宇宙人の是非
断言!!
「ダバノンくん、君は……、宇宙人を、地球外知的科学生命体、を信じるか?」
「はい、めちゃくちゃ信じてます」
その直後だった——
キメラ教諭はダバノンに抱きついた、齢三十五歳の彼がである。
「同志よ!!」
え?え?え〜??
「キメラ先生、な、なんなんですか!?離して下さいよ〜!!」
興奮状態だったキメラはふと我に帰った——
ダバノンを体から引き離し、
「す、すまん。そんな澄んだ眼で、“本心”でそういったものがある、ということに同意してくれたのが、ダバノンくん、生涯で君が初めてだったものだったから、つい嬉しい気持ちが勝って、我を忘れてしまった……、すまぬ、悪かった。」
ダバノンは黙りこくっていた——
「……。」
キメラ教諭は申し訳なさそうに、
「すまぬ、君はまだ十八だったね、こんなむさ苦しい男にハグされるのなんて心から不服だったろうに……、改めて、すま、」
「ぬ、」、と言うところだった——
その時、意外な現象が起きた——
ダバノンが泣いていたのである。涙がツーッと彼のほおをなぞった。
「そこまでショックだったか、なんと言っていいか……」
キメラは困り果ててしまった。
「違うんです。」
「え?」
「嬉しかったんです。僕も。同じような同志がいるんだな、と……、年齢関係なく。」
キメラ教諭は一瞬、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしていたが、徐々にその表情はにこやかになり、テンションが絶好調になり始めた——
「そうか、良かった。しかし、この界隈の人間が今、傾注している出来事が今地球で起ころうとしている。それを君が正しく答えられたら、本物の同志と認めよう、しかし、もしトンチンカンな回答をした場合は、君のための特別補講は取りやめにして、普通の化学の授業をする。いいね?」
ダバノンはフッと笑った。
「楽勝ですよ、そんなの。常識と言ってもいい」
「ほう、言ってみてごらん?」
ダバノンは一言で片付けた——
「宇宙人が人間に化けて地球に侵入してくる」
「そしてそれは、」
「僕らを疑心暗鬼に駆り立てる」
キメラは空いた口が塞がらない様子だった———
「な、なぜそれを……??」
「僕はSF小説は、もはやノンフィクションだと思っています。裏付けは僕がNASAのホームページをハッキング……、」
「おっと、そこまでにしときなさい。」
キメラは危険を感じてダバノンの口を手で覆った。
(小声で———)「ダバノンくん、君は有資格者だと言うことはもうわかった。しかし、あまり最深の話題をここ、学校でするわけにはいかない。誰が聞いているかわからないからな。私のうちの研究室に来なさい。そして私は君の家の研究室も見たい。これから、大いに協力していこうではないか。」
ダバノンは目を輝かせて——
「是非!楽しみです!」
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その頃、ティラー高校の校門前では——
セーラがいた。
「ダバ、遅いなあ〜。よっぽどサボってたんだな、あのばかっ」
校庭には涼しい乾いた風が吹いていた———
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