第三話 お友達になってください!
新キャラ登場です。プロフィールはまた今度ということで。
皆さん、おはようございます。久野 優希です。
現在俺は、母と姉に連れられ、デパートに来ています。今の服装は、小学生の頃お気に入りだった白のパーカーに姉ちゃんの中学の頃の黒いミニスカートです。
「これ、新しい服要らないんじゃ……………」
うちは思い出はとことん残す家なので、昔の服とかは使い物にならなくなるまで置いておく。
つまりだ。俺の小学生の頃の服がピッタリの今の俺の体型では、昔の服だけで十分だ。新しい服は必要ない。
「何言ってんの。女の子がいつまでもお古着てたら恥ずかしいでしょう?」
いや、恥ずかしくないんだが ………それよりも、ミニスカートをはいていることの方がものすごく恥ずかしい。
「優希、大丈夫よ。こんなお古でこの可愛さなんだから、ちゃんとした服着たら、学校でモテモテになるわよ?」
「いや、別にモテたくないし…」
この手のパターンは、学校に行くと校内一の美少女とか言われてほとんど女神扱いされるんだよ。俺は平穏な日々を送りたいの!
おっと、ナルシストじゃないですよ?
「はい、ついたわよ。」
え、ここ?ここは、確かに服はいっぱいあるけど、女の子が着てるような綺麗な服はあんまりなかったはずだけどな。
なんでそんなに詳しいのかって?俺の服、全部ここで買ったからだよ。このパーカーはここで初めて買ってもらった服なんだよ。
「なぁ、ここってあれだよな?」
「あなたは知らないだろうけど、ここ、本当は女性用の服の方が多いのよ。」
「え、マジ?」
「優希、知らなかったの?私の服も、全部ここで買ってるのよ?そのスカートもね。」
ほぇ〜。全然気がつかなかった。
「さぁ!優希を可愛くしましょう!」
「イエッサー!」
「お母さん、どっちが優希を可愛くできるか勝負ね。私が勝ったらお小遣い500円でいいから欲しいな。」
「わかったわ。じゃぁ、私が勝ったら、今日優希と一緒にお風呂入るから。」
「え〜、お母さんずるい!私も優希と一緒にお風呂入りたい!お小遣いは取り消し。勝った方が今日は優希と一緒にお風呂入る。これでいい?」
「いいわよ。」
俺の意思は?
「一回勝負、どっちが優希を可愛くできるかね。判定は……優希でいい?」
「へ?なんで俺なんだよ。」
『『外で【俺】とか使わない!!』』
小さい声で思いっきり注意された。そうだよな。俺、今は女なんだもんな。【俺】って言ったらおかしいよな。
「それで、なんで私なの?」
やっべー、超恥ずかしい。違和感しかねえ。
「そりゃぁ、私達だと一生勝負つかないじゃない。」
「お母さんたちをなめてもらっては困るわね。」
「二人とも、変人発言してるのにそろそろ気付いた方がいいよ?みんなこっち見てるじゃん。」
今や近くの人はみんなこっちを見ている。ごめんなさいね。こんな母と姉で。それよりも慣れねぇな、女言葉。意識してないとすぐ男言葉に戻りそうだ。
「皆さんもぜひ、うちの妹の可愛い姿、見てやってくださいね♪」
「もう!お姉ちゃん、何言ってんの!!」
やばい。目立ちすぎだ。恥ずかしい。めっちゃ恥ずかしい。
「じゃぁ、最初は私からね。悠穂、優希の見張り、よろしくね。」
「アイアイサー。」
しかも逃げられないように見張り役を置いていくとは………
「こんにちは!いきなりで悪いけど、ちょっといい?」
声をかけられた。ぱっと見た感じ女子高生だ。え〜っと、ちゃんと女言葉で、一人称は【私】でっと………
よし。
「はい。私も母が戻ってくるまで暇ですし。」
「ありがとう。単刀直入に聞くわ。あなた、もしかして友彦君?」
はい?え?今、この人なんて言った?てか、誰?
「え?何のことですか?」
「いえ、違うならいいのよ。人前に立ったときの癖が一緒だったから。」
癖?俺にそんなのあったのか。人前に立ったときか。あったっけな。
「どうしたの、優希?あ!雪ちゃんじゃない。久しぶり。」
「ご無沙汰です、久野先輩。」
あれ?姉ちゃんの知り合いか?雪ちゃん?どっかで聞いたことがあるような……………
〜2年前〜
『雪平 冬美って言います。今日からこのクラスに入るので、よろしくお願いします。皆さん、気軽に【雪ちゃん】とでも呼んでくださいね。』
「あ〜、転校生の。確か俺だけだったよな。【雪ちゃん】って呼ばなかったの。」
「やっぱり………友彦君だったんですね。」
あ、ヤベ……………
「よかった…………………よかったです。」
何故か俺は雪平に抱きしめられていた。え?急にどうしたの?この子。
「友彦君がトラックにひかれたって聞いて…………もしかしたら死んじゃったんじゃないかって。」
「あ〜あ。女の子泣かせた。優希、悪い子ね〜。」
いや、不可抗力だとは思わないかね?姉ちゃん。
「いや、俺、死んだんだけど………」
「だったらなんでこうして、ここにいるんですか?」
だ〜!面倒くせー!!
「全部話すから、取りあえずどっか落ち着く場所に………」
「この向かい側の喫茶店とかどう?お母さんには私から説明しておくから、優希は雪ちゃんにちゃんと説明してあげて。」
「うん、わかった。」
「で、たまたま新しく作った体が女だった、と。」
「おかげさまで家族が変態になったんだけどな。」
「うん。じゃあ、友彦君は一度死んだけど、脳が無傷だったから、脳を他の人の体に移植することで助かることが出来た。で、見事に助かった、と。」
おぉ、理解が早くて助かる。
「てかさ、なんで俺が死んだのそんなに悲しんでくれたの?」
ぶっちゃけここが聞きたかった。接点はほとんどなかったはずだ。なのに、なんで俺が死んだのをそんなに悲しんでくれたのか。
「転校して初日からずっと、どうにかして友彦君と仲良くなれないかなって考えてたんだ。」
は?なんで俺?お前にゃほかに友達たくさんいたろ。
「一人で寂しそうだったから。」
よく見てるじゃん。そう。俺は友達が少ないから、休憩時間はたいてい一人だった。
「中学では無理だったけど、久野先輩に友彦君は海陽を受けるって聞いて、高校で友達になろうって思った。だから、お友達になってください。」
「おう、いいよ。」
中学なら絶対に断っていた。だが今の俺は女で、しかも今年から高校生だ。友達はいて損はない。
「話は終わった?」
姉ちゃんが俺の隣で暇そうに座っていた。
え、いつからそこに座ってたんだよ。
「はい。おかげさまで。久野先輩、ありがとうございました。」
「いえいえ、今は友彦じゃなくて優希だけど、仲良くしてやってね。雪ちゃん。」
「はい!」
キャラプロフィール
「優希は簡単には嫁にやらないわよ!」
久野 志穂
年齢…秘密
性別…女
身長…162cm
誕生日…7月23日
スリーサイズ…秘密
体重…秘密
好物…パスタ
特技…ピアノ
趣味…優希を愛でる
優希、悠穂の母。奥が深いことを言うときもあるが、悠穂同様、友彦が優希になってからは変態気味。