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妄想黙示録  作者:
1/3

バウリンガル


《もし『バウリンガル』が進化したら、それはどうなるだろうか。》




 皆さんご存知、犬の気持ちがわかるという『バウリンガル』は、犬愛好家にとって嬉しいプログラムである。


『お腹が減ったワン』


『散歩したいワン』


『寂しいワン』


 などと愛犬の気持ちを感知出来る事は、飼い主との絆を深めるのに更なる効果を与えるのだ。


 察する先、私は近い未来にこの『バウリンガル』が飛躍的な進歩を遂げるかもしれないと踏んでいる。


 テクノロジーの発展と共に、超微弱電子を利用したテレパシー工学がどうのこうの…まあ良くわからないが、そういった技術が生まれるかもしれないのだ。


 それで仮に『超バウリンガル』が完成したとしたら、まずはペット業界に激震が走るだろう。『ドギーマン』や、トップブリーダー推奨『ペディグリーチャム』も黙ってはいない、ビックリする筈だ。


 それはそうとこの『超バイリンガル』の機能は、旧作の曖昧な感情表現をよりリアルにするため、高精度なテレパシーシステムと多表現な音声プログラムによって形成されている。

 つまり、犬の思っている事が人の言葉でダイレクトに伝わるのだ。便利この上ない。



◎一般家庭の犬に使った場合



 さて、まずは予備知識として述べておこう。

 犬は元来、集団生活を営む動物であったが為、周囲に階級をつけるのだという。こいつは上、こいちは下、という風に家庭でも犬はごく当たり前にそれをする。


 早速、四人家族でやってみよう。


 まず、長男が伏せている犬に近づき、起動。


『あんだよテメェ…まぁた新しいゲームかよそれ?バカか、このゲーマーが!いつまで俺の前でやってんだよ?あぁ!?消えろよ、咬み殺すぞこの童貞野郎が!』


 酷い言われ様だが、長男の階級は地より下だった。


 続いて長女、散歩中に起動。


『うぃ〜やっぱ散歩は昼に限るぜ。ん?姉ちゃん何だそりゃ?あっ、あのチンコが持ってたカスか。それあいつから取り上げたんだろ?粋だねぇ〜やるじゃん!お…ちょっとウンコっと…』


 長女はタメだったらしい。好感を持てる様だ。


 続いて母、ドッグフード投与時起動。


『おっ、飯だ!やったぜ!はいはいはい…あららすいません、いつもどうも、あざす。あっそこ気持ちいいっす!もっと撫でて、美味しい、美味いですよマジ、うん、うまいっす、うま、かゆ、うま…ってクソガキテメェ何見てんだゴルァアアア!!!』


 犬にとって、母は年上の女だった。


 最後に父、帰宅時起動。


『あっ、お帰りなさい。どうでした今日は?…あぁそうですか、大丈夫ですよ!明日なら特売日なんでお客さんいっぱい来ますよ!…ん?そ、それは【銀のスプーン】では?猫の餌ですよ?うわっ酒クサ!酔ってるんですか?そりゃ間違えますよ…ハハハ!』


 父は犬の唯一神だった。



◎テレパシー機能に関しての補足



 さて、モニターとなってもらった田中家に感謝しよう。

 しかしながら、テレパシー機能が出来た事で犬との交流が深まるのも悪くはない。だがどうだろう、これが更に発展したら他の動物にも使えるのではないか。はたまた、人に対しても使えるのではないか、想像は膨らむばかりである。



◎考察



 人は秘密を知りたがる。だが、知らなくてもいい事実もある。『超バウリンガル』はそれを逸脱し、人の記憶から薄れていくだろう。


……………どうでもいい。

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