救世の魔王様は■■がお好きw
第1作『救世の魔王様は豹変するのがお好きw』
第2作『勇者VS魔王←状態:ゲーム中』
第3作『とある神様の日常談話ー魔王とのお茶会』となっております。
一応本作だけを読んでも分かるように作りましたが、第1作からご拝読する事をお勧めします。
ー軽く全作品まとめー
1話:魔王様は邪神を強制的に女神様の元へ送った
2話:邪神戦前話、勇者VS魔王様。最後に魔王様がブチ切れた
3話:聖女神様と魔王様の対談。ぶっころさん誕生&自称魔王を成敗した
「ねえ、兄さん。」
「ん?何だ?」
ズズズ…音を立ててお茶くを啜っていた金髪ショタこと魔王様は顔を上げた。
さて、今日もほのぼの…否、ツッコミどころ満載で進むであろう神々のお茶会(仮)。メンバーは勿論聖女神様とその兄である魔王様とぶっころさん。
…そして真打ち、聖女神様の眷属こと神使様である。
「何で私の眷属が此処に⁉︎」
「呼んだからだろ、JK」
JK=常識的に考えて。
…じゃなくて。
聖女神様は何か言おうとするが言葉にならないらしい。さながら金魚の如き口パクパクを披露している。
さて、そんな話題の神使様であるが、呑気にハムスターを撫でていた。
…呑気過ぎだろ⁉︎お前の話してるんだぞ⁉︎
そして魔王、お前も呑気過ぎだ!何故もう話は終わったな的な雰囲気を出して茶を啜る⁉︎
「……いやいや、だって私、本神殿を動くなって言ったと思うんだけど…⁉︎」
おい。
疑念の目が魔王様と神使様へと向けられる。
「そうなのか?虹硬貨1,000枚渡したら来てくれたぞ?」
「サラッと爆弾発言したよこの兄‼︎」
おい、魔王(呆れ)
さて、以前虹硬貨について紹介したと思うが、ここでサラッとおさらいすることとしよう。
虹硬貨とはこの世界における最も高い価値を持つ貨幣である。(最も、この世界に紙幣は無いため貨幣という表現は適切では無いが。)虹硬貨1枚は日本円にして500万円だ。
此処まで言えば「は?」と思う人が多数出てくるのでは無いだろうか。
魔王様は「虹硬貨1,000枚渡した」と言った。つまり日本円にして50億。1人呼び出すためだけに、だ。そりゃあ金欠どころかお金を持っていない聖女神様が驚く事も仕方ないと言えよう。
はぁ…と深く溜息を吐いた聖女神様は嬉々として蜜柑を食べる神使様に目を向ける。
と言うか神使、だからお前の話だと言っているだろう。
「…で、何で君は言ったことを守らないかなぁ?」
「仕方ねーだろ?金が俺を呼んでいたんだ。」
「何処が仕方ないんだよ⁉︎」
おい(真顔)
守銭奴神使は伊達じゃ無い。改めて理解したことだった。
あと、せめて眷属なんだから敬語使えっていう(略)
さて、先程から省られ気味のぶっころさんだが…一心不乱に本を読んでいる。
「ところで魔王様よお、ソイツ…あー、ぶっころさん?だったか?は何を読んでやがるんだ?」
「露骨に話を変えやがった⁉︎」
魔王様&神使様はスルー。
「この世界の司法の本だ。」
「んだよ、司法関係の職業にでも就かせるつもりかぁ?」
と、言っている間に六法全書的存在を読み終えたぶっころさんは一言、
「ほうりついんすとかんりょー♪じかいからほうにふれないようにこうどうかのうです?」
翻訳:法律のインストール完了しました。次回からは法に触れないように行動可能です。
…成る程その為か、魔王。
そんなに仕事をやりたく無いか、自城警備員が良いか。
「成る程なぁ、仕事代理人って訳か?」
「ああ、そうだな。」
「どんだけ仕事したく無いんだよ⁉︎」
