へ? 理解不能!
私、隼人になんか悪いことしちゃったのかなぁ……。
白瀬はとても罪悪感というものを
感じていた。
家に帰ってきた。
ゆっくりとドアを開ける。
黒瀬と直也は帰っていた。
隼人はもう寝ている。
その日の夜は、珍しく、なかなか寝つけない日となった。
次の日は、5時30分に起きた。
朝食を作り終え、学校の支度をする。
7時に隼人を起こす。
そこからいつも通りご飯を食べ、7時50分ぐらいに家を出る。
きちんと鍵を閉め、ゆっくり家を出る。
隼人とは一言も喋らずに自ヶ学に行った。少し胸が痛む。
隼人、どのくらい私のこと嫌いになっちゃったのかなぁ。
黒瀬が、おはようと言ったのち、
気を使った感じで、隼人とのことを聞いてきた。
普通だよ、と、笑顔で言った。
隼人の言ってた通り、少し無理を
しすぎてるかもしれない。また作り笑顔をしてしまった。
もうクセだから、直しようがない。
あまり授業に集中できなかった。
明日隼人の誕生日。
だけどどうすれば良いのだろう……。
ずっと俯いていたことに気づいた優が、私の肩を軽く、ポンと叩き、私の顔を覗き込んできた。
「どうしたの? 」
優には昔から気を使うなどということはしない仲だったので、正直に全てを話した。
そしたら後ろから、ハァッという
ため息が聞こえた。
後ろを振り向くと黒瀬がいた。
「なんだ。普通じゃねぇんじゃん」
黒瀬にそう言われて、優にも心配されて、泣きそうになってしまった。
自分が兄、姉の人ならわかる人も多いと思う。
1番上だと、甘えちゃダメとか、
泣いちゃダメって感じが強いんだよね。
ズズズッと鼻を鳴らす。
なんとか涙を止めたのに、黒瀬が、
「無理しないで泣いていいよ」
なんていうから、我慢してた涙が、
ポロポロ落ちてきて、
優にギュウッとして、不覚にも泣いてしまった。
黒瀬が慌てて、私のことをすごい心配してくる。いつもうざい黒瀬が、
なんだかとても優しく感じられる。
優に頭をよしよしっとされると、
余計に涙が溢れ出してきた。
部活に行こうとしたら、隼人と同じ
クラスの子に止められた。
なんだろうと思ったら、隼人のことだった。
「今日隼人、すごい元気ないんすよ。
姉さんからもなんか言ってやってもらえないっすか? 」
そう言われたから、
『私も悲しい。けど、私は何も
怒ってないし、何も怖くないから、
元気出して』って言っといてって言ったの。
美香さんと一緒にマネの仕事してた。
女子力、フルMAXの美香さんにはやはり気づかれてしまった。
どうしたの? って聞かれたから、
正直に答えたら、無理しなくていいのよって言われたから、少しホッとして、また涙が出そうになった。
美香さんにも、隼人にも、黒瀬にも、
Cにも、無理しなくていいなんて言われたけど、そんなに無理してるように見えるのかなぁ。
古田華センパイも心配してくれた。
そして、なんと宇島センパイまで!
宇島センパイの前では、流石に
作り笑顔をして、無理をしてしまう。
宇島センパイも、
「あんまり無理すんなよ」
と言ってくれて、嬉しかった。
けど、なぜか知らないけど、
前みたいに、心臓がキュッてなって、
ドキドキしちゃうってことが、
なくなってきたんだよね。
帰り道、今日の朝は時間があったので、自転車で自ヶ学に来たから、
自転車で素早く帰っていた。
家の前に来た。
そしたら当たり前だけど、隼人の
自転車が家の前にあった。
家に入ろうと思ったけど、
ドアノブを開けることができなかった。そのまま気づいたら、
黒瀬の家のインターホンを押してしまっていた……。
黒瀬が出て、驚いた様子で
「どうしたんだよ」
と聞いてきたから、
おうちに入る気がしなくてというと、
黒瀬は
「今ねーちゃんも友達ん家にいるし、
親も仕事だから、しばらくいれば」
と言ってくれたので、ありがたくお家に入らせてもらった。
お菓子とオレンジジュースを
出してもらったので、ありがたくいただいた。
不思議と、とても美味しかった。
黒瀬はソファーに横になって、
私に話しかけてきた。
「なぁ、なんで喧嘩になったの?
