講義での抗議者
ま〜た、小競り合いが……。
「ちょっと昔の映画知ってたからってなんになんのよ!」
女生徒の声が講内に響いた——
ダバノンは面食らった状況で、言葉が出なかった。
女生徒はなおも続ける。
「わたし、大っ嫌いなのよね、そ〜いう頭でっかちで映画のウンチクばっかりあって、肝心の映画を実際に撮ったこともない、そういうヘ理屈男。それがアンタよ!」
ダバノンはすこし平静を取り戻して——
「まだ実際に映画を撮ったことがないのは、大体の生徒が同じじゃないか!お前なんかにけなされる筋合いはねーよ。お前は映画撮ったことあんのか?」
女生徒はまだ自信ありげに、
「十本撮ったわ、高校の自主映画で。実際を知らない素人ちゃん?」
ダバノンはとうとうイラっときた——
「好きな監督は?」
「マイケル・ベイ」
「ふふっ」
ダバノンは特にマイケル・ベイ監督を下に見ているわけではなかったが、その時はなぜか笑ってしまった。
女生徒はキレた——
「馬鹿にすんな!映画ウンチク男!絶対おまえにだけは負けないからな!!」
ダバノンは軽くいなして——
「名前は?」
「リーダス。モーツァル・リーダス、アンタは?」
「オン・ダバノンだ。おれもお前には負けない」
———こうしてここでダバノンは、最初のライバル、リーダスと、初の苦々しげな邂逅を果たすこととなった———
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———ダバノンの家———
どうやらダバノンは今日、テェラー私立芸術大学で受けた最初の講義のことや、リーダスとの苦々しい初対面に関して、同じく同大学の文芸科で初めて授業を受けた、セーラとケータイで話しをしているようだ。
「そっかぁ、映画史はいい成績取れそうね。そんな失礼なオンナが!?許せない!!今度そいつと会わしてよ!ダバがいくらすごいか分からせてあげるから!!あ、でも……」
セーラはちょっと戸惑って——
「もしも……、もしも、だよ?」
「ん??」
ダバノンはぽかーんとしていた——
「そのォ〜、キメラ教諭が改良した本質メガネ、コンタクトレンズ、その日、着けてった?」
「え、あ、そうか。宇宙人さがすんだもんな。ああ〜、初日はあたふたしてて、着けてかなかった。で、それが、どうしたんだ??」
セーラは心底がっかりした様子で——
「ばかね、その女生徒が宇宙人かも知れないじゃん」
「あ〜」
ダバノンはまだ修行が足らなかった——
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