元剣聖ちゃん
コメディ多め?
コツ、コツ、コツ。
硬いもの同士が軽くぶつかり合う音が耳元で聞こえる。
「・・・ん、んぅっ?うるさいなぁ・・・」
どうやら床か何かの上で眠っていたらしく、首が少し痛い。それを解す意味合いも兼ねて、周りを確認する。すると―――
「っ!なな何でこいつが!?」
そこにいたのは、先程の音の発生源らしきやつ。まだそれだけならいい。だが、なんでよりによってこいつが・・・!
「一角獣が俺の近くに!?」
ユニコーン。魔獣に類するが、時には聖獣とも呼ばれる、あまり人間とは敵対することのない、比較的安全な魔獣だ。だが、広く知られる知識では、純潔の乙女が好みだったはず。なら何で男の俺のところに?
「いや確かに俺はまだ初体験もしてないけどさ・・・!けど誓って生娘なんかじゃないっっ」
なんか、言っててちょっとむなしくなった。
そんな、一人でウンウンと頭を唸らせる俺にユニコーンは近づいてきて・・・
ぺろっ
「ひゃあああああぁぁぁぁぁぁっっっ!!?」
こそばゆいくすぐったい気持ち悪い何すんのこのユニコーン!?お前実は性獣だな!?
あまりに驚いた俺は床を転がるように退避してユニコーンと距離を取った。
うぅ、頭ぶつけて痛いんだけど。
ん?
何で俺、こんなに声高いの?普通なら裏返っちゃうはずなんだけど・・・?
ユニコーンがまたも近づいてくる。
くっ!もう舐められてなるものか・・・!
だが、あるものを目にして俺は固まった。ユニコーンが口に咥えているそれ。あまりに見覚えのあるそれ。
「ステータスボードと服返せぇぇっ!」
飛びかかろうとして――――
「ふぎゅっ!」
思い切り顔から石畳に突っ込んだ。
へたり込んで痛む鼻をさすりながらユニコーンを睨むと、やつは俺のある部分を凝視していた。え、お前って実は男色家・・・?
一応、視線の先に目を向けて絶句。数秒の後に。
「ひぎゃあああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっっ!!?」
所謂、息子というやつがなくなってつるつるになったそこを目にして、俺は本日二度目にして最大音量の悲鳴をあげたのだった。
つか、視姦すんなこのへんたい〜〜〜〜〜っっっ!!
変態馬には気を付けましょう。