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来世になるけどまた会いましょう。  作者: ひさなぽぴー/天野緋真
第二章 本選編

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第42話 振り分けタイム 4

 翌日。正直いい気分ではなかったが、それでも時間は過ぎていく。それは死んでも同じらしい。

 いや、何も考えすぎて凹んだりとか、そういうわけじゃない。


 俺は元々深く考えるのが苦手で、それは考えるべきことを考えすぎないという欠点なのだが、同時に考えなくてもいいこともすっぱり諦めることができる。今回は、そんな普段欠点な部分がいい方向に作用した形だ。


 もちろん、織江ちゃんや空さんからは相応に心配されて、二人から色々と励ましてもらったから、というも大きい。

 理論的に諭す空さんと、感情的に寄り添う織江ちゃん。二人のやり方はほとんど正反対だったけど、だからこそより嬉しくもあった。まったく違うものを一人の人間が持っているわけ、ないんだからな。


 ともあれ俺は、今のところそこまで深く湊さんの発言を気にしているわけではない。気にしていない、というとウソになるのも間違いないけどな。


 まあいい。とりあえず、それはいいんだ。今考えるべきことは、真琴とのバトルについてだ。


 昨日はあれから対策を練って、それからゲンさんとのバトルで得たポイントの使い道を相談したところだ。


 まず対策として、真琴の死因は雷だが、雷を操る能力ではないということは、本人から直接聞いている。なので、絶縁体の類は持ち込まない。道具はなるべく厳選したいし、防具の類もあまり着込みたくないのだ。


 では真琴の能力は何か、となると見当がつかなかったのが実情である。


 真琴は、二人しかいないシードの一人。その特権として、予選はおろか本選の一回戦も免除されていた。そのため、まだあいつは一度たりとも自身の特殊能力を人前で披露していないのだ。

 使っていない以上推測する材料は必然的に死因だけになるが、さっきも言った通り、あいつの能力は死因と直結しない。

 材料が足りない以上、さすがの湊さんも推測はできない。というわけで、真琴とのバトルはとにかくいかに早く、そしていかに多く能力を使わせるかにかかっている。


 加えて、マスラさんの存在も無視できない。彼は、情報説明などを担当するイメちゃんと違って、バトルでも参加者をサポートする補助人格だ。彼がどのような挙動をするのか、またどの範囲までサポートを行うのか。それも不明だ。

 何せトーナメントのシードは、真琴も含め二人ともまだ一度も戦っていないのだから。

 一応、湊さんが今日までで調べた結果によると、補助人格は参加者から独立して行動が可能で、単純に二対一で戦うことになるのとほとんど変わらない、ということ。数の差は、単純だが最大の脅威と言っていいだろう。


 以上二点の理由から、どちらかというと防御よりのポイント采配をすることになった。


 だが、何も攻撃面で不足があるわけでもない。それぞれの能力が、先のバトルで強くなったからだ。


 まず俺のフレアロード。ダンジョンエリアの迷宮内で、かなりの時間全力で精度維持に努めていたせいか、ポイントを振っていないのに全スキルのレベルが上がっていた。

 この結果かわからないが、遂にフレアロードとオーラロード、さらにグロウロードの三つを組み合わせることができるようになった。


 絶対王権ロイヤルガードの発動と同時に、枝之破滅スルトを発動、そしてそのタイミングで火力を一気に上げる。これにより、防御と同時に攻撃が可能になるのだ。

 名付けて乱取討モードスナッチ。……まあ、一見強力だが、湊さんと空さん二人に能力提供枠を割いてもらう必要があるので、常に使うのは難しいんだけどな。


 また、アクアロードも同じくスキルレベルが上がっており、こちらもグロウロードとの連携が可能になっていた。

 水さえあれば、乱取討モードスナッチと同じく停止と同時に水で攻撃、もしくは物理的な拘束が可能になる。もし今後オーラロードで水を出せるようになれば、新たな技として定着させることができるだろう。


 さらに、グロウロードだ。こちらもレベルが上がったのだろう。遂に、権利章典コンスティテューションが完成した。

 手にした道具はもちろん、バトルエリアに存在するもの、果ては自分の姿に至るまで、視界から消えることができるようになるのだ。


 そしてこれは、あくまで「光の動きを止めることで視界に映らなくする」技。透明になったわけではないので、自分に使ったとしても、透明薬を使った時のように自分の動きまで見えなくなるということはない。

