第10話、変酋長登場
第10話、変酋長登場
最近は優の部屋の方で晩御飯を食べる理恵。
始めは優の怪我が心配で来ていたのだが、レアチーズの作った動画を見てから自分でも考えて工夫しているようで、既に理恵よりも料理は上手くなっていた。
まあ、少しは理恵も料理も手伝うが……
「海鮮丼うんめえええええええええええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
と優の作った海鮮丼をガツガツ食べてる理恵。
美味しそうに食べてる理恵を見て、優も嬉しそうだ。
優は母親の夕食を保存状態にしてから、食事を取る。
「お母さんは、今日も帰りが遅いンゴ(。´・ω・)?」
「はい、今日は弁護士事務所に行ってます。」
優が事故にあってから、母親は仕事以外にも忙しくなった。
優の保険、事故後の対応、マスコミの対応、PTAや学校とのやり取りなど、毎日遅くまで出かけていた。
過労で倒れても不思議ではないだろう。
もし理恵が居なければ優が責任を感じて、どうなっていたか……
「でも、最近紹介してもらった弁護士さんたちが凄いって、お母さんが言ってました。おかげで色々と楽になったそうですよ。」
「へ~、何か大きな事件でもやってた?」
「確か花札作ってる会社の弁護士やった時に、相手の会社に33億円払わせたところだそうです。」
「ぶふおっ‼」
驚いて海鮮丼を喉に詰まらせる理恵。
それ世界最強の弁護士軍団だよ。
まあ、これで大人の面倒な事で優が困ることはなさそうだが……
優が少し食べ始めると、玄関のチャイムが鳴る。
「あっ、はーい。」
優は松葉杖を使わないで、左腕と左足のみで玄関まで行く。
部屋の中くらいなら、動くのに慣れた感じだ。
理恵は味噌汁を飲んだ。
「はい……まんじゅう先生ですか?御飯食べてますけど……はい、せんせーーーー浜口さんって人がいらっしゃいましたよーーーー。」
「ぶふうーーー!!!」
飲んでいた味噌汁を吹き出す理恵。
汚いなあ。
理恵は食事も途中でベランダの窓を開けて逃げ出す。
「えっ、先生ここ7階ですよ⁉」
「ベランダを渡って自分の部屋に戻るだけだから、平気ンゴ。」
と言っているが、隣のベランダまで距離が空いてるタイプのベランダなので、落ちたら確実に死ぬ。
理恵の行動を見て、驚く優。
優に招かれて入ってきたガタイのいい男が、優をかわして理恵に飛び掛かる。
「逃がさへんで‼」
男は、ラグビーのタックルのように理恵を捕まえる。
体当りされた時に、理恵の体が鈍い音を出した。
「痛いンゴ!!!ヤバイ音がしたンゴ‼ゴキッてなったンゴ!!!!」
床で、転がりまくる理恵。
男は押し入れから布団とロープを出して、理恵を簀巻きにする。
「テメー、浜口コノヤローーーーーー!!!」
「締め切り守らへん先生が悪いんやで、自業自得や。」
理恵を逃げられないようにしてから、浜口は優に挨拶する。
「ワイは、こういうもんや。」
と言いつつ、浜口は優に名刺を渡す。
「松書房、ネット小説部門担当編集長、浜口武さんですか。」
優は名刺を見ながら考える。
「何処かで聞いた出版社なんですよね、何だったかな?」
「…………………………太った女子高生と顔の長い女子高生が、よく破壊する出版社や。」
「あーーー!」
優は思い出したようだ。
おそらくアニメが流行した時に、優も見たのだろう。
だが……
「編集長が自社の説明であれを出すのは、いかがなもンゴねえ……」
「やかましいわ‼」
ちなみに、先生の射精……もとい、連射音を数十ページに及ぶのを採用したのは、この浜口だった。
うん、編集長というより変酋長のほうが正しいのかもしれない。
続く