「クッソ、俺も眷属とか作れたら惰眠を貪りながら金稼げんのによッ!」
「どうしよう、私の周りに真面な奴が居ない⁉︎」
聖女神様はおよおよと泣きながら胃痛の友を出し、一錠飲み込む。お疲れ様です。
「さて、まあ俺はこんな駄弁るために虹硬貨1,000枚を払った訳じゃない。」
「だろうな⁉︎」
逆に駄弁るためだけに虹硬貨1,000枚…50億円を払ったなら散財家も驚きである。
「本日、この世界はお正月だ。」
「「「…?」」」
示し合わせたかのように聖女神様、神使様、ぶっころさんの首が(ぶっころさんは体だった)傾く。
やっぱその反応だよなッッッ‼︎でも妹もかよッッッ‼︎とマイペースな魔王様がツッコミを入れ…ただと⁉︎
明日は槍が降ってきます。全世界防御展開!急げーー‼︎
あ、因みにこの世界には「お正月」と言う概念は無いが、聖女神様は異界の神と交流しているし、神使様も神託でずっと聞かされたから知っている。ぶっころさんには知識として生まれた時から刷り込み済みである。
魔王は慰めに来たハムスター…因みに今回はジャンガリアンハムスター…を撫でながら一言。
「ああ、妹は母上に再教育を施されるのか…ご愁傷。」
「え、ちょっちょっと待って。今思い出しますので‼︎」
魔王様の口から飛び出た「母上」と言う言葉に聖女神様はビクゥッ‼︎と跳ね上がった。
顔を蒼白にさせ、あたふたと右往左往する聖女神様。魔王様は呑気にお茶を啜っている。良かった、槍が降ってこない。
その横では「何で正月なんだぁ?」「さあ?」と疑問を隠さない2人(正確には1人と1匹)が居た。
「…お母様に扱かれるという事はお母様関連の事のはず…‼︎何なの⁉︎働け、私の灰色脳細胞‼︎」
「ちゅーにびょうはっしょうなすったです?」
翻訳:中二病を発症しましたかね?
「みてぇだなぁ。痛々しいったらありゃしねぇ。これの眷属とかマジありえねぇよ。」
おい、神使。
仮にも主人の目の前だぞ。言葉をオブラートとオブラートで包みその上で敬語に直すくらいしろ‼︎(←オブラートに包み過ぎだろ)
「分かった!お母様とお父様の結婚記念日‼︎」
「おめでとう」
「やった!」
威厳を手放し聖女神様はとても喜んでいる。
「母上の扱き決定な♪」
「まさかの死刑宣告⁉︎」
乙女な一瞬で恋に落ちそうな蕩ける笑みで死刑宣告。流石魔王にしてぶっころさんの生みの親。エグい。
「さすがまいますた!いってることがちょうえぐいぜ!」
「キャラ変わってんぞお前。」
諦めろ、それが真実だ。
守銭奴神使様も聖女神様の眷属らしい。金と娯楽以外にはツッコむ。
その側でぶっころさんはジャンガリアンハムスターと共に魔王様に尊敬の目線を向けている。
と言うかジャンガリアンハムスター何してんの⁉︎
べりーつっこみたい。
「……で、正解は?」
落ち込み状態からザオなんとかで復活した聖女神様は正解を求め魔王様に問う。
え、お前ガチで分からなかったの?冗談のつもりだったんだけど?魔王様の表情は驚愕に染まっていた。
「え?この世界の始まりの日だろ?」
SYO・U・GA・TSU___それは、年の始まり。それを魔王様は世界の始まりと拡大解釈した訳である。納得いただけただろうか。
さて。
おーまいごっと。片言の英語で発せられた言葉と共に聖女神様は撃沈した。最早ただの残念な子である。
神使様は初耳だったらしく「へぇーマジか」と宣いぶっころさんは「そーいやそんなちしきすりこまれてたです?」と如何やら刷り覚えがある様子。ジャンガリアンハムスターは我関せずを決め込んでいる。
