十七話 ご馳走。事故とエッチとバランスブレイカー。
俺は現時点で神器の全てを強龍ナルガムから譲り受けた。
中身を言ってしまうと、剣、防具、俺の自作武具、俺の魂と体、そしてナルガム自身だ。
いずれにせよ先程のスラムハラヌ代表レンジから分かったが俺の神器のコピーなのだ。
つまり俺が対策すれば勝てるのだ。
前置きはこの程度にして、次はデモンデを破ったレーンに勇者スイハクだ。
神器は無剣。一から十五の好きな数に分裂する。また、刺さった対象には能力を失わせる。
例えば火属性の魔剣だったら、属性を消す。人体には何の影響もない。ゆえに無力化して生け捕りにする。
レーンのスイハクなら防御が消えた瞬間に魔法を撃ってくる。
さぁ、勝負だ。
~勇者決定戦。準決勝。~
「ナルガム王の名のもとに。始めっ!!」
「行きますわよ。舞って無剣!!」
「無剣のレプリカか。本物を見たくはないかい?」
「なんですって!?本物がここにあるわけが...」
「あるんだよ。強龍ナルガムは俺の契約獣だ。ナルガムの九九の神器は俺が所持している。舞え、無剣!!」
無剣が出現。戦場には十五と十五の無剣がある。
「それだけじゃないさ。」
続けて、二十番目の神器[嵐剣]を装備。
「風の神剣、嵐剣!?」
「あぁ。」
「ですがそんなものは脅しにもなりはしません。くらいなさい。」
相手の爆発魔法で神器、無剣が飛んできた。
風属性で飛ばしてこないのはこちらの嵐剣に掌握されるからだ。
正しい判断であり決して間違いではない。
だがー
ーこの世界の俺の前で勝つには明らかに正解を見つけ出さなければいけない。
その判断は正解ではない。
正解などもう無いから。
勝負を受け、試合が始まった時点で俺の勝ちだから。
嵐剣に魔力を流す。
剣の刃には風が眼に見て取れるほど強くだが強弱もコントロール出来るくらいにー
―風を切れる。
正面に下から上に吹き荒れる風の障壁を展開。
相手の無剣は十五本、障壁に拒まれ吹き飛ばされる。
「まだまだ。攻撃力上昇。火属性付与。行きますわよ。」
攻撃力を上げ、火属性を帯びた拳が迫る。捨て身の一撃だ。
十メートル。五メートル。三メートル。俺の風に火がうつる。
まずい!!この風は強い。酸素をずっと火に与え続けることになる。
そうすれば街が焼け、被害が出るかもしれない。ナルガム中学、新しいのに燃やすのは....ねぇ?
困難は困難とピンチを呼ぶ。
「ひゃあ!?服が!?」
まずい。まずいまずいまずいまずい。まずい!!
状況を整理。風に流されて火が移りいまはファイアストーム。いま消した。だがスイハクの服には魔力糸で出来ていた。無剣が触れて魔力が流れなくなった。繊維が崩れ落ちた。...炎で服が燃え尽きた。
へ!?今、どうゆう状況!?
「服がありませんですわ!どうしましょう!?」
相手は全裸。
誰もいなかったら...
じゃなくって!!誰かに見られたら独占が出来なくなrrrrr...じゃなくって!!
誰かに見られたら色々まずいまずい。蒸発した水蒸気が霧になり周りから見えていない!!
行動は早く起こすべき!!.
まずは時間を止める。もちろん神器の力。俺は巫女が着るような服は持っていない。
俺が生まれたナルガム教会の小さめの服を拝借。
すぐさま戦闘の続きではなくお着替えを。
時間が止まっているとは言え、
体を軽く揉んだ...ではなく、 (変態かっ!!)
触った...ではなく、 (あれはたまたま)
触れた...ではなく、 (言い訳が思い付かない)
触れざるをえなかったのだ。 (もはや童貞かっ!!まぁこっち来てえっちしてないけど)
他意はないとは言えないくらい、良い体つきだった。
時間を止めてあったのを元に戻す。
「あれ?服が。それにこれはレーンのものではない...?」
「すまない。ごちそうになった。今日の夜、夢で会おう。」
特殊な超音波で意識を刈り取る。
ああまずかった。でも...
...おいしかった...かなぁ。
こうして準決勝はおわった。色んな意味で。