変異種解説だ!
わたくしめの最初期の作品を久々(一年弱ぶり)に次話投稿したら、こっちより閲覧数が多くてちょっと悲しくなりました。
さて、突然だが変異種についておさらいしよう。
変異種とは、発生原因不明の強力な個体、というのが簡単かつ一般的に知られている情報だが、実はさらに細かい区別も存在する。【先天性変異種】と【後天性変異種】だ。
先天性は文字通り生まれたときから何らかの特殊な特徴を持った個体で、身体的特徴が変異している場合が多い。
そして後天性。いろんな魔獣を食った魔獣がなったりすることが多い。身体的よりも、魔力が強く関わる部分で変異している。あの熊は青い血液だった。人間のみならず、生物は血やそれに該当するものに魔力が溶け込んでいる。理由としては空気中の魔素を呼吸で取り入れ、肺で魔力に変換。そして全身を巡る、という仕組みが大きく関わる。端的に言えば、あの熊の血は肺で変換される際に魔力が狂ったという感じだろう。結果、魔力が血液の色を青くした、と考えている。
さらに言えば後天性にはさらに区分をすることもできるが―――――――――
「ふぅ、ふぅ、よし、大丈夫。あーうん、グレートベアーの後天性変異種ね?で、暴食?ちなみに暴食の判断を下した根拠は何?」
「コイツは子爵様とソフィを食糧として見てた。腹の中を裂いたら普通に動物や魔獣の死体が入ってたのに」
「うん」
「血液の色が青かったから後天性なのはわかった。そこから暴飲暴食をするような変異種は―――――」
「暴食しかない、と」
「そういうこと」
後天性の変異はかつて存在した魔王たち、通称『七つの大罪』なる奴らの残滓ともいえる魔力が深い関わりを持つとされている。大罪についてはあまり詳しい情報がないが、その可能性が高いらしい。
ちなみに、これが元勇者パーティ所属の情報量だ。恐れ入ったか!普通の冒険者じゃ変異種か否かの違いしかわからないからな!
「わかったわこれらの素材については、こっちで解析が済んだらその分のお金を渡す。それでいい?」
コクリ
「じゃ、次は冒険者登録だったかしら?ひょっとして身分証として使えるようにするため?」
よくご存知で。
このあとは、つつがなく作業が進み、あっという間に冒険者になれた。どこかの組織に入ってないと、板もただの飾りにしかならないからな。
こうして終えた一日を振り返って、思った。
「あれ、あんなこと知ってる12歳少女新人冒険者とかいるわけなくね?」
その夜、子爵邸の客室から、声にならない絶叫があがったそうだ。