「兄さん…今年1年間お仕事押し付けないから…お母様の扱きだけは…ッ」
どんだけ嫌なんだよ、聖女神様。
「すまん。本人を連れてきてるからもう手遅れだ。」
無慈悲な宣告第二弾。その言葉と同時にバタンッという派手な音を立てて庭園と魔王城(笑)を繋ぐ扉が開かれた。
髪を靡かせ背より吹雪を舞い散らせる一つの神影は口元に純金製の奥義を押し当て言い放つ___ッッ‼︎
「あらあら、聖女神ちゃん?お母様の有難い勉強を受けたいようね。」
「大魔王見参…だと…⁉︎」
聖女神様は目を見開いて頭が痛くなるような台詞を言う。
太陽を思わす金色の御髪に翡翠色の双眸。金の装飾が施された黒衣を纏う妖艶な女性。さながら魔王様女バージョンである。
___ココだけの話、実は本気モードだと黒髪に赤と水色のオッドアイになるのだ。
「おお、ちょうど良いタイミングだったな母上。狙ってたのか?」
「ええ、狙ってたわ。」
おい(真面目)
「流石母上‼︎」
「よっさすがまおうのははおや‼︎」
親が親なら子も子。主人が主人なら眷属も眷属。魔王様が完全なる母親似なのは確定である。
真面目な感性はどこに行った。作者は必死に探すが場所が悪い。
何せここは天下の大魔窟、珍獣しか存在しない神々の休み場なのだから___。
「まあ、潔く諦めることだな、妹。」
「あきらめはたいせつです?」
「だなぁ、こればっかしは忘れやがった聖女神の落ち度だからなぁ。」
「お勉強会が楽しみだわぁ…」
魔王様の言葉に賛同する1人と1匹、そしてじわじわと聖女神様のメンタルポイントを削りに掛かる魔王の母上。
「味方が…居ない……。」
おう、じーざす。聖女神様のメンタルポイントはレッドゾーンだっ!
君の犠牲は特に重く無かったが(コメディー要素として)素敵な犠牲だった。南無三。
「さて、面白美味しい展開in庭園はここまでとして、おせち料理を食いに行くかー」
「おっせち、おっせち!」
先程の聖女神様にキツイ展開をあくまでも前座だと言い切り、魔王様は立ち上がり城の中へと消えていく。それに追従するかのようにぶっころさんも城へ入っていった。
「安心してね、聖女神ちゃん。特訓は正月が終わってからよ。」
何処を安心しろと。(←正月を無事エンジョイでいるところ。)
魔王の母上は颯爽としたお姿で扉へと踵を返す。神使様は「っしゃぁ!タダ飯!」とロクでも無いコメントを残して聖女神様の横を過ぎ去る。
「辛い…周りの面子が濃すぎて。」
「おーい、妹、さっさと来いよー。」
「でもー…」
不貞腐れた表情を見せる聖女神様に、兄上は言い過ぎたか?と思い右手で頭を掻く。
はぁっ…重い溜息を吐いた魔王様は庭園へと戻り、聖女神様の横まで来た。
ぽんっ。聖女神様の頭に妙な暖かさが加わる。
驚き目を見張る。ゆっくりと上を見上げれば…慈しみに満ちた表情を見せる魔王様が居た。
「行くぞ、折角の正月なのにこの世界の女神が楽しまないと言うのは酷だろ?今日くらい羽目を外して楽しめ。」
なっ(驚愕)
「兄さん…。」
魔王様が兄らしい事を言った…⁉︎やはり明日は天災級の大事件があるに違いない。
さて、気を取り直して。
すっと別の方向を向いて「それに」と付け加える。
「お前の神気が下界に影響を与えないように折角結界を張ったんだ、楽しんでもらわなきゃ困る。」
何時も迷惑を掛けてるしな、と照れながらの呟き。何コレツンデレ?いや、何時もツンツンしていないからボケデレだろうか。(←…ツンデレで良くね?)
