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コズミック・フロンティヌス  作者: 西島嵩人
〜先鋭たち〜
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好色一代ダバノン

ダバノンが口火を切った———


「で、グレイ。その親玉ってのは今、どんな人物に成り代わっているんだ?俺らの知ってるような人物か?有名人、っていうと。」


 グレイは少し間を置いて——


「グレイ、それ、知らない。親分、いつも単独行動。大事なことは全部自分の中にしまってしまう。でも、有名人に成り代わってるのは、たしか。政治家か、タレントか……分からない」


 セーラが久しぶりに会話に入って来た——


「でも、地球の危機はその親玉を倒せば救われるのでしょう?そして、グレイ。あなたはさっき言ったように地球を救うために、ここにやって来た。自分の親分でも心は痛まないの?」


 グレイはあっけらかんとして——


「僕は親分が死ぬより、これ以上、地球の文化が味わえなくなることの方が悲しい。天秤にかけたら、圧倒的に後者。」


 リーダスが長い沈黙を破った——


「じゃあ、あたしら、エイリアンバスターズ・テェラー支部の新メンバーはまさかの寝返ったエイリアンってわけだ。ハハ。グレイの親玉は想像できてるかな?こんなこと……」


 グレイは、つー、っと右目から涙を落とした——


「全然悲しくないわけじゃない。多少は悲しい。親分、地球は嫌いだけど、僕とその仲間の面倒みてくれた。恩はある。グレイ、多少、心痛い。」


 リーダスは申し訳なさそうに——


「すまんな。グレイ……、ちゃかしすぎた。お前の親分だもんな。悪い」


「いい、リーダス。謝らないで。僕、幼すぎた。大人になる。」


——そして一旦、辺りは神妙な空気に包まれた——


 リーダスがまた話の先頭に立って——


「まだ、キメラ教諭とは落ち合ってないから、勝手に決めていいものかどうかわからんが、当面の目標は、グレイの親玉探し、だよな?あと、どんな、いかなる方法で倒すか?レーザーガンか、果てはとてつもなく高尚な芸術作品を浴びせるか?ここのところは教諭と密に連絡を取る必要があるな。教諭の研究の進捗、あたしらの芸術の発展、どちらも必要不可欠な要素だからな。あたしなら映画、ダバも映画、……、ってアレ?どうしてさっきの映画の講義、ダバは出てなかったんだ?それにさっきセーラと一緒に現れた、って事はまさか!?」


 セーラはなぜか自信満々に——


「そう。ダバは映画監督科から文芸科に転科したのよ。」


 リーダスはこれもなぜか絶望的な顔つきをして——


「文芸科?気は確かか?ダバ!!」


「ああ、確かだ。リーダス。最初は学生課に行って、シェルドン学生科長に言って、なんとか総合芸術探求科に入れてもらおうと思った。でも、話していくうちに徐々に文芸科一本に絞っていこうという話になった。」


「ああーー、なんでだよお〜。サンゼン広場での映画発表会も大成功に終わったじゃないか!なんでだ!なんでだ!!ダバノン。」


「もう決めたことだから、早々にはくつがえさない。決めたんだ。」


 リーダスは渾身の悲しみの表情で——


「ダバ!お前と勉強したかったんだよ!映画を!それなのに……。」


 そこで、セーラが割って入り、


「残念、ダバは私と勉強したかったみたいね、リーダス」


 なにを言ってんだお前は、とダバノンは割って入りたかったが、もう遅かった——


 リーダスはセーラをカッと、にらみ、


「てめぇ、それどういう意味だよ?ああ?」


 セーラは余裕の表情で、


「そのまんまの意味よ。」


 グレイが——


「喧嘩、やめる。喧嘩、やめる」


セーラ・リーダス「あんたは黙ってなさい!!」


 グレイはまたさっきとは違う意味で泣きそうな顔をしていた。


(ダバ。ダバはモテるんだね?)


 グレイはダバノンに耳打ちした——


(そ、そうなのか?)


——そう、ダバはモテるのだ——

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