やっぱり私は、君が好き
……!?
す、好きって……。
そのぉ……。ち、ちが……うよね?
私、黒瀬のこと好きだなんて、思ってないよね!?
けど無理。
違うって、言い切れない。
私は、心のどこかで思ってた。
私は黒瀬が好き。
そんな事、気づいてたけど気づかないふりしてただけ。
私は中3の頃の、あの肝試しで、確かに心の底から、
『好きなんだ』って、確信してた。
「中学校最後だから、楽しい事やるぞ〜!
まぁ、お楽しみ会的な、ね? 」
お楽しみ会か……。楽しそう。
なにがいいかな。
なにが楽しいかな?
そうだ!肝試しとかいいかも!
「ねぇ、肝試しとか、どう? 」
この子は私の友達で、クラスを引っ張ってる、リーダー的な女の子。
陽菜っていうんだ。
髪はいつもポニーテールで、毎日薄めの口紅をつけてる。
まぁ、なんというか、かなりオシャレな子なんだ。
私が陽菜に小声で言うと、陽菜はにっこり笑って、
「はいはーい!肝試しなんてどう? 」
と言ってくれた。
みんなもいいね〜と言ってくれる。
なんかこういうのって、「私が提案したんだよ〜」
って言いたくなる。
みんなで、賛成か反対か、多数決で決める事になった。
「賛成の人〜」
無論私は、手を挙げる。
あれ? 黒瀬があげてない。
反対なのかな?
「あれー? 黒瀬君、1人だけ手をあげてないけど、
反対なのぉ〜? 」
黒瀬は何かを言うと、
陽菜は、またにっこり笑って、
笑顔で「肝試しに決定ぃ!」
と言った。
おそらく、黒瀬は肝試しは嫌だったけど、
合わせないと何かと面倒だから、賛成と言ったのだろう。
いよいよペア決め。
いい人になるといいなぁ!
あ、12番だ。誰かなぁ。
「ねぇ、一樹君が12番だって〜」
え!? 一樹!?
「ゴ、ゴメン陽菜!一樹とペアだ!」
陽菜は一樹の事が好きなのだ。
いつも一樹の話になると、頬を赤くして、すごい笑顔になるの。
恋する乙女ってやつだね。
「い、いいよ。もう決まっちゃった事だし」
うぅ〜!なんていい子なんだろう、陽菜!
こういういい子は、いい思いをしたほうがいいんだ!
「陽菜!こっそり交換しよ!」
私は陽菜にそう言うと、陽菜の悲しそうな顔に、
まるで花が咲いたみたいににっこりと笑った。
で……。私は8番か。
「響!先生が、間違えて8番2個作っちゃったから、
響は本当は7番だって!」
7番か。
なんか今日はめっちゃ番号変わるなぁ。
でもまぁ、ラッキーセブン!
きっといい人になる!
く、黒瀬ぇ〜!? 全然ラッキーじゃないよぉ〜!
「しませんでした」
「はぁー!? なにがしませんでした、よ!
悪かったわね!私で!私も黒瀬なんてごめんだよ!」
あぁ。最悪。
なんか向こうの女子たちは、
私の事睨みながら、なんか言ってるし。
おそらく、私が黒瀬とが良かったのにぃとか言ってんだろうな。
でも、私くらいとこ苦手なんだよねぇ。
いつもは、怖い系、全然平気だし。
みたいな顔してるけど、お化け屋敷は無理。
ジェットコースターとか、観覧車とかは全然いけるけど、
お化け屋敷はほんと無理。
そんな中、黒瀬となんてやだなぁ。
よ、よし!やったるぜぇ!
「く、くぅろぉせ!ま、前行ってよね!」
やっぱ無理だよぉ!
行けるわけない。
ん? 黒瀬が私の後ろに行ってる……。
さては、黒瀬も苦手なんだな!
ならば安し……
「わ!!」
「キャーーッ!」
な、な、な!なによもぉ〜!
怖いよぉ……。
やめ……てよ……。ほ……んと……に……。
やだ。
泣いてるじゃん。私。
もう嫌。
全部嫌!
「ご、ごめ、白瀬っ」
「うっさい!最低!」
嫌だ。嫌いだよ。
けどなんで黒瀬……。こんなに心配してくれるの?