「くっ魔王ちゃんの笑みの破壊力…これがイケメンの力なのね…ッ⁉︎」
「兄弟やってんなぁ、おい。」
「ぼくもこきつかえるやつがほしかったり?」
馬鹿げた事も程々にして欲しい発言をする魔王の母上、割と真面なコメントをする神使様、そして本音が酷いぶっころさん。
っておい。何回つっこませる気だ。
本題に戻る。
自分の言った台詞が余程恥ずかしかったのか、ガシガシと自分の頭を掻くと「兎に角行くぞ」と言い残し颯爽と立ち去った。魔王様マジイケメン。
「……うんっ!」
その背中に満面の笑みを返し、聖女神様は小走りで追いかけた___。
のだが。
「「…何、コレ。」」
聖女神様、魔王の母上がドン引きするおせち料理こと見た目がリーサルウェポンな何か。
グツグツという心地良い音と反しえげつない色の煙を上げていた。
魔王様はそれを味噌汁椀に注いで炬燵に入り、ぶっころさんと愉快な仲間達+神使様と共に手を合わせて頂きますをしようとしていたのだが…絞り出したかのような聖女神様の声が響く。
「何ってお雑煮風御節闇鍋だが?」
「やみなべー!」
「うわぁ、久し振りだなァコレ。マジうまいんだよな。見た目はアレとして。」
それが何か?と首を傾げる1人と人外達(ぶっころさんは首では無(略))と嬉しそうな顔をする神使様。如何やら闇鍋を食べたことがあるらしい。
…もう、何も言うまい。存分にお食べなさい(諦め)
フリーズした3人を見て、再び首を傾げた魔王様だったが…まあ良っかと何時ものマイペースぶりを取り戻し皆(2人を除く)頂きますをして闇鍋を頂き始める。
「見た目壊滅的なのに超美味えよな。何かしてんのか?」
「いや、何もしてないぞ?」
そう、魔王様は何もしていない。これは唯の世界単位の魔王様補正なのだ(遠い目)
まあ、何にせよ。
本世界の魔王様は…本日もナレーションの喉を枯れさせるのが上手い。
「闇鍋美味し」
…マイペース過ぎな1日からその年は始まった。
魔王…基本マイペースなショタ金髪少年。瞳は緑色で好きな料理は闇鍋とお雑煮。最近は異世界交流をしている。働かない事を至高とし、堕落した生活を過ごすためには努力を惜しまない。他人を煽ったり弄ったりするのは十八番だが、自分からは口で言うだけで手を出さず、必ず相手から手を出させるようにしている。天性チート野郎。実は“神族”である。ツンデレ(ボケデレ?)。魔王モードだと、黒髪に赤と青のオッドアイになる。
ぶっころさん…魔王様の眷属でおかしなニュアンスで言葉を発する。魔王様と同じく煽ったり弄ったりするのが十八番。好きな料理は魔王様の好物+アメちゃん(チョコレートはノーカン)。翻訳すると言葉が汚くなるのはご愛嬌である。種族は“付喪神ver.人形”。
神使…今回初登場のキャラクター(前作では名前だけが出てきた)。守銭奴で聖女神様とは違い金持ちである。だが金を使って己の力を誇示するのは好きでは無く、ただ単にお金が大好きなご様子。この世界唯一の“神人”で聖女神の加護によって死者蘇生をする事ができる。基本自由奔放で聖女神の事は敬っていない。魔王の友人。
聖女神様…魔王の妹で聖女神をしており多くの種族から信仰されている。この世界の管理者で多忙な神である。威厳に満ちた聖母だとされているが本当は残念なロリである。本作のツッコミ役。話が進む毎にその威厳は崩れていっている。真面。
魔王の母上…今回初登場のキャラクターで金髪に緑色の瞳を持つ。魔王様ver.女。性格は非常に魔王様と似ているが(魔王様の方が似たのだろうが)、魔王様は【常識<超えられない壁<お巫山戯心】となっているのに対し、魔王の母上は【常識≦お巫山戯心】となっているので、魔王の母上の方がまだ真面。本気モードだと魔王様と同じく黒髪に赤と青のオッドアイになる。
ジャンガリアンハムスター…魔王のペットの1匹で人の言葉が理解できる。ゴールデンハムスターと同じく神力を持つ。
愉快な仲間達…魔王がペットとして魔王城で飼っている最強の魔物達及びこの世界には本来ならばいない生態系達。詳細は『勇者VS魔王←状態:ゲーム中』で。(←面倒臭がりました。すいません。)詳しく語られるかは今後の展開による。