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第3話

20××年7月31日午前11時

『日本迷宮』との交渉が終わって1週間後、この日国会は荒れに荒れていた

始めは自由都市の様な扱いになる筈だった『日本迷宮』だったが、独立国として扱う事を閣議決定したのである


「何故『日本迷宮』を独立国にするのですか! 現に中国の『チベット迷宮』は中国、いえ! 人類に対し攻撃を行っており危険な存在ではありませんか!」


「それは話し合いの場を持たなかった中国政府の対応によるものです。 日本政府と致しましては話し合いに応じていただき、管理人の他に我々は知らない他種族の方々が居住しており人道的な面でも認めるべきであるという結論に至った次第です。」


民主連合党(かつて幾つかに分裂していたが『迷宮』の出現により連合した)の元アナウンサーで二重国籍問題が提起されていた代表の連峰れんぽうの発言に総理大臣である阿辺あべは答えつつも内心は鼻で笑っていた

彼女...というか野党全体が後先考えず声が大きいだけではなく、他国の手先である事は有名な話だからである

それが友好国ならまだしもバリバリの仮想敵国である中国で、過去何度もその利益に繋がる様な事を行っている為信用など無かった

仮に独立した自治体なら議員として視察を強行する他様々な妨害を行うだろうし、そんな事態に陥るぐらいなら初めから独立国扱いして視察を拒否してもらえば日本政府が情報を握る事が出来て他国に対して情報提供して借りを作る事が出来ると考えたからであった


「信じられません! どうせ口約束だけならするだけ出来ます! それに他種族とおっしゃいましたが信用できるのですか? 直ぐにでも制圧し安全を確保するべきです!」


彼女の声に野党側からはそうだそうだと賛同する大合唱が起こっていた


「現時点で敵対姿勢を取っていない為攻撃を行う事は出来ません! 日本には憲法九条が有るのです! 現時点で政府は『日本迷宮』を領土や国民を持つ国家として認める方針であり制圧するのであるならば憲法改正せねばなりません! 敵対するかもしれないというだけで攻撃を行うような事は出来ません!」


阿辺は大合唱に負けない様に叫ぶように答え


「また仮に制圧に成功したとしてもどうするのですか!? いったい何処の誰が管理するのですか! ダンジョンマスター? まさかとは思いますがこちらの制圧下に置き協力させる等という考えですか?」


と続けた

連峰は少し馬鹿にするような表情で


「当たり前です、愛国心が有るのなら日本の為に協力するでしょう。 他種族に関しては日本国籍を与えればよいかと思います、国籍を与えるのですからその対価に労働に励むのは当然です、氏族長達はこちらで確保すれば良いでしょう、そうすれば反攻しないでしょうね。」


「それでは奴隷ではないか! 文明国としてあるまじき蛮行だ! 恥を知れ!」


「なっ! 総理何という言葉を! 謝罪と撤回を要求します。」


「謝罪も撤回もしない! そんな事をすれば彼等は文字通り死ぬ気で抵抗するぞ! ダンジョンマスターは日本人だ! かつての大戦の様に『奴隷か死』の選択しなければならないとなればそれこそだ!「総理! 落ち着いてください!」...少し興奮しすぎたようだ、その事に関しては謝罪いたしますが発言の撤回は致しません。」


キレた阿辺と連峰の掛け合いは恐ろしい物だった

阿辺は長らく政治に携わっており、弱みを握らせない事で有名だったのだが流石に今回はキレた

こんな発言をする議員しかいないとなれば諸外国から何言われるかたまったものでは無い、少し過激な位の擁護する発言をしなければいけなかった


そんなこんなで荒れ強行採決であるが『日本迷宮』を独立国として認める事が決定されたのである




―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「という訳で日本政府が真面目に独立国家として認定してくれたおかげで色々決めなきゃいけなくなりました...最低でも1週間は眠れなさそうです。」


和希の家の広間に集まった一同を見渡しつつ、和希はそう告げた

因みに今回も料理が並べられている

豚肉のベーコンステーキ ~ドワーフソースまたは醤油ソース~

温野菜盛り合わせ ~サウザンドアイランドドレッシング~

トウモロコシと葉野菜のコンソメスープ

各種パン盛り合わせ

となっている

ダンジョン自体外よりヒンヤリしているのと全種族基本的に暖かい物を食べる文化が有る為である


「とりあえず国名どうします? ブレノック氏族としては『ユウカゼ共和国』を推薦します。」


「はっはっは! ブックレーよ、幾ら何でもそれは無いだろうよ、ここは『カズキ王国』を...」


「何言ってるんですか。」


ブレノック氏族氏族長のブレニックとデザーリア氏族氏族長のザートナーの言葉に和希はツッコミを入れた


「カズキお前こそ何言っとるんじゃこのダンジョンは基本お主の持ち物じゃろうが、表層の山林もじゃよ、そうであるが故に基本お主の名を掲げるのに反対せんし寧ろ賛成じゃよ。」


「いやでも...」


「正直な所我々から言わせてもらうと貰い過ぎなのですじゃ、私等はまだ直接住まう事を許して貰った事をわかっとるから良いですがダンジョンで生まれた後の世代が出てくればカズキ殿を排斥するとか恐ろしい事になりかねませんからなぁ、そういったことが無い様に指導者として君臨して頂きたいぐらいですなぁ。」


「拒否します、母屋乗っ取られたとしても構いませんよ...あ、でもマーナ達の安全と生活の保障だけお願いします。」


「ダメじゃな、やはりこやつ筋金入りの指導者嫌いのお人好しじゃ! 精々議長位に据え付けるのが最大限じゃ!」


「ダメですねこれ」


妖狐族族長のフブキが思わず呟いた後に、徹底して誰かの上に立とうとしない和希の態度に全員が溜息を吐いた、何処の世に軒先貸したら母屋乗っ取られた事を笑って許す人物がいるというのだ...この場にいるのは気付きたくなかった

そして全員が視線で会話した


何が何でも後の世代が馬鹿やらない様に教育していく事と絶対に人の上に立たせる事である

ともかくこの場ではこの話は置いておいて国家としての体裁として憲法と各種法律の整備に追われていく事になる


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