ご招待
(-_-)zzz
「ヘリアさんヘリアさん!さっきの、熊をぐさぐさーってしたのはどんな魔法なんですか!?」
「そういえば私も気になっていたのだ。あのような魔法は見たこともない。よければ教えてくれないか?」
現在俺は、馬車内で質問攻めに遭っています。
「あ〜、えーと、アレは厳密に言えば魔法というよりは魔力を使った剣技で・・・」
この質問で既に5つ目だ。娘が質問すると確実に父も話に乗ってきて、両方に伝わる説明をしなきゃならないのが結構大変なのだ。馬車に乗ってから町までの道の半分を進んだ程度なのに、精神的にはもうクタクタになってしまった。
「どういうことですか!?」
うぅ、キラキラした目が・・・!そんなに期待に満ちた視線を浴びせないでくれ・・・!あと領主様!あんたまでキラキラ・・・いや、ギラギラに近い視線向けるな!普通に怖いから!
なお、こうした展開が町に着くまでの半刻の間続き、まったく休まることのない道中となった。
◇ ◇ ◇
「通してくれ」
「子爵様がお帰りになった!道を開けろ!」
町の入口の検問をたった一声で開けさせた光景に少し驚いた。流石は領主だね。あと、子爵だったのか、知らなかった。
「・・・?子爵様、そちらの少女は?」
「恩人だよ。屋敷に招こうとおもってね」
「そうでしたか。一応、名前だけは確認させてもらっても?」
「あ、はい。ヘリアといいます」
「ヘリア様ですね。ようこそ、フォリスへ」
この町の名前かな?フォリス、ね。子爵様のファミリーネームが由来だったりするのかもしれない。
「さて、では我が屋敷へ案内しようか」
「お願いします」
「ヘリアさんヘリアさん!」
お嬢様、せめてもう少しお静かにね。
「ほぇー、賑わってるんですね」
「まあね。少し離れたところに海があるんだ。海辺の村や町から海産物が届くから、そのおかげさ。海独特の潮の香りもするんじゃないかい?」
ヒクヒクと鼻を動かすと、確かにそれらしい匂いがした。
「海産物かぁ・・・最近は食べてなかったな」
「だったら是非ともこの町でたらふく食べていくといい」
「ヘリアさん!一緒に町を見て回りませんか!?」
ガリアス様と話をしていると、やたらハイテンションなお嬢様から観光に誘われた。
・・・今更だけどさ、俺まだこのお嬢様の名前知らないんだけど。ちょっとやばくね?
「領主様、あの、娘さんのお名前は・・・?」
「む?そういえばまだだったか?ふむ、なら挨拶しなさい」
お嬢様様がスッと立ち上がって俺の真正面にくる。
「改めまして、フォード子爵家当主ガリアス・フォードが娘、ソフィエラ・フォードと申します」
・・・おぉう。人懐っこい小動物みたいだったのに、突然、華麗なお嬢様になった。え、もしかして別人だったり?
「ちょうど自己紹介も済んだところで、屋敷が見えてきたぞ」
視線を前に向けると、そこにはかなりの大きさのお屋敷があった。
「さて、お腹も空いているだろう。海鮮料理、期待してくれたまえ」
さぞかし豪華な海鮮料理なんだろうなぁ・・・ジュルリ。
頭の中が一瞬でご飯色に染まったヘリアだった。
(=^・・^=)