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コズミック・フロンティヌス  作者: 西島嵩人
〜先鋭たち〜
36/52

映画の芸術的威力

ダバの作品は、どぉ〜かな?

「ダバノンくん、君の映画、始まるね!ベストタイムだ」


 時間帯のピンポイントさに、声を弾ませるキメラだった。


「ブウ———————」(映画開始の音)


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


 冒頭のテロップ——


「世の中から犯罪は無くならない——

しかし、それは後ろ向きな意味のみでなく、

生きるために必要、という連中もいる。そして、この物語の主人公は人の……、

おっと、全て言えないようだ。なぜなら、“彼”は人の記憶を

catch away (キャッチ・アウェイ)意味:1.〈物を〉かっぱらう2.〈死などが〉〈人の命を〉奪う

することで生き延びてい……、う、うわあああ!!!」語り部が殺された音——


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


「映画の途中だが、ダバノンくん、セーラくん、リーダスくん。よお〜く、スクリーンの目の前にいる客を見てみるんだ。一人だけ、吐き気を必死で耐えている客がいるのが分かるかい?あれは……、宇宙人だ。焦るなよ、この上映が終わる頃には滅しているはずだから。


そして、ダバノンくん、これが君の映画の威力だ。本物だよ。」


 キメラのいる、後ろを振り返ったダバノンはキメラにウインクされた。ちょっとキモいと思った……。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


 主人公「おい、ありったけの金をこのバッグに入れろ!!モタモタすんな!!」


 どうやら銀行強盗に入った主人公。単独犯のようだ。


——そして、お金を完全にバッグに詰め込んだ主人公は——


「おい!お前ら!!おれを見ろ!!おれを見るんだ!!」


「???」


 戸惑う銀行員たち。


 しかし、一応言われた通り、主人公を見た——


 すると、銀行員たちは主人公の罪をすっかり忘れ、


「何も起こってないのにお金がないな?なんでだ?」


———と、間抜けな対応をしている間に、主人公はこっそり逃げ出す———


 この手口でどんどん犯罪に手を染めていくのだが——


 つい、たまたま、出会った美女に酔った勢いで記憶泥棒の事実を明かしてしまい、その美女を一日限りのお遊びであしらったため、美女が腹をたて、警察にリーク。


 知らぬ間に「厳重注意!心を操られるな!!サイコ犯罪者を捕まえろ!!」


 と、全米に指名手配されてしまう———————


 男が最後に奪ったものとは———


———自分の記憶だった———


 と、いうテロップだけ出て、あとは「To be continued……」


と、右下に出て、終わり。


✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎✳︎


セーラ「私、映画よくわかんないけど、これ、駄作だと思う。意味わかんなかった。続きがないと成立しない映画じゃん」


リーダス「あたしはいいと思ったな。低予算でできることはなんでもやってたね。続編作りたいって意気込みも伝わってきたし、好きだわっ」


セーラ「す、好きって!?」


リーダス「ああ。この映画のことさ。やっぱ、本数観るのも重要かもね。今度、誰かの家でサブスク映画祭りしようぜぇ〜」


ダバノン「いいねぇ、嬉しいよ。リーダス。セーラの実直な意見も参考になった、ありがとう。」


キメラ「最後に自分の記憶を“奪う”っていう発想はひとひねりしてあって、好きだったな。わたしも続きが観たい」


ダバノン「あ、ありがとうございますっ!」


 キメラはまたあの、薄気味悪いウインクをして、


「目の前のスクリーンの客、何人減った!?」


「えぇっ??」


「キメラ教諭、注意しようとはしていたんですが、自分の映画が他人にどう受け入れられるかが不安で、見逃していました!!」


「二十人から、十六人に減った。つまり、あの中でエイリアンだったのは、四体だったということだ。君は君の実力、言わば“芸術力”でエイリアンを粉砕したのだよ。これは暴力ではない。粛清だ。君はこれを続ければいい。」


「……」


「なんだ?いきなり、生き物を殺すのに耐えられないから、映画撮るの辞めます、とか言うなよ?」


「違います。俺は……、」

感想など頂けると嬉しく思います。

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