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魔の森と勇者4
「実は私、スライムの一匹も倒せないでクビになった元勇者なんです......」
「ハァ?」
悲しい、悲しいが真実を包み隠さず伝える。アリアスは眉間の皺を深くしているが、これまでの経緯をありのまま話す。己の能力に関することを除いて。
「こんなに不運な話もなかなか無いでしょう?ということで見逃してくださいお願いします」
土下座する勢いで頭を下げる。先程からなんだかんだこの魔王なら話を分かってくれるのではないかという淡い期待を抱いていた。
「......その話を信じるとして、どうやってスライムも倒せない勇者が魔の森を抜けてきた。俺を”一度殺した”あの力はどう説明する?」
分かってはいたが、やはり見逃してはもらえなかったようだ。それから聞き捨てならない台詞があったような。
「”一度殺した”?」
「ああ。間違いなく体内のすべての魔力が喪失したのを感じ取ったからな」