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プロローグ:あの夜のこと

本作は、特殊な能力を持つ者や一般人たちが暮らす都市「天選之地てんせんのち」を舞台にしたアクション・ファンタジー作品です。

この序章では、物語の幕開けとして、登場人物たちの能力や個性を描いています。

能力者と一般人が繰り広げる戦闘や謎の探索の場面を存分にお楽しみいただければ幸いです

ある研究施設の内部――


ドンッ、ドンッ――! 一級警報、一級警報!侵入者だ!侵入者だ!


赤い警告灯が点滅し、ひび割れや破損、焦げ跡の残る廊下を照らし、まるで戦闘の痕跡を浮かび上がらせる。警報器が鳴り響き、走る足音が廊下に響き渡る。


「言っただろ!滅口すべきだったんだ!あいつを放すなんて、どういうつもりだ!」

白衣を着た人物が、資料ファイルを抱えながら走りつつ叫ぶ。


「おい、小声で……あいつに聞かれたらどうなるか分かってるのか?」

眼鏡をかけた別の男が後ろから追いかけながら制止する。


資料ファイルを抱えた男は口を閉ざしたが、視線を落とし、何かを思い出すかのようだった。


「くそ……駐在の『第八席』は行ったはずなのに、なんでまだ終わってないんだ?」


その時――


「うるせぇ!」


影が二人の傍らから飛び出し、影に沿うように逆方向へ跳ね去った。


「今の声……第六席?どうしてここに?」


「支援に呼ばれたんだろう。結局、『神』の犬に過ぎないさ。」


「またそんなことを……まあ、これで『彼』も逃げられないな。」


研究施設三階――


「ふぅ……必要なものは全部揃った、作戦も考えられそうだ。」

清らかな声の少年が、破損した機械の残骸に立ち、焼けたドアノブの前に立ちながら、手に紙束を握りしめていた。


「幸い、あの『死博士』はいなかったし、ここの警備ロボットも弱すぎた……やっぱり俺の心配しすぎだったか——」


その瞬間――


ドンッ、ドンッ!


一枚の硬貨が壁に驚異的な速度で跳ね返り、少年の頭部を狙った瞬間――


「付与。」


少年の足元の石片が膨張し、高い壁となる。硬貨は高速で衝突するが、壁に少し亀裂が入るだけで、大きな損傷はなかった。


「誰だ?」


少年は壁を再び小さな石に縮めた。


「私だよ!私だよ!覚えてないの?私は『神』の恋人よ!あの方に直接壊された人!」

血のついたナース服の女性が、少年の前に立っていた。


少年は答えず、眉をひそめ、廊下の突き当たりの窓に向かって走り出した。


「やるべきことは終わった、あとは逃げるだけだ!」


「まあまあ、そんなに恥ずかしがって、会った途端に逃げるなんて。でもね――簡単にはいかないよ!」


女性は邪悪に口角を上げ、両手を振ると、指の間に挟んだ硬貨を少年に向かって飛ばした。


窓まであと三メートルの時、外から影が飛び込んできた。

影の中から現れた漆黒の人物が、刀を少年の喉に向ける。


しかし、少年は胸にそっと手を当て、息を吐いた――次の瞬間――


「付与!」


全身に青い電流が走り――


「さよなら。」


少年は驚異的な速度で身を翻し、黒衣の致命打を避け、そのまま三階の窓から飛び降りた。


跳ね返った硬貨は壁に当たり、女性の手元へ戻る。


二人が追撃しようとした瞬間、背後から磁気を帯びたような声が響いた。


「『彼』は戻ったか?」


その声を聞き、二人は武器を放し、素早く膝をついた。


「申し訳ありません……大人、逃がしてしまいました。」

黒衣の男は頭を深く下げる。


「逃がした?」


二人は沈黙し、さらに頭を下げる。処罰を覚悟したその時――


「ハッ……ハハハ!逃げたか?いい、それでいい!もともと逃がすつもりだった。せっかくだから誰かと『ゲーム』を楽しみたいのさ!」


「ゲーム?どんなゲーム?私も参加できるの?」

女性は顔を上げ、大人を見つめて満面の笑みを浮かべた。


「それはできん。しかし、代わりに頼みたいことがある。」


「何でも!私たちは大人のためなら何でもします!」

黒衣の男は女性の頭を押さえた。


「ゲームとはいえ、勝敗は必要だ。勝つために……第六席、彼がどこに向かうか突き止めろ。第八席は、このビルの巡回を続けよ。」


「御意!」


大人の言葉が終わると、黒衣の男は影の中に沈み、跳躍しながら窓の外へ消えた。


女性は跳ね起き、大人に抱きつく。


「さて、ここから運命の歯車は回るのか、それともただの竜頭蛇尾の茶番に終わるのか……楽しみだね、レンジ、私を失望させないでよ!」


つづく……

今回の章を読んでくださり、ありがとうございます!

戦闘シーンの描写には特に力を入れましたので、楽しんでいただけたら嬉しいです。

次の章では、物語がさらに進展し、新たなキャラクターも登場しますので、どうぞお楽しみに!

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