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ファンタジー世界のバランスブレイカー  作者: 駅猫
五章 バランスブレイカー勇者決定戦編
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十九話 約束。襲撃と弟子とバランスブレイカー。

  うおおおおお~~!! やった~!!

会場は怒号で歪むなり軋むなりの不可思議な重力を生んだ。

だが、生まれたのそれだけではない。

たった今、エドをたおし、ここに俺が勇者長として生まれた。勇者のなかの勇者。

その一つの伝説に会場は沸いていた。

「我が、ナルガム王が宣言する。ここにナルガムの勇者、リョウを全世界に向けて勇者長に就任したことを

宣言する!!」

おおおお~!! 頼むよ中学生~!!

今の時点で民衆の考えは恐らく二つ。

一つ。俺が。新しい勇者長が誕生したことを喜び、興奮しているもの。

二つ。俺が、中学生で勇者長になって、頼りきれないのではないか。実力は確かなのか。

   他国の勇者も、本当に中学生に負けたが勇者が務まるものなのか。

「皆の心配は分かる。だが、ナルガムの王が宣言する。この者達は明らかに強い。召喚されたから勇者。

そんな考えは捨てよう。迷子がただ強く、その国の力になる。それで良いではないか。

事実リョウはレベル100じゃ。」

マジで!?ありえね~。   そんな声が相次ぐ。本当はレベルMAXだが。でまかせも良いとこだ。

ちなみにこの大会の詳細明記表...パンフレットには、レベル55で登録しておいたのだが。

「以上をもって、勇者決定戦は閉じる。明日に新国家建国発表、勇者長就任式、魔獣隊決定式を執り行う。

うん?なんじゃ...」

どうやら、なにかあったらしい。[盗聴]しちゃお。

なになに...俺の実力に対するデモが起きた!?なんなの!?まじで。

「ふ~む。アッ、ソウダ。アサッテ、勇者長ト他ノ勇者デ戦ワセレバイイジャナイカ。」

棒読み。それは緊張と心がこもってない。つまりどうでもいいときに現れる。

それがナルガムの王に現れている。なるほどね~。

だが、単純な民衆はこれにも大きく反応してしまう。

エキシビションマッチか!!いいぞ!!.やれやれ!!

どうやら確定事項のようだ。

手続きを済ませ大会主催団体(まぁ、ナルガム王国政府なんだが)が貸しきっているホテルに行こうかな。

要するに帰りたい。って今思えば、大会の結果とか雑に言っちゃ後処理とか後日やるのか。

なんか、この国の人柄?的なの出てるな。

とにかく寝よう。これは絶対条件。

素早くチェックインし、人目がなくなったところで転移魔法と装備解除を使用した。

廊下を歩いていたのは数秒前の出来事。今はこの半裸で寝るこそ正義!!

目の前は暗くなり、ゆっくりといや、排水口に流れていく水のようにあっという間に眠りの世界へダイブした。

目覚めは良好でもなければエネルギッシュな訳でもない。

目覚め最悪、疲労超、絶頂に来ている。

理由は襲撃だ。寝ているときに明らかに敵意を向けられているのに気付いた。

起こしたアクションは...“気にしない”だ。だって眠いんだもん。

そんな訳で攻撃を受けるまで寝ていた。

起きると軽いジョークで挨拶。生前(転生前)で良くやって、初対面の人といい感じに仲良くなる裏技。

だが、通用しないか。でもやってみるか。

「おはよう。でもまだ深夜じゃないか。坊やはもう帰ってママと一緒におねんねの時間だよ?」

...思い出した。生前仲良くなったやつ。アイツ、親バカな家庭で育った、マザコンやろうじゃないか。

仲良くなったのはアイツが

「生まれ変わったらどこかのカンガルーになりたい。」

とかいって、俺が

「親の喧嘩に巻き込まれろ。」

とか、言って大爆笑したからだ。アイツ、元気にやってるかな。

「俺らに親はいない。お前と一緒の出だからな。」

「教会。いやお金稼ぎをするための児童養護施設か。」

あそこは子どもを大切になんて思っていない。近々、俺の出身を晒して注目を浴びるだろう。

そんなのごめんだ。だからあそこから去ってきたのに。

「児童養護施設?ナンダソレ?」

相手は10歳前後の男女数名ってとこか。世間の闇に立ち入るにはまだはやい。

「帰ってお休みと言っただろう。」

穏やかにだが冷静を欠いた獣のように睨み付けた。相手が受けとる恐怖はかなり絶大だ。

だが、

「そ、そんなのは効かないっ!俺は教会をさった臆病者が勇者にそれも勇者長になったのが許せないんだ!!」

なるほどね。思った以上に見込みがいがある。正直変な焦燥にかられる。育ててみたい、と。

「後日、伺う。だから、」

今度は恐怖で支配するのではなく、その逆に。優しさで包み込んであげる。これが、勇者なら。

こんな人が溢れかえっていれば平和なのに。そう痛感した。

「だから、今日はもうお帰り。送っていくから。」

「ほんとに来てくれるのか?」

「ああ。」

こんどは後ろに隠れていた女の子が喋り出る。

「もう、友達?」

「う~ん。弟子にしてやる。最強の勇者のな!!」

「ほんと!?」

「あぁ、勇者に嘘はない。さぁ、掴まって、送ってあがるから。」

全員が、合計七人が俺一人の体によじ登る。

「すぐつくからね。」

いい終える頃にはもう着いている。これが世界を平和にする、勇者の象徴だと見せつけんばかりに。

「明後日来るよ。だが、俺が来るまでいい子で待ってること。それと、お仕置きは覚悟しろよ。」

「そっちも約束破んなよ。」

「大丈夫。世界には俺が二人いるかもしれない。あと不可能はない。俺に関してはな。」

そう言うと[コピー]で俺を模した俺を作る。

子ども達の開いた口は閉じなくなってしまった。

「すっげ~!!なあなあ、俺にもできるようになるかな?」

「なるさ。俺の弟子入りしたんだからな!!」

俺も興奮する。恐怖に打ち勝つこと。そしてこんなに全員が真っ直ぐで素直なのは。

教育者の心が分かった気がした。

「こんな時間にな~に~?」

ゲゲゲ。この声は俺も聞いたことがある。

実は思った以上に怖いし。夜、ずっと起きてるんだよな。

「じゃ、いい子でな。」

「じゃーねー」

無邪気な明るさに、直視できない。

俺は闇に溶けてもとのホテルに帰った。楽しくなってきた。

でも、中学生で教育者を語ったのはまずかったかな。

帰ってからは眠れず新しい武装を作ることに精を出した。

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