大義名分
さぁ、嵐のはじまりだ。
朝、子爵様のお屋敷で、俺は妙な騒がしさによって目を覚ました。まだ早朝だというのに、屋敷全体が何か焦っているような、騒々しい雰囲気だった。
何事かと思っていると、突然バンッと突然客室の扉が開かれ、このお屋敷のメイドが飛び込んできた。
「へ、ヘリア様!ソフィエラお嬢様を見てはいませんか!?」
「いえ・・・何かあったんですか?」
「お嬢様が・・・お嬢様がいないのです!」
は?
◇ ◇ ◇
「子爵様!何があったんですか!?」
「あぁ、ヘリアくんか・・・ソフィエラのことだろう?・・・これを見てくれ。私もそれ以上はわからないんだ・・・」
子爵の居場所をメイド達に聞いて訪れた私に、子爵は一枚の紙を見せた。それなりに質のいい、平民より貴族が使う物だ。
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ガリアス子爵
お前の娘は預からせてもらった。
娘の命が欲しくば、今夜○○に一人で来い。
誰かを連れてきた場合、娘の命はないと思え。
賢明な判断を期待している。
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「まさか、誘拐?」
「起きた時に、私の机に置いてあったものだ。何故ソフィエラが狙われたのかはわからん。だが、私を呼び出したところを見るに、狙いは私のようだ。すまないね、ヘリアくん。こんな時に・・・」
気丈な口ぶりではあるが、子爵の顔は既に蒼白だった。
愕然とした。なぜソフィが?まさか俺と関わったことに関係が?
「・・・犯人の目処は?」
「まだだ。だが、君が関わる必要は・・・」
「手伝わせて下さい。これでも、彼女とは仲良くなったつもりです。確かにまだ出会ってから大した時間は過ごしていない。でも、助けたいんです」
犯人もわからないなら一人でも手は多い方がいいだろう?しかし、子爵は渋い反応を返した。
「だが、無関係な君を巻き込むのは・・・」
あ?無関係。無関係、ねぇ。それは、いくらなんでも――――
「巫山戯んな」
「・・・え?」
「こっちから関わりたいっていってんだ。それに、無関係?昨日一日仲良く観光してた程度じゃ、友達でさえないってか。もう一度言う。ふざけんな」
「・・・」
「関わらせろって言ってんだ。大人しく関わらせればいいじゃねぇか」
口が悪いのは百も承知。その上で言わせてもらうぞ。
「友達を助けるのに、大義名分なんてものはいらねぇだろ!」
あるいは、ただの子供の癇癪なのかもしれない。
けれどそれこそが、今の俺の素直な気持ちだった。
この体ではじめてできた友人なんだ。何があっても、返してもらう。
うまく書けなかった・・・ごめんなさいm(_ _;)m