バスケ部は楽しい!
「きた!白黒コンビ!」
(嫌だ。こんな奴と、名前が一文字しか違わないなんて)
そういったこの女は、『白瀬 響』
問題の、“そんな奴”とは、このチャラそうな男、『黒瀬 響』……
男子と一文字しか違わないってだけでも嫌なのに、まさに『泣きっ面に蜂』というか、
『踏んだり蹴ったり』というか、なんとこのチャラ男、世間からするイケメンって奴なんです!(しかも金持ち!)
まぁ、他の天然な子とか、おめでたい子とかは、
「イケメン君とたった一文字違いの名前とか、サイコーじゃない!!」
なぁーんて思ったりするかもだけど、この私は違う。
第一、黒瀬とは幼馴染だし、かっこいいなんて思ってない。
んで、一番怖いのは……イ、ジ、メ!!!少女マンガでよくあるアレ!こわっくて仕方ない!
「でも私は、『宇島 海斗先輩が好きなの!
あの整った顔に、少しクールで、きらめいている瞳!もうあの顔で「おはよう」
なんて言われたら、すぐに昇天しちゃいそう!」←喋っているw
「おい、うっせーぞ、白瀬(笑)」
「な、なに!黒瀬は黙れ!」
「ゴメンゴメン(笑)」
「その、(笑)っての辞めて!」
「ゴメンっちゃ〜(笑)」
「ブチ切れんぞ? ゴラ!(注 白瀬です)」
「ヒャァ!ゴメン!」
「ふん!」
「ねぇ、響〜」
その声と同時に、響の肩をポンッと誰かが叩いた。
「あ、優ちゃーん!」
この子は『蒼葉 優』。白瀬の、一番の友達だ。
「あ、響がちゃん付けでうちのこと呼ぶってことは、、、
イライラしてるのね……笑」
そう。私は普段は男女関係なく呼び捨てで呼ぶのだが、
むしょうにイラついたら、無意識でみんなのことを(黒瀬以外)、ちゃん、君付けで
呼ぶという癖が昔からあるのだ。
「あーゴメン。なんか、今日も黒瀬がさ……」
「はい。響の愚痴は聞き飽きました〜笑笑」
「もう!聞いてよぉ〜」
「ゴメンッて」
「いや、いいけど……さ」
「ねぇ、そろそろ部活行こ〜」
「うん。わかった〜。確かバスケ部のマネに入ったんだよねぇ〜」
「そうそう!キンチョーするわぁ〜!たしか優もだよねぇ〜」
「うん!先輩たちと楽しみだな!」
「じゃあ私も優と頑張るわ!」
「ありがとう!私も響と頑張るね!」
「うん。ま、気ままにボール拭きでもするんじゃないかと思うけどネ」
「でも先輩怖いかなぁ」
「分かんなぁいよ(笑)けど、きっといい人ばっかだよ」
「ダネ」
そう言った優は、硬直した顔がいつもの穏やかな顔に変わった。
「失礼します……」
そのドアを開けると、目の前にはとても重苦しく、気まずい雰囲気の部屋が広がった。
「あ、あのう……。バスケ部のマネージャーとしてきたものなのですが……」
「あぁ、女子マネの2人か!確か響ちゃんと優ちゃんだよね」
重苦しかったその部屋は一気に明るい部屋に変わった。
「はい!そうです」
2人は口を揃えてそう言った。
「って、あぁーーーー!!!!く、黒瀬!」
そう言った白瀬の目の前には、なんと黒瀬がいた。
「よ!白瀬」
「な、なんで黒瀬がここにいんのよ!」
「だって俺バスケ部だもん。いて当たり前」
「き、聞いてない!それに、お坊ちゃんはこんな汗臭いとこでバスケなんかしてないで、
家の中でのんびり紅茶でも飲んでれば!!」
白瀬は鬼のような形相で黒瀬を睨みつけた。
「まあまあ、落ち着いてよ、響」
優は白瀬をなだめながら言った。
「このクズ野郎相手に落ち着いてられっかっての!」
「そうだ!響って名前、どこかで聞いたと思ったら、黒瀬の名前じゃん。
そ、れ、に、響ちゃん、俺らのことけなすのはいいケド、
『汗臭い』とかって、バスケのことけなすと……怒るよ?」
そう、『睦月 遥希』先輩はとてもかっこ良い顔で、
作り笑顔を見せ、少し怒りながら言った。
「ス、スミマセン!」
「んあぁ、イイよ。俺もいきなりゴメンねぇ〜」
「ゴ、ゴホン、俺の前でラブラブすんな。じゃ、じゃぁ、部活のメンバーを紹介
すんぜ。俺がこの部活の部長の宇島だ。」
う、宇島センパイ〜!!カ、カッコよすぎ!
「響ちゃん、この宇島って人この前、彼女にフラれたんだよ。
だからヤキモチ妬いてんだよwで、俺は遥希な〜」
「おい、睦月、喋り過ぎっと、キレんぞ。」
宇島センパイは、顔を赤らめた。
こんな宇島センパイもカッコよすぎ!てか、宇島センパイ彼女いたのか……
け、けど今は、ね?
「僕は古田華 千聖だよ〜」
んで、いかにも腹黒そうな、誰の心も射止めてしまいそうなこの小動物みたいな人が
『古田華 千聖』だそうだ。とても私のタイプとは言えない。
「響しゃん、なんで僕のことを汚い動物を見るような目で見んの〜」
そう古田華は心配そうな顔で言った。
「ん? え、あ……。私、そんな目してました? 」
白瀬は必死に首を振り、否定した。
「だぁ!……イッタァイ!」
白瀬は首を振り過ぎて転んだ。
「ぷ、ぷぷぷ、な、なぁにやってんだよ、白瀬!ww」
「く、黒瀬!うっさいなぁ!もう」
「2人とも仲いいな。まあ、いいからバスケやんぞ」
「は……い……」
「おい、マネージャーの方はちゃんとボール拭きできてっか? 」
「あ、ハイ!順調です」
「はい。快調デス」
白瀬と優は、汗を流しながら笑顔で答えた。
「そういえば、この部活って、黒瀬以外みんな標準以上の顔で、性格までいいのに
なんで女子マネ、美香さんしかいないんですか? 」
美香さんとは、この部活の唯一のマネジャーで、とても私たちにはかなわない
ぐらいすっごく可愛くて強い……、そして黒瀬のお姉さんだ。
「そうねぇ、確かに私以外何人か入っては来るんだけど、
みんな一週間ぐらいでやめちゃうのよねぇ。響ちゃんと優ちゃんは
そんなになんないでね!」
「はい!もちろん!やめる気なんてないですよ!」
「私もやめません!」
「ありがとう!よろしくね!」
「んー。俺らからもサンキューな。ま、頑張れよな」
睦月センパイは満面の笑みで歯を見せて笑った。
「うん!僕らからもよろしくね!」
古田華センパイもペコッと頭を下げた。
「ま、よろしくねん、白瀬ちゃんwww」
「アッタマくるし、イラつくから黙って」
「ハハハ……」
みんなは苦笑いをしながらこっちを見つめてきた。