運命の♡出会い
楽しんで読んでくださったら嬉しいです!
悪役令嬢ー"エリエーヌ・ロワン"。
彼女は公爵家の長女として生まれ、母親を幼くしてなくし、父親と兄にそれはそれは大切に育てられてきた。
エリエーヌが12歳のとき、同い年である国の第一王子の主催するお茶会の帰りに盗賊に襲われ、たまたまそこを通りかかったお茶会の主催者の王子ー"ケノア・ランジル"に助けられ彼に一目惚れ。
その後王子の主催するお茶会の帰りに襲われた事の責任と、公爵家の娘で地位も釣り合うことからケノアとエリエーヌとの婚約が決定。
しかし彼らが14歳になり、学園に入学すると、王子ケノアは運命の相手ーゲームの主人公に出会い恋に落ちてしまう。
嫉妬からエリエーヌは狂っていき、最初は主人公に嫌がらせをしていたのがとうとう殺そうとまでに。
ある夜エリエーヌは主人公を呼び出し短刀で刺そうとするが、主人公をつけていたケノアが攻撃を阻止しそのままエリエーヌを殺害してしまう。
エリエーヌはたいそうケノアのことを愛していたが、ケノアは一度とてエリエーヌを愛したことがなかったー。
エリエーヌのバッドなエンドはこれだけではない。普通各攻略対象ごとにライバルキャラがいるもんだが、エリエーヌは悪役をいくつか掛け持ちをしているのだ。
攻略対象であるのは大体エリエーヌの兄、幼馴染、従兄弟…である。
そう考えるともはや主人公はエリエーヌの、イケメンに囲まれたハッピーライフをぶっ壊しに来た破壊神だと言えるのではないか。
あぁ、俺だったらエリエーヌを幸せにするのに……。
んん…。
目を開けると…真っ暗だった。
……ん? ?????
何だ?これ? 確か車に轢かれたような…。
ん?生きてるっっ!? ってうおっ!!
そのとき床がいきなり揺れだした。 ガタンッゴトンッ…
どうやら俺は今馬車に乗っているらしい。独特の揺れ方と床の木の感じ、馬が歩く音がするからだ。 なんでまた? 車に轢かれたら普通救急車じゃね?
冷静になると、周りが何も見えないものの複数の息づかいを感じる。
ここには俺以外にも人がいるらしい。
まじでどういう状況コレ…?誰か教えてくれませんかね…? と、周りにいるであろう人に聞こうと思った瞬間馬車が止まり、
「キャーー!!!」
と、外からものすごい叫び声が聞こえた。
これは…エリエーヌの叫び声だっ!!
何度も見たエリエーヌのキャラ紹介の映像の、幼少期にお茶会の帰りに盗賊に襲われた時の声だ!!
今の状況とか、考えるより先に体が動いた。
真っ暗の中思いっきり壁に体当たりをしたら壁に穴が空き、光が入ってきた。
目がぁぁーー!!
と、そんなことをしている場合ではなく…
っというかなんか体の感じがいつもと違うような…
その間もエリエーヌは「助けてー」と叫んでいる。周りを見渡すと町の中のようだが、何か変だ。皆動きが停まっている!!
そしていかにも下衆な声で
「ふっふっふ、攫うガキ以外の時間を停止して助けの来ないガキの姿を見るのはやっぱ楽しいなぁ〜」
というセリフが聞こえた。お主、我に負けず劣らず変態であるなと変に関心して声の方へ走る。そこへ行く途中視界に入った道の端に立てかけてあった斧を手に取る。(なんで斧があったのかはナゾであるがそんなこと知らん)
「うおおー!!エリエーヌを離せぇぇー!!」
ん?なんか声がいつもと違う感じが…
「お、お前は馬車にいたはずじゃっっ!?それにどうして俺のスキルが効いていないっ!!」
俺は相手に脅しのつもりで斧を振り回そうとしたのだが、…考えてみてほしい。寝起きって手に全然力入らないよね?ペットボトルの蓋とか開けられなくない?
ブンッと斧を振ったときに手が滑り、斧がブンブン回りながら相手に向かっていき…
危ないっっ!!エリエーヌに当たるかもっっ!! と思ったが、ちょうど男の顔の真横を通っていき馬車の壁を壊していった。
ああーー良かったーエリエーヌに当たらなくてぇー。
相手が「ひぃぃーー」と狼狽えた途端エリエーヌのお付きの従者が何人かいた盗賊を追っ払ってくれ、エリエーヌを攫おうとしていた奴も含めて盗賊は逃げていった。
振り返ると、なんと、なななんと、本物の3次元のリアルなエリエーヌがぁぁっっ!!
かわいーーーーー!!!!!
「大丈夫でしたか? お嬢様。」(キラッ)
俺は従者に囲まれて心配されているエリエーヌに向かって跪き、なるべく爽やかに努めた。
するとエリエーヌは突然無顔になった。
え?なんか俺ヘマしました?
「こいつ、連れてくわ」
エリエーヌが側の従者に向かって言う。
俺は従者に両脇をガシッと捕まれ、エリエーヌが乗っていた馬車に放り込まれる。
え、コワイ コワイ コワイ えっ、何?一体なんなの? え、てか俺って誰?
楽しんでいただけたら嬉しいです!!