おかしいよ。
嫌なのに……。嬉しくなっちゃう。
あ。
私、黒瀬の事が好きになったんだ。
どうしようもなく好きなんだ。
「あ……。えっと……。
その……」
やだよ。
こんなにモテモテ黒瀬なんだ。
彼女の2、3人はいるよね。
私なんかが告ったって、せいこうなんてしないんだから。
「ゴメン」
ほら。
やっぱりそうなんだよ。
やっぱ……り……。
な、泣いちゃ……う……。
「ち、ちがくって、その、ゴメンっていうのは、
う、嬉しすぎて、頭がグルグルになってて、考えられなくて、
その……」
!?
ウソ!嬉しい? これって、成功……なの?
もうここがレストランなんて、忘れてた。
嬉しい。幸せ。
「じゃ、じゃあ、その……、付き合って下さ……!? 」
突然黒瀬が口を押さえてきた。
なに? なんなの?
「その……。こういうのは俺から……言いたい……な? 」
そ、そっか。
男の子のプライドってやつか。
「あ、改めて、お、俺と……付き合ってください!」
ニコッと笑い、
「こちらからも、お願いします!」
嬉しい。
なんて幸せなの?
嬉しい!
「ね、ねーちゃん……? 」
は、隼人!
なんで? あ、ここレストランじゃん!
「黒瀬!し、仕事仕事!」
なるべく普通に、何事もなかったかのように仕事をする。
お願い隼人!見てないよね?
「ただいま……」
「おかえり。そういえばねーちゃん」
驚いてしまう。
やっぱり隼人、聞いてた!?
「今日、自ヶ学の小学生の部のところで、
不審者侵入のやつやったんだー」
な、なんだ〜。
黒瀬のことじゃなかった。
「ねーちゃん」
「はいぃ!」
こ、こんどこそ!?
「醤油とって」
よ、よかった〜。
もうビビるからやめてよ。
「ねーちゃん」
「なによもう!」
さっきからうるさい。
黙ってくれ、頼むから。
「なんで黒瀬と付き合うことにしたの? 」
わぁ!
手に持っていたお皿を落としそうになる。
やっぱり、見てたのね?
もう隠せない。
ほんとのこと言わないと。
「うん。黒瀬と……」
「俺の気持ちは無視したんだ」
被せ気味に隼人がそういう。
無視したって……。
だって姉弟関係だから、しょうがない。
「なんでもない。
しょうがないよ。黒瀬の方がいいって、神様も言ってるよ。
きっと」
なんか悲しい。
プルルルルッ!
スマホから音がなった。
優からだ。
なんだろう。
「もしもし」
「やばいよ響……」
ん? ヤバイ? どうしたのかな?
家が燃えたのかな?
「家が燃えるよりヤバイよ」
ご、強盗!?
「なんと……」
優が何かを言おうとした時、
突然もう1人、家の電話が鳴った。
知らない番号からだ。
「ちょ、ちょっと待ってね。」
「もしもし」
「響ちゃん? 俺だよ!睦月睦月!大ニュース!あのね!」
察し。
白瀬は家の電話と、自分のスマホを、ピッタリとくっつけた。
『睦月先輩と付き合うことになりました!』
『優ちゃんと付き合うことになりました!』
2つの受話器からなにも聞こえなくなった……と思った瞬間、
「響!」
「響ちゃん!」
二つから怒鳴り声が聞こえてきた。
私は二つの受話器にこう言った。
「おめでとう。じつは私も、黒瀬と付き合うことになりました!」
2つの受話器から、歓声的なのが聞こえてくる。
なんか、とてつもなく嬉しい!
すると、インターホンが鳴った。
2人には、電話を切るね!といい、外に出た。
黒瀬がいた。
いきなり腕を引っ張られる。
「お前ん家、弟がいるだろ? 」
もしかして、これからの将来のことでも話すの……?
「ちがう!期末テストの話!」
なんだ、つまんない。
「で? 勉強道具、持ってきてないんですけどぉ? 」
私がそういうと、黒瀬は顔を赤らめた。
「いや、デ、デートの話……だよ」
私の顔もあかくなっていく。
この前はWデートだったから、2人だけでデートをしたいという。
たくさん話した。
いっぱい、いっぱい。
気付いたら3時間も経っていた。
それでも話し続けた。
明日のデートが以上に楽しみ。
こんな気持ち、初めて。
宇島センパイは、もうどうも思わなくなってる。
好きってすごい。
やっぱり私は、君が好き
だったんだ。