てか、なんで白瀬が謝んの?
悪いのは、明らかに隼人だろ? 」
違うよ。黒瀬は何もわかってない。
悪いのは私なんだよ。
隼人の気持ちを全然わかってやれないで、叩いたりして、私が悪いんだよ……?
そう思えば思うほど、悲しくなってきちゃう……。
黒瀬は悩みこんでしまった。
「う……ん……。
そいつはぁ……2人とも悪い……?
いや、やっぱり隼人が悪いぜ?
男のくせに逃げるとか……。
恥ずかしくねぇのかよ」
そ、そんなにボロクソ言わなくても……。
白瀬は少し怒り気味に言った。
しばらく沈黙が続いた。
「あ〜、こーゆーの無理!
正直にお互い謝ろうぜ!」
えぇ〜……。それができればいいんだけど……さ?
黒瀬はバスケの自主練を、古田華センパイとするとか言って、
自ヶ学にいった。
私は少し肩を震わせながらも、家のドアを開けた。
「た、ただいまぁ……」
いつもなら、なにをしていても、やってることをやめて、
おかえり〜と言ってくれるのに、
今日はどうしたんだろう。
「は、隼人ぉ? 」
隼人を呼んでみる。
なかなか反応がない。
リビングに来ると、隼人は床に寝そべってゲームをしている。
少し悲しくなる。
隼人のすぐそばに正座で座る。
隼人も私を不思議そうな表情で見る。
数秒時間が流れる。
「ゴメン!」
「ゴメン!」
白瀬と隼人が同時に謝った。
2人は一瞬、目を大きく見開いて、
驚いていたが、しばらく経つと、
2人で大笑いした。
すごい。ハモった!
けどなんで隼人が謝るの……?
「ねぇちゃん、ゴメンな」
へ? なんで隼人が謝るの……?
「いっつも無理させちゃって、いっつも迷惑かけて。
本当にいつもいつも、ゴメンな」
そんなことないよ!
全力で否定する。
私がどんなに否定をしても、真面目な顔で私を見つめてくるから、
我慢できなくなった。
「確かにいつも無理してる。
けどそれは、隼人のせいじゃないんだよ。
私は、自分が隼人が心配で、
自分が助けたいと思って、隼人におせっかいをしちゃうの。
なにも、隼人は悪くないんだよ」
本当に、今言ったことが、嘘偽りのない、
本当のことだ。
これで本当のこと言えなんて言われたら、
なにも言えなくなっちゃうよ?
隼人はしばらく口を開かない……と思ったら、
突然喋りだした。
「本当に!? ねーちゃん、俺のこと嫌いになったり
してない? 」
当たり前じゃん。
嫌いになるどころか、どんどん好きになってるよ!
そのことを聞いた隼人は、どうしようもなく
嬉しそうな顔をして、ニッコリと、歯を見せて笑った。
そのあと、黒瀬に電話ををかけた。
「んー? 白瀬ー? なに? 」
黒瀬には、仲直りできたよ!という報告を告げた。
「チッ!」
へ?
今一瞬、舌打ちのような音が、電話越しから聞こえてきた気がする。
「よかったじゃん。
俺のアドバイスのおかげだな!」
黒瀬のアドバイス、なににも役立ってないけど? ww
そこから少し無駄話をしてから、電話を切ろうとした。
その時、
「そのまま仲が悪いままだったら良かったのに……」
え? ぼそぼそ声で、よく聞こえない。
「何でもねぇよ。じゃあな。おやすみ」
なんだなんだ?
まあいいや。
電話を切った。
お風呂に入って、少しテレビを見た後に、ベットに向かった。
隼人も目をこすりながらついてくる。
ベットで寝ようとしたその時、
驚きの出来事が起こった。
例えで言うと、日本列島が1時間でブラジルのとなりまで行ってしまったぐらい。
(それは言いすぎた)
本当に驚いた。
「ねえ、ねーちゃん、まだ起きてる……? 」
「起きてるけど……。なに? 」
隼人に突然名前を呼ばれたので、少しビックリしながらも、
返事をした。
「あのさ……」
「うん」
「俺、ねーちゃんが好きだわ」
ん……?
「姉弟関係で好きとかじゃなくて、
本当に、心から……好き……」
へ? 理解不能!




