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覚醒ヒロイズム

ヒーローのいぶきが。

「あれは……、やばいな……。」


 キメラの正直な表現、

 しかし、ダバノンはもちろんこんな返事だけでは満足せず——


「で!どの辺が、どういうふうにやばかったですか!?教えてください!」


 キメラはふううぅ〜む、とうなった後——


「この小説、虐殺器官は、要するに数多の国々に首脳として関わった男が、放送・印刷物、含めてあらゆるメディアを使って人々を洗脳し、殺し合わせた、という話だよな。例えば、放送に使う『ことば』、『韻律』、『抑揚』、全てを総動員して……」


 ダバノンはへへっと笑って、


「やっぱ、そこがやばかったですか?確かに僕もそこのメカニズムに興味を持ちました。言葉を使って人を殺し合わせた、という発想に。もしかして、リアル(現実世界)でもこんな風に人をあやつる事が可能なのでは!?となんかも考えました……」


 キメラは真剣な顔をして言った。


「可能だよ。」


 断言した——


 ダバノンは驚愕した——


「い、いま……なんて……??」


 キメラはくっくっくっと、引き笑いをし——


「絵空事ではない。これは現実でできる。」


「そんなっ!?確かに僕はこの本を薦めた時、教諭はフィクションの恐ろしさを思い知るはずだと言いました。しかし、あくまでフィクションはフィクションなんです。こんなの、……実現したら、悪用されたら、世界は滅亡する!まさか、教諭、これを実現出来る発明をもうされたのですか!!?」


「発明した。君との出会い、そして、君が選んだ偶然によってな。」


「??」


「つまり、こういうことだ。君は銀河系の、宇宙の中心の力を誰にも知られないまま、有している。そして、君は正真正銘、超・ナチュラルボーン、メタ人間だ。表現したものすべてがメタ言語であり、宇宙人にも直で届く。確か前にも言ったきがするがな……、そう、君との出会い、これが一つ。そしてもう一つ、幸運の偶然。君は大学の専攻を、総合芸術である、映画を選んだ。そしてさっき君も言ってた通り、人をあやつる言語は悪用されるとさっきの小説のような悲劇をもたらすが、君のような善人が正しく使った場合、その恩恵は計り知れない。」


 ダバノンは震えていた、


「大いなる力には大いなる責任が伴う、か」


 キメラは優しい声で——


「怖いかい?怖いだろ?でも大丈夫。メンタル的にも技術的にも、はたまた高々、高校教諭の給料からではあるが、資金援助もしたいと思う、映画のな。」


 終始、無言をつらぬくダバノンに対してキメラは——


「大丈夫。大丈夫だ。わたしがついている。前にも言ったが、もう、割り切れ。軽い気持ちで!どっちにしろ、普通に生きて行くのは無理なのだから。宇宙人が相手なのだからな。それこそ、君が好きな、映画のキャラクター、主人公に自分を重ねて、ヒロイズムを味わってみたらどうだ?スパイダーマンとかルークスカイウォーカーとか。楽しむのもわるくない」


 ダバノンはやっと口を開いた——


「わかりました。僕はこのチカラを善のために使うのだから、何も後ろめたいことは無いのだ、と思い直しました。それこそ、スパイダーマンの主人公、ピーターパーカーにでもなったつもりでヒーローになります!!」

読んでくれてありがとうございます。

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