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あそび

作者: amakawa saiji

生きている間のことを考えている人は多いですがその人生終了の瞬間のことを考えた事はありますか?

 産まれてから死ぬまでの長い永い暇潰し。

 生きることなんて苦痛で窮屈で退屈で面倒で恐くて面白くて悲嘆で悲観的で喜劇的で寂しくて心細い。ともすれば前向きに、未来に夢を見るときがあったりする。過去を振り返って過去の自分を脚色したり着色したりする。

 喉元を過ぎれば暑さを忘れてしまうし、三歩歩いただけで忘れたり棒にぶつかることもしばしばある。もっと言えば、何かに後ろ髪を引かれて、思いが断ち切れずに未練タラタラになることもある。

 これを「後悔」と言うのだと思う。いつだって、急に後悔して、それをこうして公開することしかできない。

 そうして僕は結論に至る。「死にたい」と。


 暇を潰すにはいささか無理が生じてきた。自分の親より先に死んでしまうこと、あの世に逝ってしまうことは一般的には最大の親不孝といわれるのだが、幼少期に散々殺されかけたのだから今更どうと言う事もないだろう……。

 子供の頃というのは本当に辛い。自分で道を選べないから、選べなかったから、選ばさせてもらえなかったから、選ぶことが恐ろしかったから、中途半端に選んで失敗していく兄の姿をまじかで見ていたから。そんなだったから親任せで他力本願に神風主義を貫いてきた。


 自立心が芽生え反抗期になった時にようやく掴んだ小さな小さな選択権。自分で選ぶ恐さを知って、無力であることを痛感して隣の芝生が青く見えた。今まで親の言いなり、他人の意見に同調してきたツケがきて僕は耐えられなくなってしまった。


 死への理想みたいなもの、死ぬ間際に一緒に居たい相手なんかの希望。重い想いがあったけれど、それは漫画やアニメから端を発したような夢物語のようなシチュエーションだった。どうせこの命終わらせるのならばその時好きだった人の助けになるような死にかたをしたいと強く願ったりした。けれども、今となっては、あんなことこんなこといっぱいある中の一つでしかないことに気が付いた。


 残される側のことなど考えたことも、考えることもしなかった。

昔から猪突猛進的な性格だった。これと決めてしまうと周りが見えなくなる。

一呼吸おいて周囲を見れるようになろうとも思ったが、どうにも体が先に動いてしまうのだ。

 私の周囲に居て昔からの私を知る人は、「君と性格の合う人ってなかなか見つからないと思うよ。自分でも君と一緒にいることに驚かされることはしばしあるんだよ」なんて笑いながら言っていたので、冗談で言ってきてるんだと思っていた。

今にして思えば自分のことしか見れていなかったので、周囲にうまく取り入れない私はどこに行っても浮いていた。

そういうところを見透かして忠告というか警告みたいなものをしてくれていたのかもしれない。

 今頃になって気付けたからってもう遅いんだけどね。


 私という人間は死に際に何を遺して逝くのだろうか?

 残せるものなんて何も無いのにね!



                        〜終わり〜


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