 また、光の動きは音よりも止めるのが大変なためか、止めた分がほとんど拡散しない。このため、効果が切れた瞬間にそれまで止まっていた動きが一気に見えるようになる。残像がすべて同時に出るので、初見では相当びっくりすること請け合いだ。


 最後にオーラロード。こちらも伸びた。元々、前回のバトルが始まる前の段階ではレベルが低かったからか、こちらも全スキルがレベルアップしていた。

 そして、例の○ーパー○イヤ人を俺がやったことで、湊さんはそっち方面の要素を取り入れようと思ったらしい。なんと勇之闘気テュールをうまく改良して、ほぼノーリスクで空を飛ぶ技を編み出してしまったのだ。

 その名も闘之飛翔ヘルモーズ。毎度ながら名づけは空さんだが、どこからそんなに案が出てくるのか。


 まあそれはさておき。


 ほぼ、と言った通りまったくリスクがないわけじゃない。オーラロードの性質上、どうしてもライフは減る。だがその量は他の技よりもかなり少ないので、勇之闘気テュールを限界まで使ったときみたいな反動らしいものはない。……と、思う。たぶん。

 さすがに前回のダンジョンエリアみたいなところだと使いどころが限られるだろうが、そうでないならこれはなかなか有用なのではないだろうか。


 ……そうそう、勇之闘気テュールを全力で使った後の妙な脱力というか反動は、まだよくわからない。

 湊さんは「もしかしたらと思うものはあるけど、状況証拠はおろか根拠もない」と言っていたので、まったく心当たりがないというわけでもないんだろうけど……。

 案外、あの恐ろしげな協力者が関係してたりして?……は、さすがに考えすぎか。


 まあともあれ、しばらく勇之闘気テュールは……というか、スー○ーサイ○人は封印だ。反動で戦えなくなったら目も当てられないし、著作権的にもそろそろ限界だ。


 この他、道具もそれなりに買い込んだ。回復要員としては、ゼリー飲料にはいい加減飽きてきたので、前回考えた通りカロ○ーメイト(一般的だけど俺はチョコ味が好き)を選んだ。


 あと、だいぶ高価ではあったけれど、全属性軽減なんてなかなかの効果を持つ「ゴッドリング」なんていう大層な名前の腕輪があったので買っておいた。

 名前に反して、黒一色で装飾もほとんどないというシンプルすぎる逸品だが、わりと俺好みである。


 それ以外は、おおむねいつも通りだ。狙撃ができるかどうかわからないけど、狙撃銃も継続している。あ、それからダンジョンで拾った毒薬と覚醒薬も念のため入ってる。


 ……さて、といったところでスキルレベルをずらっと羅列してみよう。大体、今は以下の通りだ。あ、技は省かせてもらうぞ。


◆獲得スキル

・技能系

い式格闘術 レベル5

ろ式格闘術 レベル6

は式剣術 レベル4+1

拳銃リボルバータイプシングルアクション レベル4

狙撃銃ボルトアクション レベル5

拳銃フルオートマチック レベル2

爆発物 レベル2


・ステータス系

攻撃力アップ レベル5

防御力アップ レベル5

素早さアップ レベル5

動体視力アップ レベル5

筋力アップ レベル5

脚力アップ レベル5

体力アップ レベル5

ライフアップ レベル5

反射速度アップ レベル5

思考速度アップ レベル8

特殊能力攻撃アップ レベル3

特殊能力防御アップ レベル4


・抵抗系

水属性軽減 レベル1

打撃属性軽減 レベル1

刺突属性軽減 レベル2+1

斬撃属性軽減 レベル2+1

銃撃属性軽減 レベル2

爆発属性軽減 レベル2

全状態異常軽減 レベル3

全属性軽減 レベル1+1


◆フレアロード

威力 レベル5

時間 レベル5

範囲 レベル4

強度 レベル5

精密 レベル4

連結 レベル2


◆アクアロード

威力 レベル5

時間 レベル4

範囲 レベル4

強度 レベル5

精密 レベル5

連結 レベル4


◆グロウロード

威力 レベル3

時間 レベル3

範囲 レベル5

強度 レベル4

精密 レベル4

連結 レベル3


◆オーラロード

威力 レベル3

時間 レベル3

範囲 レベル3

強度 レベル3

精密 レベル5

連結 レベル2


 うぃ、以上。

 こんな感じで真琴とやり合うわけだが、さてどうなるだろうね?


