泣いて笑って怒ります!
え!? 私を好き!?
睦月が?
何かの聞き間違いかな……?
「ねぇ!睦月……センパイ!
私を好きって、ホント!? 」
2人は、突然私が出て来たことに、
すごくビックリしていた。
「え!? あ……えっと……」
「む、睦月センパイ!
優から逃げるよ!」
「え!? 」
に、逃げるぅ!?
じゃ、じゃあ、睦月が私のことを
好きなのはマジなのか……。
ダダダダダッ
地面が割れそうになるぐらい、
大きな音を鳴らしながら、
2人はいなくなった。
2人がいなくなった瞬間、
緊迫していた空気は、
いつも吸っている空気に変わり、
まるで、なにもなかったかのように
静かになった。
「ヤバいですよ!睦月センパイ!」
「だ、だね」
気づかなかった。
優があそこでずっと隠れて、
話を聞いていたなんて。
睦月センパイ、ゴメンなさい!
そう思っても、時間が巻き戻るわけでもなく……。
「もう終わりだー!」
睦月センパイは、がっくりと肩を
落としている。
「どーしよ。
絶対、今まで以上に嫌われた……」
てか、なんでこんなに真剣なんだろう。
気になったので、聞いてみた。
「この前さ、
響ちゃんに言われたじゃん?
『その人たちのことも、少しは考えて!』って。
そのことでさ、
真剣に考えてみた。
そしたら……
ゆ、優ちゃんが……さ? 」
へぇ。結構真面目で良い子に
なったじゃん。
「で? 他の彼女は? 」
「え? ふつーに、昨日4人ぐらいと
デートしたって感じ? 」
野郎ぶっ殺してやる!!
「はぁ。そんなことしてるから
優に嫌われるんですよ」
「え!? 」
は? そこビックリするとこ
ちゃいますからね? 睦月センパイ!
ガチャッ
響と睦月は、
静かに部屋の中に入った。
響は自分の部屋に戻る。
優は、さっき見ていたなんて信じられないぐらい、ぐっすり寝ている。
チュンチュン!
鳥の声が聞こえる。
外から、オレンジ色に淡く光る
明かりが窓を通して入ってくる。
朝……か……。
響はガバッと跳ね起き、
急いで睦月の部屋にかけて行った。
それを後ろから眺める優。
「む、睦月センパイ〜……!? 」
睦月は、宇島と話しながら
着替えていた。
「お、響ちゃん」
「おー、白瀬」
お、おー白瀬、じゃないよ!
「な、なんで!? 」
いや、よく考えたら、
なんで? なんて聞く私が馬鹿か。
だってここ、宇島センパイと
睦月センパイの部屋だもん。
なにしようと、
宇島センパイと睦月センパイの
勝手だもんね!w
「そ、それより!
優のこと!どうするんですか? 」
「え!? ゆ、優ちゃん!?
や、あの、その……」
しまった!
ここに宇島センパイがいるじゃあ
ないですか!
わ、私ったら!デリカシーなさすぎ!
「や、き、昨日!
優と社交ダンスのチーム組んだ時、
優を追いかけ回してたじゃ
ないですか!
だから、今日の朝優がめっちゃキレてたから、ど、どうすんのかなーって
思いまして!
ど、どうすんですか!? 」
しまった。
焦りすぎて、
すっごく長文になってしまった。
「そ、そそそそ、そうだな!
あ、あやま、謝んないとだなぁ!
ゆ、優の部屋!行くぞ!」
睦月センパイ!演技下手すぎ!
いつもは、
『やっほー。可愛い、
俺の子猫チャン』
なーんて言ってるくせにww
「で、さ?
優ちゃんが、俺にキレてたって、
ホント? 」
あー!しまった!
優のことが好きって言ってる人に、
こんなウソついちゃった!
もー!私ったら、デリカシー
なさすぎ!!
「いや、嘘です!」
「そう!よかった!」
睦月センパイ、本当に嬉しそう!
恋する乙女……いや、
恋する男だねw
「あ、響」
あ!優!って、
なんか睦月センパイのいる方から
ものすごーく熱い何かを
感じるんだけど……
睦月は、顔を真っ赤にして、
腕を小刻みに震わしていた。
(響ちゃん、なんか気にし始めたら、
すごいドキドキするようになってきちゃった……)
(大丈夫!優の顔を、
誰か彼女の1人と置き換えてみてください!)
彼女の誰か1人……。
美希でいいや。
「やあ、今日もかわいいネ❤️」
「はぁ? 気色悪りぃんだよ!
ハゲろカス!」
睦月は顔を殴られたのか、
優と話せたからなのか
わからないけど、顔を真っ赤にしていた。
「ねぇ、昨日のパーティーの後のことだけど……」
!?
「え!? なんで昨日のパーティー?
な、ななな、何があったの? ? 」
あー!私のバカ!
なんで、昨日の、あの状況を見た
優の前で、何があったの?
なんて聞くの!
「え? 昨日のパーティーの後、
耳元でドキンとするような言葉を
聞いてないから、言って欲しいってこと? 」
……。
「はぁ? 気色悪りぃんだよ!
ハゲろ!」
よかった。
睦月センパイが女ったらしでw
この時、白瀬は初めて、
睦月がすごいと思ったのであった。
「う、うまそう!」
こんな朝ごはん、見たことない!
いつもうちなんて、
トーストに、バターかジャム塗って、
牛乳、コップ1杯飲んでる
ぐらいなのに!
この朝ごはんなに?
白瀬たちの目の前に並べられた
ものは、
『トマトとハムとキャベツの
ハンバーガー』
『オレンジ』
『牛乳』
って…
ビズニーって……、
こんなご飯なの!?
