拍手 172 二百六十九「のろけ」の辺り
「レモ! あなたが好きだ!」
「お? お、おお、ありがとさんよ」
「レモ! あなたが好きだから、男女の仲になりたい!」
「……そういう事は、もうちっと密やかに言うもんじゃねえのかねえ」
「レモ! 好きだ! 付き合ってくれ!」
「どこに……っていうのは言っちゃいけねえんだろうなあ。同じエルフの男の方がいいんじゃねえのか?」
「私は、レモがいい」
「悪いが受け入れらんねえ」
「そうか……」
「レモ、やっぱり私はあなたが好きだ。あなたの子が欲しい!」
「だから、そういうのは……って、ちょっと待て。人間とエルフって、子が出来るのか?」
「多分。解放した女性に聞いたところ、毎日薬を飲まされていたらしいぞ。あ、その薬もちゃんと治療で抜いてもらっている」
「そうか……一瞬ぞっとしたぜ」
「と言うわけで――」
「もうちっと若い男にいってくんな」
「レモ……どうしてもダメなのか?」
「逆に聞くが、どうして俺なんだよ? くたびれたおっさんだぞ?」
「それは関係ない。私は、あなたがいいんだ。他の男は、いらない」
「こりゃまた……」
「なあレモ。後悔してるか?」
「まさか。後で悔いるくらいなら、最初から手ぇ出しゃしねえよ」
「そっか……」