 一回もバトルをしてない真琴が、どういう風にポイントを割り振っているのか気になるところではある。

 補助人格とシード権がある分、その辺りの優遇はないと見るべきか……あるいは、そこまで優遇されたのだからここもかなり優遇されているだろう、と見るべきか……。


 もちろん前者であることを望むばかりだが、後者だったとしたらその場合、勇之闘気テュールの全開使用も視野に入れないとまずいかもしれないな。何せ相手は、実質二人なのだから……。



▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽



「おう、すまん待たせたか」

「ううん、大丈夫だよ」


 俺がポータルに入ると、既にそこには真琴が待っていた。俺もかなり早めに着いたと思ってたが。


「お兄さん、よろしくね」

「おう。手加減できるほど俺は器用じゃねーから、お前も全力で来いよ?」

「もちろんだよ」


 そうやり取りを交わして、俺たちは握手する。


 うん。


 そうそう、こういう健全なバトルを俺はしたいんですよ。ゲンさんとのバトル、そして真琴と、本選入ってからはいい感じのバトルが続いてるな。

 試合を楽しむ、って感じ? オリンピックとかワールドカップなんかで、選手がインタビューで言ってるやつ。あれってたぶん、こういうことなんだろうなー。

 実力が同じくらいで、全力を出し切って戦える……か。ある意味で、生前じゃまったく感じることができなかった感覚だよな。


 ……マンガみたいな世界に行けるなら、それはそれでアリかもしれないなあ。


 なんて、最近ちょっと思ったりもする。いい出会いがあったからこそ、だろうけどね。


『さああああって! 両者そろいました、これより二回戦第二試合を始めたいと思いますッ!!』


 ディスプレイから、相も変わらずハイテンションな司会の声。それに対して、真琴が小さく肩をすくめた。


「ポータルでもこんなに叫んでるんだね」

「歓声がないから余計うるせーだろ」


 それに合わせて、俺も苦笑する。

 そして、そんな俺たちを当然司会はスルーだ。


『赤コーナー! 二人のシード、その片割れ! 幼い瞳はバトルの先に何を見る!? 龍治真琴選手!!』


 歓声。

 真琴のアナウンス、なんかかっこいい。っていうか、苗字がそもそも反則級にかっこいいよな。


『青コーナー! 情けは人のためならず! 巡り巡った福をつかむは彼! 明良亮選手!!』


 歓声。

 うん……やっぱり自分の紹介は恥ずかしいな!


『さて、今度のバトルエリアはどうだ!? ルーレットスタート!』


 俺の二度目の赤面をよそに、エリア決めのルーレットが始まる。

 ぐるぐるといろんな映像が入れ代わり立ち代わり現れては消える。


 ……フジヤマはもう嫌だけど、ダンジョンもできればやりたくない。はっきり言って、俺の性に合わなかった。ゲンさんとは、できれば何もフィールド効果のないシンプルなところでやりたかったな……。


『さあ出たッ、出ました! SFエリアッ、だーッ!!』


 画面に映し出されたのは、前回とは打って変わっていかにも未来ですと言いたげな街並みだった。

 エスエフって……いやまあ、そういうことなんだろうけど。なんだろう、もしかしてあれか? 光でできた剣とか出てきたりするのか? こう、ヴヴンって音がする。


 いやしかし、エリアの種類本当に幅広いな……。


『それではいよいよ、バトルスタートです! 両者、転移装置へ上がってください!』


 始まりはいつもながらせわしない。

 俺たちは司会に導かれて、転移装置へ上がった。


 そしてその瞬間、俺の視界は白一色で満たされていく――。


当作品を読んでいただきありがとうございます。

感想、誤字脱字報告、意見など、何でも大歓迎です!


さあ、いよいよシード・真琴とのバトルです。

彼の能力、マスラの存在は次回にて。


◆アイディアを提供してくださったみなさん◆

・SFエリア:独楽様

原案での名前は近未来エリア。語呂の良さからこちらの名前にさせていただきました。

二人がどう戦うかまだあまり決まっていないのですが、せっかくなのでウォーズとかトレックとかのネタが使えればなあって思っています。


皆さん、アイディア提供ありがとうございます!

来世に(ryではまだまだ能力とバトルエリアの募集をしています。

もし案がありましたら、どうかよろしくお願いいたします!

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当作品の異能力バトルにおいてキャラクターが使う特殊能力と、彼らが戦うバトルエリアのアイディアを募集しています。
もしアイディアがございましたら、規定をご確認の上提供していただきたく思います。
【急募】能力とエリアのアイディア【来世に(ry】
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