見つけたり!
パトロール
町を群れ歩く三人——
その時だった——
「あ!あの人!」
ダバノンは指こそ指さなかったものの、口にした。
その視線の先には、商店街に位置する交番の中に勤務する、警察官に向けられていた。
キメラ教諭はパッとダバノンの肩に手を置き、
「指を指さなかったのはえらい。しかし、ヤツらを見つけても普通の声で喋るな。耳打ちしろ。そして、ヤツらをあまりちらちら見るな。あやしまれる。」
(小声で)
(すみません。教諭。でもアイツ、この星の人間じゃ無いですよね?あきらかに)
“本質メガネ”で見た、その警官の姿は——
帽子の下の顔から軟体動物のタコのようにうねうねと触手がねり出ており、制服から出た、腕もタコの触手だった。あきらかに人間ではない。
(確かに、やつは人間ではないな。しかし、今回の目的はあくまで視察、パトロールだ。今、わたしたちにヤツに手をくだす手段はない。とにかく、一匹でもヤツらを見られたことが成果だ。さて、帰ろうか)
ダバノンは、
(もう帰っちゃうんですか?なんかあいつに攻撃したりできないんですか?)
セーラは、
(でも、具体的にあいつが何か害をおかしたりしているわけではないから、それは早計かも……)
キメラは、うむっとした様子で、
(その通りじゃ。セーラくん。やつらにも二通りいて、人類に害をなすやつと、あくまで人間観察に精を出すやつ。二種類に分けられるんだ。今回のやつは穏便派のようだ。わたしはこのメガネが出来たばかりの頃に市内を歩き回ったことがあるが、それこそ十体ほどやつらを見た。しかし、やつらは見事にわれら地球人の生活にフィットしており、人間に害をなす危険性は無いと見た。見た目はグロテスクだがね)
ダバノンは、
(逆に言えば、強硬派も確かに存在している、ってことですよね?そいつらが頭角を表す前に——)
ダバノンがすべてを言い終わる前にキメラは言った——
(やつらを滅却する装置の開発に迫られるな。待っとっていくれ。研究はいいところまではいってるんだ。それこそ君に教えられたSFの想像力が研究に拍車をかけて、この三十五年の屈折を取り戻すかのように、進んでいる。それこそ、君の言う“本質メガネ”がいい例だ)
そうして、三人は商店街を後にした——
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