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拍手 001 八十五話 「彼等の吐いた嘘」辺り
ギルド支部内にある会議室が臨時の医務室になっている。
「なんだい! この程度の傷、つばでも付けときゃすぐになおるよ!」
「いてー!!」
室内には、そんな泣き声が響いていた。
普段は腕にものを言わせてあれこれやらかしている冒険者達だが、薬屋のばあさんには頭が上がらない。
もしこのばあさんを怒らせたなら、二度と治療をしてもらえないからだ。
冒険者に怪我はつきもの。薬屋との関係が悪化すると大変だ。
「魔法薬を買える金があれば……」
「言うな……」
そんな金があったら、あの余り者のおこぼれに預かろうなんてしない。
二重の意味で、室内には泣き声が響き続けた。