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拍手 041 百三十七話 「エルフ」の辺り

 装備を解除するついでに、三人のボディチェックもしておく。隠し武器など持っていられたら面倒だ。

 一人目、男性。筋肉質で大柄。

「エルフとは……いや、耳長いし。顔立ちも……まあイケメンだわな。でも、この筋肉……」

「筋肉だと、ダメなの?」

 パスティカの問いに、ダメなのかと自問するも、適切な答えが出てこない。なので、曖昧な事しか言えなかった。

「イメージ的に、違うような気がする」

「はあ」

 パスティカも、よくわかっていないらしい。それはそうだろう、言ったティザーベル自身、何を言っているのやらと首を傾げているのだから。

 大柄なエルフの武器は、見た目通り大剣だ。長く幅も広い剣は、見た目通り重かった。

「これ、放ったら床が傷つくね」

「気にするのはそこなの?」

「他人の武器だから。基本気にしない」

「あっそ」

 床を傷つけないよう、魔力の糸で持ち上げた大剣をそっと下ろす。他にもベルトに付けた投擲用のナイフや、靴に仕込んだナイフなど、計十本以上の武器が出てきた。

 次、こちらも男性。先程の大柄な男性に比べると、中性的で線が細い。華奢。

「これだよ! 髪が茶色でくるくるしている辺りはちょっとイメージから外れるけど」

 エルフといえば金髪碧眼。先程の大柄な男性は、目の色まではわからないが、金髪ストレートなのはクリアしている。

 二人目の男性の髪色は茶色。柔らかい巻き毛を首の後ろで一つに結っていた。顔立ちも中性的というか、どこか少女のように見える。

「これで金髪碧眼なら完璧なのに」

「そう」

 返すパスティカの声も、どこか適当だ。いい加減、やり取りが面倒になってきたのだろう。

 華奢な男性の装備は杖のみ。腰や斜めがけにしたベルトには、試験管のようなガラスの入れ物がつけられている。薬だろうか。

「パスティカ、これ、何だかわかる?」

「どれどれ……強酸性や強アルカリ性の液剤ね」

 薬は薬でも、攻撃用だったらしい。どちらも人体には有害だ。そっとベルトごとはずして、先程の大柄な男性の装備の上に置いた。

 三人目、女性。

「これは……」

「どうかした?」

「エルフにあるまじき」

「はあ?」

 仰向けに寝ている女性の胸部は、盛り上がっている。よく見ると、ウエストもなかなかのくびれ具合だ。

「何というナイスバディ」

「ないすばでぃ? って、何? ……あ、やっぱりいい。説明しないで」

 パスティカが何やら言っているけれど、目の前の女性を見てみる。彼女の武器はブロードソードだ。幅があるこの武器は、結構な重量がある。

「エルフで女性とくれば、普通はレイピアか弓じゃないの?」

 もしくは魔法攻撃か。どこまでもこちらのイメージを覆してくる三人だ。

「これ、この人達が目を覚ましたら、どうしよう?」

「んー……まずは、あの穴の底にいる連中とどういう関係なのかくらい、聞いておけば? 結果次第でどうするか決めればいいと思うの」

「それもそうね」

 この三人は、今のところ寝かせておく以外に手がないとパスティカに聞いている。なので、彼等を放ったまま、ティザーベルはお茶の時間にする事にした。

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