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最適解

教諭の強行

 夕暮れが迫る化学実験室。化学教諭のキメラはダバノンの左肩をつかんで——


「最高だよ!」


 ダバノンの芸術大学の映画監督科への進学に対して、キメラは最大級の賛辞を送った。


 ダバノンはほっとして、


「びっくりしました。教諭、ずっと頭を抱えていたから、学科選びに大失敗してしまったのかと……。」


 教諭はふふっと笑って——


「あまりに予想外な学科選択だったからね。ダバノンくん。これは、我々が宇宙人を滅ぼし、癒す、最適解はなにかとずっと頭に戦わせていたところ、美術でも音楽でもない、『映画』はどう作用するだろうと考えていた結果、頭を抱えていた、ということなんだ。」


 ダバノンは気になり——


「それで、頭を抱えて考え続けた結果、どのような思考プロセスによって、映画制作が“最適”の創作表現、ということになったのですか?」


 キメラはこほんっと咳払いをしたあと——


「まず、『美術』。これ一本でも良いと、前回言ったかもしれないが、映画はこれを内包している。そして、次に『音楽』。これも……、言わずもがなだな。内包している。そして、これはやや不本意だが、『文芸』。これもだ。そしてもう一つ、前回、話題に挙げなかった、『演劇』!生身の役者による生きた演技の要素が入ってくる。正直、演技が彼ら宇宙人にどう刺激を与えるのかはまだ分からない。そして、これらを全て内包、統括するのが、『映画』、映画監督、という総合職だ。この力は全芸術を総動員する、絶大なエネルギーを持つ。だから、わたしは最高だ、と言った。わかるかい?」


 ダバノンは妙に納得した表情になって—


「良かった!僕も芸術大学への進学を決めたあと、どの学科にするか、少しは悩みました。なんとなく向いてそうなのは『絵』かなあ、とか、いやいや『音楽』に挑戦するのもいいな、とか……。でも、結果、一番好きなのは『映画』だと思い立って、そこからは早かったです。」


 すると、不意に化学実験室のドアが開いた——


 セーラだった。


「ダバ、キメラ教諭、今日も内談ですか?」


 いやいや、と二人。


 そこでセーラが、


「ダバ、さっき三者面談してたよね?で、どうしたの?進路?」


「テェラー私立芸術大学の映画監督科にしたよ。」


 セーラは目を見開いて——


「お。おおお〜〜。思い切ったねええ〜。良いんじゃない?あんたなんだかんだで映画が一番好きそうだったし。うん、いいと思う。」


 キメラが言った、


「ダバノンくん、この『映画』という決断は、エキストラ、多数の人数、人を集めることに意味がある。自主映画でもいいから受験前に一本撮っておくと、入試の印象もいいのではないかな?」


 ダバノンはふう〜む、とうなって、


「自主映画かああ〜。考えときます。で、人を集めることに意味がある、と??」


「ダバノンくん、君は宇宙言語の権化のような人間だと、前回言ったね。超・メタ人間だと……。つまり、君は普通の人間ではないのだよ」


「つまり……!?」


と、ダバノン。


「君の映画に集まってくる人々もまた普通の人々ではない可能性が高い。」

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