第4話⬜ポーション販売
せっかくポーションを作ったので冒険者ギルドに売りに行くことにした。とは言っても幼女一人で街中をウロウロさせるわけにもいかないらしくアメリア先生が一緒についてきてくれることになった。
今日はお出かけなのでいつもの施設の制服ではなく綺麗な白色のワンピースを着て白い帽子をかぶっている。茶色の靴を履いていて心が軽い。
「ふんふんふんらららーんらん、ふんふんふんらららーんらん」
「ご機嫌ねえルーナちゃん。町へ行くのはそんなに楽しみ?」
「うん。楽しみ〜。きっといろんな物がある」
町までは3キロほど離れているので 町行きの馬車に乗っていくことにした。自分一人なら飛んで行けば事足りるのだがアメリア先生がいるのでそうもいかない。
20分ほどで冒険者ギルドがある青竜町についた。意外と大きな町で黒竜村の10倍ぐらいの広さがある。
冒険者ギルドは町の中心に近いところにあり、そこに行くまでには屋台がたくさん並んでいた。
「くんくん、いい匂いがする〜」
「そうね。お肉を焼く臭いね。帰りだったら寄っていけるわよ」
「楽しみ〜」
冒険者ギルドに着いた。観音扉になっているところを開けると、たくさんの人で賑わっていた。朝だからか依頼ボードの前には大勢の人がごった返していた。奥の方は酒場が併設されており突き当りには受付があった。
「ようこそ青竜町の冒険者ギルドに。今日はどのようなご用件でしょうか」
「黒竜村希望の里のアメリアと申します。今日はこの子が作ったポーションを売りに来たのですが」
「まあ!あなたが魔法使いのルーナさんですね。錬金術もできるんですね。びっくりしました。奥の部屋へどうぞ」
奥の部屋にはこの間希望の里に来ていた冒険者ギルドのえらいおっちゃんが座って仕事をしていた。どうやらこのおっちゃんはギルドマスターらしい。ソファに座って早速商談を始めた。マジックバッグの袋からポーションを取り出す。その様子を見ていたギルドマスターは驚愕の表情を浮かべていた。やはりそんなに珍しいものなのか。
「マジックバッグを使う所は初めて見ましたけどすごいものですね。申し遅れました、私ギルドマスターのオーエンと申します。以後よろしくお願いいたします」
「うん。これはね〜ルーナが作ったポーション。普通、いいやつ、すごいやつ」
「ほうそれはすごい。それじゃあ早速鑑定に回しますね。しばらくお待ちください」
待つこと10分ほどして係の者がドタバタと走って部屋の中に現れた。
「ギルマス!これすごいですよ!低級でも中級の力があります。中級は上級の力があります!上級はちょっと解析不能ですね最低でも特級と言えます」
「何?そんなにか」
「はい!間違いありません」
そこまで効能が上とは知らなかったな。魔力を込める量を加減しないとダメだな。低級ポーションは浅い傷なら跡形もなく治る程度のものだ。中級ポーションなら内臓に達する傷でも治るもの。上級ポーションに至っては致命傷でも何とかするほどの物だ。
今回は低級ポーションとして持ってきたものを中級ポーションとして引き取ってもらった。1瓶大銀貨1枚だ。全部で大銀貨50枚になった。中級ポーションとして持ってきたものは上級ポーションで引き取ってもらう。1瓶金貨1枚なので全部で金貨30枚になった。上級ポーションとして持ってきたものは特級ポーションとして3本だけ引き取ってもらった。1瓶金貨10枚なので3つで金貨30枚になった。なかなかの売り上げた。錬金術師って儲かるな。
前々世は地球でコンビニのバイトだった。こんな大金を目にしたことがない。前世でも魔法使いだったが戦ってばかりでお金にはあんまり縁がなかった。だから今とっても胸がドキドキしている。
「アメリアせんせ、半分あげる」
「え?何言ってるのルーナちゃん!これは全部あなたのものよ」
「希望の里の掟は守らないと」
「「え?」」
「違いますよ!人をそんな守銭奴みたいな目で見ないでください!施設では見習いの口利きとかもしています。だから働いた分の半分をもらっているんです。こんな大口の大金を半分もらえる権利なんて私たちにはありませんよ」
「でも、鉄のおきて」
「えーい、もう全部バックにしまいなさい。このことは帰ってから院長先生と相談です!」
俺はお金を全部をマジックバックにしまって冒険者ギルドを後にした。
「みんなにお土産買おう」
「そうね。やっぱり食べ物がいいかしらね」
あれ?さっきから怪しい連中が3人ほど、こそこそと後ろからついてくる。
「お姉さん、ちょっと道を尋ねたいんですが」
「はい、どこに行かれるのですか?きゃー!」
3人組はアメリア先生と俺を抱きかかえて路地裏へと走って行った。
「ヘヘ、お前たちがギルドの上客なのは分かっている。個室に通されて取引してたんだ。さぞ大金が入っただろう。大人しくそれを渡しな」
「何を言ってるんですか!あなたたちは!こんなことしてただで済むと思ってるんですか!」
「うるせえ!」
「きゃ」
アメリア先生はでかい男に突き飛ばされて地面に転がってしまった。男たちはアメリア先生のバッグを漁っている。
「よくもアメリアせんせを!ぱらりん!」
電撃魔法の弱いやつパラライズを発動させた。
「うぐああああ!!」
「なんだだだだ!!」
「しびれるるる!!」
「ルーナちゃんんんんん、あたしにも当たってるるるるー!!」
「あ、ごめんアメリアせんせ、痛いのとんでけー」
「お前たちは許さない!よくもアメリア先生をこんな目にあわせたなー」
「それは、おめえがやったんだろうがががが」
「うるさい、ぱらりん!」
「「「ぐぎゃー!!!」」」
その後アメリア先生がギルドの人を呼んできて3人を捕まえてもらった。このことがあってからポーションはギルドの方から施設へ取りに来てくれることになった。