拍手 165 二百六十二「意識の変革」の辺り
「採寸って、スタッフでもいるの?」
「いんや? 全部マシン任せ」
「なんと言うSFな世界……これ、ファンタジーだよね?」
「少しファンタジーな世界」
「それ違うから」
「採寸はスキャンで終わるから、メジャーで測られる事はないよ」
「そうなの? 楽ちーん」
「本当に、あっという間に新しい服が出てきた……」
「凄いよねー」
「これ使ったら、服屋が開業出来るんじゃね?」
「いや、ここの装置全部地上に移動は出来ないからね?」
「ここで作って地上で売る! 帝都まで瞬間移動出来ればうまく行く!」
「セロアー、落ち着けー」
「あんたこそ、何でそんなのんびり構えていられるのよ! 金儲けは大好きなくせに!」
「そりゃ好きだけど、それも老後の事を考えて、今から貯金する必要があったからだし。今はそれ程でもないかなー」
「……本当に? 珍しい魔物が出ても、狩りにいかない?」
「え? 何か新種の魔物でも発見されたの!? そこんとこ詳しく!」
「うん、わかった。あんたは金儲けが好きの前に、魔物狩りが好きなんだわ」
「だって、新種とか珍しい魔物は高価買い取りしてくれるんだよ!?」
「さっきの言葉と矛盾してるって、気づいてるー?」
「おやあ?」
「うーむ、好きな時に内風呂入れるって、やっぱりいいなあ」
「大浴場は、それはそれでいいんだけどねー」
「帝国の大浴場は、魔法で浄化しているから、衛生的にもかなりいいしね」
「湯船が広いから、足も伸ばせるし」
「でも、時間帯や場所によっては、嫌なやつとかち合う時もある」
「あー、それ、ラザトークスの時はよくあった」
「……そういえば、あんたラザトークスの大浴場って、使ってた?」
「たまにね。人のいない時間帯を狙っていけば、入場拒否食らわないから」
「待って。今さらっと変な事言わなかった? 入場拒否? 大浴場って、公共の場だから、入る人を差別も区別もしちゃいけないはずなんだけど!?」
「ほら、衛生的に入れちゃいけない人っているじゃない? 病気持ちとか。そこらへんをでっち上げられてだね」
「最低だな! あの街」
「うん。でもまあ、おかげで自前で風呂入れるって魔法も憶えたしね。あれ便利でさあ。街中でもなくても、お風呂入れるし」
「ベルって……まあ、必要は発明の母とも言うし」




