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転生少女は今度こそ 錬金術で幸せになります  作者: チャッピーミイタン
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第7話⬜剣帝フォボス

領主様のお屋敷から帰ってきた次の日ギルドマスターのオーエンさんが施設を訪ねてきてくれた。


どうやら俺のことを剣帝様に紹介するつもりのようだ。剣聖様に頼まれたのだろう。


しかし自分の村にそんな達人が住んでいたなんて、これっぽっちも知らなかった。


村の剣術道場は施設から1キロぐらいのところにあった。施設のお兄さんやお姉さん達も通っているようだ。名前は黒竜庵。


みんなも黒竜庵に行く途中のようだ。木刀を背負って行く姿がちらほら見られる。


剣聖様はすごい人格者だったので今の自分はとても安心している。あの剣聖様の父上なのだからきっと立派な人に違いない。


黒竜庵につくとそれぞれ更衣室で着替えて広場に集合した。10歳から15歳ぐらいまでの男女が100人ほどいる。


随分多いと思ったが、この黒竜村以外の所からも習いに来てる人がたくさんいるようだ。だいたい8対2の割合で男の方が多い。


10歳より下の子供は俺だけだ。何だかだんだん心配になってきた。100人の子供たちを教える先輩たち、大人の方が10人ほどいた。


俺も後ろの方でみんなに混じって素振りを始めた。今回は自分で木刀を作ってきたので何の心配もない。


「おいルーナ、分からないことがあったら何でも聞けよ。俺が教えてやるからな」


「そうよルーナ。頑張りなさい」


「うん、ルーナがんばる」


施設の子が声をかけてくれる。なんかとっても嬉しい。嬉しくなって頑張って素振りをしていると、そこに白髪混じりのいかつい男が現れた。頭にはやっぱり角が生えている。でも剣聖様よりも優しそうな感じだ。


「お前がフェニックスの言ってたルーナかえ」


「はいルーナでしゅ」


「強くなりたいのか」


「はい」


「ならばかかってこい!」


「はい」


剣帝様が直接指導してくださるのだ。こんな機会はめったにない。剣聖様と最後にやった勢いで俺は剣帝様にかかっていった。


「ぐわっはははははは、とうしたルーナそんなもんか」


「ぐううううう」


くそ、この妖怪じじいめ!一発も当たらねえ。あっ、木刀がおれた!それでも剣帝様は構わず打ち込んでくる。


「木刀が折れたって相手は待ってくれんぞ」


「ぐぎぎぎぎ」


確かにおっしゃる通りなんですけれども初日の練習からこれかよ。かといってこのままではボコボコにされてしまう。魔力を剣に放出してまとうようにさせた。魔力剣の誕生の瞬間だった。


もうかれこれ30分は戦っている。さすがにちょっと疲れてきた。くそう!何か手はないのか。


もう10回以上は叩かれているのだが身体強化をしているのでそこまで痛くはない。


それよりこのじいさん?さっきから生き生きして人をたたきにかかってきてるんだが。剣術の修行なのでこれ以上魔法を使うわけにも行かないしどうしよう。どうすればこの脳筋じじいを倒せるんだ。


そうだ!剣をかくして間合いをごまかそう。剣が相手から見えないようにして間合いを詰めたり離したりして一気に打ち込む。


「うやー!」


「バカタレ!こんなもんが効くか!」


ボカッ!うえ〜頭痛え〜。おのれ!どうする?どうする?よし!それなら!

なるべく下を狙って連続づきだ。


「うわー!」


「よっ、はっ、たっ!それぇー!」


地面の近くを横薙ぎに払いやがった。


「うぎゃー!」


俺はすっ飛んで転がりぶっ倒れた。こうなったら魔力を飛ばしてぶちのめしてやる!


「おやー!おやー!おやー!おやー!」


「おおお?おもしろい事をするの」


遠間から魔力を何発か放ち近づいた時は全力で打ち込む。これを繰り返した。しかしそれでも当たらない!このじじい化け物だな!


仕方がない!飛び上がって剣先をかくし魔力を伸ばしてたたいてやる!もはや剣とは言えないのでは?槍かな?


「だぁー!」


「おおお?だがあまい!そりゃ!」


紙一重でかわされ、みぞおちに突きを貰ってしまった。俺はそのまま地面に落ちた。


痛いがまだ動ける。ここで死んだふりをして一気に襲いかかってやる!


「やるのおー。もう一撃来るか?」


「うっ、まいりましゅた」


だめだ。死んたふりも効かない。とても勝てない!


「痛いのとんでけー」


「それは治癒魔法か?」


「そうでしゅ。いりましゅか?」


「おお、頼むわ。久しぶりに動いたのでつかれたわ」


「痛いのとんでけー」


「おお、いいの。ルーナよ。最後の方の魔力を飛ばす技、息子に使ったら勝てたのではないか?」


「あれはさっき考えたから」


「ふ〜ん、お前はすごいやつだのう」


「けんじゅちゅはまだまだでしゅ」


「今後の予定を立てたいので、ちょっと家の方へ来てくれ」


「はい、行きましゅ」


うーん。何か考えないと太刀打ちできんな。やられもしないけど。


「おい見たか?あの小さい子剣帝様を相手に1時間近くも戦っていたぞ」

「あんなちっちゃい子が何であんな強いんだ」

「俺なんて剣帝様に相手してもらったことなんか一度もないのに」

「あれはどこの町の子だ」

「はい、あれはうちの施設のルーナです。最年少です」



剣帝フォボスの庵


「おーいばあさん。お客さんだぞーい。お茶を入れてくれんかな」


「珍しいですね家にお客なんて。一体どなたです?」


出てきたのは剣帝フォボスの奥さんのレジーナさんだ。やっぱり黒髪で角が生えていた。でも剣帝様とは違ってとても優しそうなおばあちゃんだ。


「あらあら、ずいぶんかわいいお客さんね」


「こんにちは ルーナでしゅ」


すぐにお茶とお団子が出てきた。思わずにっこりしてしまう。お団子を食べながら今後についての話し合いをした。


週3回午前中に稽古に来ることになった。授業料は他のものの相手をしてくれればいらないと言われた。なんかそれも悪い気がするのでみんなと同じに月謝を払うと言ったのだが受け付けてくれなかった。なかなかに頑固なじいさんである。


「何を言っとるんだ。お前の腕はもう剣聖並みだぞ」


「そんな強いわけないでしゅ」


レジーナばあちゃんは腰が痛そうだったのでヒールをかけてあげたらとっても喜ばれた。ついでにポーションも何本かあげる事にした。



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