには、マリリンに紹介してもらった私立の高校の名が書かれていた。
それを担任の先生に渡す。
「ここを受けるのですか……」
「はい、学費が高いのは知っています、なので推薦を狙いたいと思います。」
「でも、君の学力では……」
担任の先生は渋い表情をする。
優の学力で推薦は無理なのだろう。
まんじゅう先生は、優ちゃんなら出来るンゴーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!と叫びたいのだが、猫かぶりモードで我慢する。
優の迷惑になりそうだから。
でも、優もたくさん考え悩んで選んだ答えなのだ。
力強く言葉を続ける。
「無理かもしれません、でも可能性があるのなら挑戦してみたいんです。生きていれば可能性はゼロじゃないと示してくれた人や陰ながら応援してくれた人、無理矢理元気づけてくれた人、日常を支えてくれた人など、いつかは分からないけど御礼がしたいです。それがどんな形になるのかわからないけど……ただ、こんな私でも誰かに同じように手助けできたらいいな、と思いました。具体的には決めていませんが、将来はそんな風になりたいです。」
「優ちゃん……」
驚きながら優を見つめる、まんじゅう先生。
優と4人のREINのやりとりは、決して無駄ではなかった。
まんじゅう先生の奇行も、多分……少しくらい役に立った……のかな?
「優ちゃーーーーーーーーーーーん!!!!!!!!」
まんじゅう先生が優に抱き付く。
嬉しくて猫かぶりモードが解けていた。
優も、いきなり抱き付かれて戸惑う。
「せ、先生⁉」
「凄いンゴーーーーーーー!!!!!!!!!良かったンゴーーーーーーー!!!!!!!!!好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き好き!!!!!!!!」
よくわからないが、まんじゅう先生は、どうやら安心して喜んでいるのが、なんとなく理解できた。
優も嬉しく思う。
担任の先生は、完全に蚊帳の外だった。
教室の扉が開き、慌てて女性が入ってくる。
「遅くなりました。」
「あっ、お母さん。」
優の母親が遅れて三者面談に駆け付けた。
数十分前に遡る。
校舎裏で優の母親とヤクザの男が話し合っていた。
口論にはなっていないが……優の母親の方がきつい言葉を使っていた。
男は母親に分厚い封筒を渡そうとしていたが、断られたようだ。
最後は、母親が頭を下げて行ってしまう。
レアチーズと紫はんぺんは離れすぎていたのか会話の内容は聞き取れなかった。
「何を話してたのかお(。´・ω・)?」
「聞こえなくても、予測は出来るがな……」
紫はんぺんは茂みから姿を現し、ヤクザの男に話しかける。
「アンタ……マリリンだろ?」
ヤクザの男は紫はんぺんの姿を見て驚く。
「お前、紫はんぺん……あっ‼」
咄嗟に口を噤む男だったが、もう遅い。
確信した紫はんぺんが、更に続けて言う。
「正確には、複数いるマリリンの一人だな?」
続く