「いただきまーす」
……。
みんな、これが当たり前なのか?
そうなのか……。
なんか私、ういてる?
「よーし!絶叫系乗る……」
「今日は、ここら辺探検しよーぜ」
へ?
「いや、絶叫系……」
「おーお土産屋さんだ!
なに買う〜? 」
「え、ぜっきょ……」
「みて!これ、
マッキーキャットじゃね? 」
な、なんで無視するの?
酷いよ……。
タタタタタッ
「あ、響!」
白瀬は、みんなに背を向け、
ダッシュでお化け屋敷に走って
いった。
はぁ。なんで無視したんだろ。
みんなから嫌われてるのかな……。
優も私の意見無視して、
「よーし!探索しよー!」
なんて言って……。
いや、私が自己中なだけ?
私が悪い子?
そう……だよね。
自分の意見だけを通そうとして……
昨日楽しそうに絶叫系を
やってくれてたのも、1日目
だったからだ。
2日目からは……もう……。
「……せ……。……ろせ!
白瀬〜!」
へ? だれ?
優?
いや、違う。
黒瀬!?
「おい、みんな心配してるぞ!
早く来い!」
「な訳ないもん……」
「はぁ? 」
だってそんなわけないじゃん。
話も無視して、
ういてるからって……。
「なんで黒瀬は来てくれたの? 」
「だって、じゃんけんで負けたんだもん」
へ?
自分の意思で来たんじゃないの?
「じゃん……けん? 」
「そう。じゃんけ……!? 」
白瀬は、声を出しながら泣いていた。
「し、白瀬!? 」
「な、んで? そんなに……いや? 」
もうやだ!みんなのことを
散々振り回して、好き勝手泣いて、
「ち、ちが……。
あーもー!
おごり!」
「へ? 」
おごり? 何のこと?
「だーから、
優から、お前がビズニー来たことないってことを聞いたから、
ビズニーのお土産、好きなだけ
買わせてやろうってことになって……!」
へぇ!嬉しい!
けど……。何でじゃんけん?
それこそ、私を嫌っているから
かな? ? ?
「『白瀬探しに行くやつは、
絶対にこのサプライズのこと
バラすんじゃねえぞ!
で? 誰にする? 』
ってことになったから、
じゃんけんってわけ」
よかった!ハブかれてない!
すごい嬉しい!
ハブかれてないことにも、
サプライズのことにも!
「連れて来ましたよ!」
「おー!どーしたんだよ、白瀬」
あ、普通だ。
なんとか、サプライズのことは
バレてないよって感じにしないと!
「お、お土産、みましょうか!」
なるべく自然な感じに!
「響に嬉しいニュースがあります!」
「好きなもの、好きなだけかっていいよ!」
うわぁ!おごりって知ってても
嬉しい!
はぁ。2日目も楽しかった!
あの後、明日は
絶叫系、いっぱい乗ろうなって
いってもらえたから、
たのしみ!
「ねぇ、響」
突然、優に声をかけられたので、
すごくビックリした。
「ふぇ!? 」
変な声……。
「あの……さ?
私、自然な感じにしてるんだけど、
睦月……どしよ」
!?
そ、そんな急に睦月センパイの
話題を出さないでよ!
「え!? ん、んー!
自然な感じで、全く動じてないって
感じだよ!」
優は、安心した顔をしながら、
「ふーん」と言った。
「もし告られたら、なんて言えばいいんだろ!」
確かに。
睦月センパイの恋を応援するとは
言ったけど、
もし本当に、睦月センパイが優に
告ったら、どうするんだろ。
「んー? その時の自分の気持ちを
伝えれば……」
「それが簡単にできれば、響に
聞かないよ!」
まぁ、それもそうかw
睦月センパイ、優に関しては、
すっごく真剣だから、今までの彼女とは別れるの……?
付き合えば、それでオッケーなの?
なんか、違う気がする。
「優!デートしよ!」
優は、はぁ? という顔で、
私のことを見て来た。
「あ、もちろん睦月センパイとだよ? 」
「そんなこと、分かってるよ!
なんで響とデートするのさw」
でも、いきなりデートって、
睦月センパイも、優も、
ギクシャクしちゃうよね。
優は彼氏いたことないし、
睦月センパイも、今までの彼女に
本気で向き合ったことないだろうし……。
「よし!Wデートだ!」
「え!? でも……、
響、相手いるの……? 」
……。
確かに……。
宇島センパイ?
絶対、「は? 俺と? 白瀬が? なんで? 」
っていうし……。
古田華センパイは……?
「えー? 僕と? 別にいいけど、
多分、彼氏ってよりも、
弟だと思うし、おねだりいっぱい
するよ? 」
……。
ロクなやついない。
!?
黒瀬だ!
黒瀬ならいけるかも!
「え? 俺と白瀬? いいよ!
もしかして、白瀬、俺のことが
好きに……」
……。
ロクな人いねぇ!
「んー? 今、白瀬、俺のこと考えた? w」
は……!?
なんで分かんだよ地獄耳kimosu!
「優のために、Wデートに行くの!
一緒に行こ? 」
「え? 俺と白瀬? いいよ!
もしかして、白瀬、俺のことが
好きに……」
やっぱりね!
ま、優のため。
1日ぐらいいいや。
それより、残りの数時間を楽しもう。
3日目は、普通に暮らし、
帰宅した。
優と響と話し合った結果、
明後日Wデートをすることにした。
睦月センパイは、目をハートマークにして、喜んでいた。
黒瀬と行くのには、さすがに抵抗がある。
しかし、これは優のためだ。
私は、この先起こる、
とても大変なことを、
まだ知る由もなかった。