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“本物”の信頼

おだやかじゃないですね〜

「隠し事はフェアじゃない!!そうでしょ?!」


 言い放ったセーラ—


 フフっと苦笑いしたキメラは—


「確かに……、わたしは前回も前々回も、事の真相を小出しにして、あえてわたしが知っていることを全ては開示していなかった。すまん、それは事実だ。だが、わたしがなんの理由もなく話さないと思うか?」


「え?」


 と、セーラ—


「この研究室の中は安全だが、ここを出た後に、外で機密事項を声に出して話すと、宇宙にある奴らの情報機関本部に情報を傍受されてしまう可能性がある、前はそこまで詳しくは言ってなかったが……つまり、」


 セーラはキメラが話している途中で得意の横やりをいれた——


「つまり、あまり専門的な事、または機密まではいかなくても、知っている事すべてを話すことは、わたしたち、わたしやダバノンやリーダスには危険だと踏んだんですね?いやでも外での会話で思わずしゃべってしまう、ということを危険視して……?」


 キメラ教諭は険しい表情に変わって———


「まあ、簡単に言ってしまえば、そうなるな。」


 セーラはキレた——


「なんなんですか!?それ!??わたしたちを信頼していないって証じゃないですか!!あり得ない!!そんなに信頼されていなかったなんて!!」


「不快な思いをさせてしまってすまない。セーラくん。だが、地球規模の問題について考える時、時に人は他人も身内もまず疑ってかかる、というのは勝利への鉄則なんだ、わかってくれ!」


 キメラ教諭はもう何も言えない、といった様子であった———


 そこで助け船——


「あんたがキメラ支部長の立場だったらどうしてた!??」


 このカッコ良い、横やり。


 リーダスだった——


「わ、わたしだったら、みんなに平等に情報を共有したわ。……、多分。」


「ほらな、ちょっと躊躇したろ?人が人に『本物』の信頼を得るってことは本当に時間がかかるんだ。たかだか二回や三回あっただけのアンタになんでも話すわけないだろ。くだらない。あたしだってダバノンやセーラ、あんたの存在は知らされてなかったんだから、ある意味平等だろ。あたしはもう一年前からの知り合いだよ。あんたたちより色々知ってて当然だろ。」


 セーラは黙ってしまった——


「それに、キメラ支部長もそれなりに自分の立場、事の重責に耐えながら頑張っている。上に立つものにしか分からない苦労ってのもあるんじゃないのかい?わたしにはそれ以上言えない。」


 ここでダバノンが——


「確かにセーラ、俺らとキメラ教諭は、同じ高校の生徒と教諭という知り合いだったという関係性もあるけれど、“真”に知り合いになったのはこの一ヶ月程だ。俺らもリーダスみたいに、徐々に信頼を得ていけばいい。そして、さっきリーダスも言ってたが、キメラ教諭にも責任があるから俺らに全部が全部、なんでも話すわけにいかなかったっていう理由も十分理解できる。」


 しばらく沈黙のセーラ——


「………………。」


 しかし、しばらくすると口を開き——


「わかったわ。」


 粛々と言った——


「キメラ支部長に何か言うことはないのかい?」


 リーダスが諭すように言った——


 逡巡していたセーラだったが、遂に———


「すいませんでした。キメラさん。」


 心からの謝罪だった。

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