リーダスへの説得
このままじゃラチがあかないと思ったダバノンは——
「待て!どっちと勉強がしたかったとかじゃなくて、単純に『文芸』というスタイルに魅力を感じただけだ!だからくだらないこぜり合いはよせ!!」
リーダスは、
「でも、あたしは信じらんないだよ、ダバ!映画はあんたの体の一部、と言ってもいいほど、あんたが今まで時間、労力を使って極めてきた分野だろ!?それを簡単に捨てるなんて……。」
セーラは、
「ダバはねぇ〜、……」
言い始める前にダバが割って入った——
「セーラは一旦、黙っていてくれ。そうだ、映画は俺自身、って言っても過言じゃないほど、俺は映画にかけてきた。でもな、作る側に回った時、俺は思ったんだ。あ、これは『共作』であって、『個人制作』ではないな、と……。俺は、純度100パーセントの『自分』の創作がしたかったんだよ、一人でもできる形で……!」
なんとも納得がいったのか、いってないのか分からない、っといった表情のリーダスは、
「そうか、なんとなく分かったような、分からないような……、でも、また気が変わった時があったら、……、その時には映画学科に帰ってきてくれよ?」
「分かった。」
一方、セーラは心の中で——
(なあ〜んだ、まるくおさまっちゃった。つまんない。)
と、少し意地の悪いことを考えていた。
そして、リーダスは、
「でも、でもだぞ?確かダバ、お前は、お前の脳は宇宙人に筒抜けだったんじゃないのか?それに『文章』、という表現形式は宇宙人には攻撃力が低かったんじゃなかったっけ……?」
ダバはキメラ教諭に埋め込んでもらった、脳内スキャンキャンセラーのチップの話をした。そして、自分の小説をネットにあげて、宇宙人への攻撃力を上げようとしている、ということも……
ふむふむ、とリーダス。
「分かった。ちなみにあたしもそのチップ、腕に埋め込んでもらえるようにキメラ教諭に頼んでみるかな〜。あと、バズるといいな、ダバの小説。それと、セーラ。なんかお前、感じ悪かったけど、あたしも熱くなりすぎた、悪かったな。」
——セーラは、リーダスが、ダバとの仲をもっとこだわってくる、と踏んでいたが、リーダスの、じめじめしていない、カラッとした性格に呆気に取られて——
「わ、私もおかしかった。ごめんね、リーダス。」
リーダスは女性だが、セーラはリーダスを、『男前』だと感じた——