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アウトオブあーかい部! 54話 二者面談

ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立池図女学院。


そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。



3度の飯より官能小説!池図女学院1年、赤井ひいろ!


趣味はケータイ小説、特筆事項特になし!

同じく1年、青野あさぎ!


面白そうだからなんとなく加入!同じく1年、黄山きはだ!


独り身万歳!自由を謳歌!養護教諭2年生(?)、白久澄河(しろひさすみか)



そんなうら若き乙女の干物4人は、今日も活動実績(アーカイブ)を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。

池図女学院部室棟、あーかい部部室。




「……♪」




現在、室内は2人きり。あさぎは正面に座る、いるはずのない人間を前に困惑していた。




(ここは部室、まちがいなくあーかい部の部室だ。じゃあ……、)




「♪」


「なんでここに(教頭)先生が!?」




「フフ♪驚いているようね?」


「あ、はい。ええっと……みんな来るまで待ちますか……?」


「みんな?」


「ほら、ひいろ……さんときはだと白ちゃ……白久先生ですよ。」


「知ってるわ?あーかい部の投稿は読ませて貰っているもの♪」


「あ、ありがとうございま


「みんななら今日は来ないわよ?」


「え?


「ひいちゃんのアカウントで今日は部活無いって言っておいたから♪」


「えぇぇ……。」


「というわけで今日はあさぎちゃんに色々聞かせて貰うわね♪」




(誰か助けて……。)




二者面談、開始……!!




「まずはこれ、つまらないものだけど。」


「どうも……。」




あさぎは初っ端から教頭先生にお茶菓子を頂いてしまった。




「あ、これこの前特集されてたやつ……!」


「みんなで食べてね♪」


「うわぁ……///ありがとうございます♪♪」




(フフ。ひいちゃんに好物をリサーチして貰っておいて良かったわ♪これであさぎちゃんの口も軽くなったかしら?)




あさぎ、懐柔。




「それで、あさぎちゃん?」


「はいっ!」


「あ、ごめんなさい。いきなり『あさぎちゃん』は馴れ馴れしかったかしら……。」


「いえいえ、白ちゃ……白久先生からもそう呼ばれてますし、お構いなく。」


「じゃあお言葉に甘えちゃおうかしら?私のことも、ここでは『おばさん』って呼んでくれると嬉しいわ。」


「はい、きょ……おばさん。」


「フフ♪」


「それで、聞きたいことってなんですか?」


「そうねぇ……まずはあさぎちゃんのこと、知りたいな?」


「私のことですか……?」




あさぎは趣味や好きな食べ物、あーかい部のこと、生徒から見た白ちゃんのことと、たまに登場するお隣さんについて……色々聞き出された。




「たまたま引っ越して来たお隣さんが白久先生の妹さんだったなんて、世界も結構狭いものね♪」


「そうですね……。」


「じゃあ本題に入るけど、




(今まで本題じゃなかったの……!?)




教頭先生は身を乗り出していよいよ本腰って雰囲気だ。




「あさぎちゃんから見たひいちゃんって……どう?」


「ど、どう……!?」


「ああごめんなさい、質問が漠然としすぎていたわね。あさぎちゃんから見たひいろちゃんがどんな性格の子だとか、何が好きとか……恋人とか?」


「う"っ……!!??」




(こっちが本日のメインディッシュってことか……!?どうしよう、正直に話したらひいろの名誉……っていうかこの人失神するんじゃないか……!?)




「ひいちゃん、みんなのことは楽しそうに話すんだけど、自分のことはあんまり話さないのよね……。」


「え"、ええっと……、




(助けは来ない。ここは慎重に、言葉を選べ……!青野あさぎ……!!)




「私から見たひいろは、成績も良くて、運動もできて、教頭先生や生徒会の手伝いもしてて、文句のつけようのない


「そういうのはいいの。」


「あ、はい……。」




(お世辞は通用しないかぁ……。)




「感謝しています。あーかい部を作ってくれたのは、ひいろと白久先生ですから。」


「ねえあさぎちゃん?」


「はいっ!?」


「やっぱり……私って怖いのかしら?」


「え!?あ、いやそんなことは


「自慢じゃないけど私ね?人が嘘をついていたり隠し事をしていたら……わかっちゃうの。年の功っていうのかしら?」


「へ、へぇーそうなんですか。」


「あさぎちゃんは賢い子だから、これで伝わるわよね?」


「や、やですねえ私嘘なんて


「ついてないのはわかってるわ。でも……何か隠してるわよね?」




(ダメだ全部見透かされてるぅ……!?)




「ごめんなさい、萎縮させる気は無いの。……でも、話してくれたら嬉しいわ。」


「…………、」




(隠し通すのは無理か。……いやでも、口を割る訳には……!おばさんに官能小説のこと知られでもしたら




「因みにひいちゃんが官能小説大好きであーかい部を隠れ蓑にして執筆してることなら知ってるわ。」


「は…………?」


「これで黙秘する理由はなくなったわね♪」


「なんで……、」


「ひいちゃんの為を思って、躱そうとしてくれてたんでしょう?」




(この人、本当に全部お見通しか……!?)




「そんなに詳しいなら、もう私に聞くことなんてないんじゃあ……?」


「そうね。ひいちゃんの知識であさぎちゃんに負けるなんてことは、天地が逆さになってもないと思うけど……それでも聞いてみたいじゃない?」


「あはは……。」




(すごい自信だな……。)




「それで、あさぎちゃんはひいちゃんのこと、どう思ってるのかしら?」


「……残念な人ですね。」


「へえ♪」




あさぎが観念して正直な評価を口にすると、教頭先生は露骨に機嫌が良くなった。




「どう残念なの♪」


「まず見た目ですね。せっかくの吊り目三白眼っていうカッコよさ全振りの容姿の癖に、怖がられるとか言って髪は下ろしっぱなしだし、サングラスもダサいやつ着けてますし。」


「そうよねそうよねぇ。周りの目を気にして好きな格好しないのはほんっとうに残念よね!?」


「ひいろ、好きなんですか……?」


「ええ。自宅のクローゼットに革ジャン隠し持ってる癖に絶対に外で着ないし、サングラスだって未来から送り込まれて来そうなカッコいいヤツ持ってるのよ?……つけてるところ見たことないけど。」


「そ、そうなんですか……。」


「ごめんなさい、喋りすぎちゃったわね。続けて?」


「えっと、他は……自分への好意に無自覚なところですね。」


「わかるっ!わかるわあさぎちゃん……!!」


「聞いてくださいよ!?この前、ひいろが白ちゃん先生の代理したときなんて、手当てした子に『……ワタシもキミが心配だ』なんて言って堕としておいて、


「さすがひいちゃんね♪」


「惚れられてるのにはまっったく無自覚なんですよ!?」


「それは残念ねぇ……。」


「しかもこの前猫カフェに行ったときなんて


「おい、あさぎ……!?」


「あら、ひいちゃん。」




ひいろ入室。




「おばさんこれどう言うことなの!?」


「あさぎちゃんと2人きりでお話するためにアカウント借りちゃった♪」


「 」


「さて、と。今日はここまでみたいね。……じゃあまたね、あさぎちゃん♪」




教頭先生はそそくさと部室から出て行った。




「待ってよおばさーーん!///」




教頭先生を追ってひいろも部室を後にした。




「はぁ〜〜疲れた……。」




白ちゃんが教頭先生を恐れる理由がちょっとわかったあさぎであった。

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