革命
どしたダバノン……?
「なんだ?いきなり、生き物を殺すのに耐えられないから、映画撮るの辞めます、とか言うなよ?」
「違います。俺は……、」
「俺は?」
いぶかしげにキメラは詰め寄った。
そしてダバノンの返答———
「もっとやりたいこと出来ちゃいました」
「なんとっ!」
キメラは目を見開いて——
「そして、その“やりたいこと”とは何ぞや?」
ダバノンは困った顔をした。実に困った顔をした。
「それが……、ですねえ、そのお〜、自分でもはっきりしないんです……」
そこで間髪入れずキメラが——
「はっきりしない!?それじゃ他に“やりたいこと”があるとは言えない。頭を冷やせ」
「違うんです。“やりたいこと”が多すぎるんです。それを全部こなすのに映画がいいかな、って思ったけど、実際皆の前で上映した手応えが……、何か違うって感じたんです。ごめんなさい。キメラ教諭。うまく言葉にできません。」
「……」
キメラは熟考しているようだった—
「ご、ごめんなさい。俺は、どうしたらいいのか……。」
キメラは言った——
「君は職業:オン・ダバノンをやりたいと言っている。」
「!」
ダバノンは目を見開いた——
「わたしがこの半年かそこら、君を観察していて気づくことがあった。それは君の……、飽きっぽさだ。この研究に熱中していたと思ったら、次の日には別のことに熱中している、っと言った具合に……。映画監督科にする、と言った時にも、飽きないかあ?と心配してた。君はおそらく今回の上映で、“映画”に飽きた。」
「……」
ダバノンは何も言えないかった——
「だから君の場合は、絵を描く・音楽活動をする・(そしてこれはあまり宇宙人への殺傷能力は低いが、)文芸・現代アート、そして今専攻している映画、飽きたら他分野→飽きたら他分野→飽きたら他分野を繰り返して、サイクルしていけばいいんじゃないかな?一つのことに秀でることを美徳とする文化はどこの国でもちらほらあるようだが、ここは自由の国アメリカだ!君の職業はオン・ダバノンだ!!」
「が、学科はどうしましょう?」
「探したんだが、総合芸術探索科、というのがテェラー私立芸術大学にはあるようなんだ。そしてこの学科は生徒が自由にどの分野の芸術を学んでもいい。もちろん、実制作からは遠ざかる、「美学」などでもいい、とのことだ。結果、何をやってもエイリアン・バスターズには寄与するのだから、どうだい?この学科?」
「最高です!」
そうして、四名(四体?)の死傷者を出したテェラー市サンゼン広場での映画上映会は幕を閉じた——
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