九話 参戦。希望と応援とバランスブレイカー。
―魔力が力を表す時、誰かの絶望に反応する。逆に聖句は希望に反応する。
しかし、魔法と聖句の明らかな違いは主に二つ。
一つ。その強さだ。魔法は聖句に比べると圧倒的に強い。そもそも聖句はエネルギーをつかうのではなく作るに近い。
二つ。影響だ。魔法はエネルギーを多く使うため自身のものからも消費される。その分、代償が生じる。聖句は代償が出ない。だからこそ威力が出ない。
そしてエネルギーの変動の仕方だ。
魔法は絶望といえど、そこまで密接な関係ではない。
聖句こそあらゆる逆境に相対した時、真価を発揮する。希望の光だ。術者が諦めない限り、その不条理をも覆せさえする。
その希望の光が見える。そこら中に。学校の生徒手帳。希望に反応している。
これが何を物語っている。
「生きている...か。どこかで。」
スキル[探索]。
―アイテム[ナルガムの生徒手帳]を持ったユニットは瀕死状態で教会と病院に移動されました。
―全ユニットに[ヒール]系の魔法を感知。
「生きている!本当に!」
「マスター?」
「いやすまない。こんなことが。」
「マスター。そろそろ出撃しましょう。」
「いいかい。リョウ。君の仲間は生きている。だから自信をもて。君は何も失っていない。
だからこそ。これから沢山のことを護らなければいけない。」
「分かってる。悲しむのは俺で、これっきりで十分だ。」
「エンドゲーム。行こうか。」
~エンドゲーム開催地 大帝国レルムメニッド~
「こんなことが!?」
「どうしました?マスター。」
「君も気付いた?」
「ああ。ここは―」
「「―転生前の世界だ。」」
厳密にはそれと似ている。いや、近いのか?
とても高いビルがそびえ、電車、バス、モノレール。信号に果てには空間に投影された、プロジェクションマッピングもある。現実と仮想が混ざった。AR(現実拡張)とVR(仮想現実)が混ざっている。
少し老いた白髪の大男がかすれそうな声で話しかけてくる。
「ようこそ。ここはレルムメニッド。エンドゲームの最終遊戯場だ。君たちは...」
「エンドゲームを受ける。ナルガム戦闘団だ。」
「失礼。貴方達は三名。エンドゲームは五人必要に成ります。」
ここには、俺、アイ(人間に擬態)、レオの三人だ。
「人数がいない場合、参加できません。」
「人数は足りている。我々も加わる。」
「千道先輩、一之瀬先輩!?」
「承認致しました。エンドゲームは期間中に殺しあい最後の一人が何でも願いを叶える、欲亡の鏡を」
「手に入れられる。それには願いを増やすことも出来るのか?」
「あまり多くは語りますまい。せいぜい生き延びよ。我を楽しませよ。」
―――こうしてはじまったエンドゲーム。俺はナルガムを救うため立ち上がる。
In the name of Ryou. Be a winer is Ryou!