拍手 162 二百五十九「懐かしい人達との再会」の辺り
帝都ギルド本部。帝国中に広がるギルドの中で、一番大きな建物であり、一番多くの依頼を受け付けている場所でもある。
それ故、他の支部とは比べものにならない程の書類を扱う事になる場所だ。
「今日も来たかー……」
「六箱とは、少ないほうですね」
「そうねえ」
ギルド受付の裏、通用口から運び込まれた木箱の山を見て、職員達が呟いている。
木箱の中身は紙だ。しかも、耐久性を高めた特殊な紙で、丈夫かつ重量がある。それが木箱にみっしり詰まっているのだから、一箱の重みたるや、推して知るべし。
「よし、じゃあ手分けして運ぼうか!」
「「「はい」」」
現在手が空いているのはこの四人のみ。他は接客やら書類仕事やらで手が空いていない。
ちなみに、紙が届いた時に仕事の振りで運搬の手伝いを怠けようものなら、容赦なく査定に響くので誰もズルはしないのだ。
男性は一人一箱、女性は二人で一箱を所定の位置に運ぶ。そこから必要な部署に必要な数だけ小分けにしてさらに運ぶのだ。
おかげで、ギルド職員は体力がなければ務まらないとまで言われている。
「やだ、腕の筋肉ついちゃった」
「あー、何もしなくても、仕事だけで結構鍛えられるよねー」
「さすがに本職には敵わないけどねー」
そんな会話は、ギルドの裏側ではしょっちゅうだった。
そして今日もまた、紙がみっしり詰まった木箱が届けられる。




