prolog: Toutes mes excuses…
人生というものは、はじめは真っ新なキャンパスに等しい。
そこに各々の"色"で描いていき、そうして出来上がっていくーー少なくともあたしはそういうものだと思っている。
だから、
「あたしの人生は未完成のまま終わるんだろうね」
きっと曖昧に笑いながらそう呟いたあたしを見て、隣の相棒は口をつぐんでいるに違いない。
「……お前が行かなくていい。お前はそもそもここにいるべきじゃねぇんだよ。あとは俺がやっとくから、お前は……「なにを今更言ってんだか」
このおせっかい野郎はここに来てまでとめにかかるみたいだ。
「炎地獄のなか引き返せって? そりゃ無理な相談だっての」
よいしょっ。
おっさんのような声をだし、自身を奮い立たせる。
「この騒ぎおさめれんのはあたししかいねーの、わかってんだろ?」
あー、怖い。生まれてはじめての身震い。この立場になってようやく理解する。タイセツナモノができたから……。
でも。
「もう、会えないね……。ごめんね……」
あたしとは思えないほど悲しい声。いや、現にあたしは涙を流していた。……このあたしが、涙を。
……泣いてる場合じゃない。
背中の剣を、抜く。
この争いも、敵も、味方も、自分も、他人も、世界も……謝罪も。
すべて背負って。
「さぁ、来いよ!! |夕涼≪ゆすず≫の最後の闘い≪カーニバル≫だ!!!」
刹那、駆け出す。
ーーごめんね……ホントにごめんね……。