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北天の覇狼  作者: あさか
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近代化

―――奥羽皇政軍 会津若松城 1868年10月 5日

「なんだと、白狼たちが動き出しただと?」

 彼が奥羽皇政軍の若き総大将、上杉 恒一だ。上杉家の血を引いているといわれているが真相は不明。敵国では『武神を演じているだけ』と言われる。

「さぁ、冬も近くなってきましたからね。函館まで北上するとなると中々厳しいですな」

 直江 景隆。上杉方の総軍師、奥羽皇政軍 軍奉行である。

「そんなの重々承知だ! さぁて、どうするか...」

 悩んでいると景隆が言ってくる。

「我らも近代化するのはどうか? 殿」

 笑いながら恒一の方を見る。

「だめだ! 我らは高潔な武士の血統...刀一筋なんだ」

「そうですか...」


―――会津若松城下

「殿は頭がお堅い...絶対近代化した方がいいのに」

「まぁ、そんなに気を落とすな! 殿の周りには武士道を重んじる方が多いからな。そんな中で近代化をしたら猛反発を受けるのは避けられないだろう」

 彼女は伊達 梓。伊達家の分家と言われている。白河騎兵隊長でもある。

「私たちも、軍備を進めねばな」

「ええ、そうですね」

 そういうと二人はそれぞれの仕事をやりに別れた。

 秋風が一層強まり、冬の匂いを感じさせるようになった。この戦国の世が動き出そうとしていた。



―――五稜郭城下 1868年11月 15日

 息が白くなり始めたころに、白狼軍の武器庫には約1000丁の単発中が置かれていた。

「お、殿! ちょうどいい所に」

 彼は橘 宗重。主に軍需奉行や技術開発局長を担う。

「見事だ、宗重」

 満足そうにうなずいて、あたりを見渡す。

 そして、そこに現れたのは、黒鉄色に輝く大型短銃だった。

「そちらは殿のための特注品で、北央の職人の英知の結晶です。名は『六連式短銃』です」

「なるほど...試しに撃ってもいいか?」

 そう聞くと、どうぞどうぞと言わんばかりに宗重は頭を下げる。

 武器庫の隣には、新兵の訓練場がある。そして、最近新設されたのが射撃場だ。

 さらに最近、新設されたばかりの射撃場では、銃声が絶え間なく響いていた。


 そして、宗牙は狙いを定め、引き金を引く。

 轟音。

 あたりに白い煙と、火薬の匂いが漂う。

「どうですか殿?」

「いけるぞ! 奥羽軍に勝てるぞ!」

 その瞳には確かな熱が宿っていた。

「ですな! きっと殿なら成し遂げられまする!」

 着々と進む軍備。

 北の大地では、新たな時代の足音が静かに響き始めていた。


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