第25話⬜エルフと模擬戦
この獣人領へ来てから2ヶ月が過ぎた。作業もようやく終わり今日は壁の強化完成祝賀会が第一ビーストタウンで行われる。
すでに報酬の方ももらっている。今回は350kmと長かったので前回の7倍の金貨7000枚をもらうことができた。
ちなみに最初に反対していた3種族には罰金が課せられたようだ。空間魔法通信の端末代や魔力玉の費用などを負担させられたそうだ。
獣人たちの中の話なので こちらは別にどうでもいいのだが。あれだけ馬鹿にしてきたんだから罰金ぐらいしょうがないんじゃないかな。
第1ビーストタウンの中心街にある迎賓館では祝賀会が始められた。
俺はいつもの作業服ではなく白いブラウスに膝上の青いフレアスカートに黄緑ベストを身につけている。
今日で終わりになって黒竜村へ帰れるといいのになあ。多分ドワーフかエルフが接触してくるんじゃないかな。
3人の姉さんたちはみんな綺麗なドレスを着て それぞれ いろんな人と話をしている。
「私はドワーフ領領主コナー・ガルシアと言います」
「はい、こんにちは。ルーナ・ミルキーウェイでしゅ」
やはり壁の補強を依頼された。まあ 1週間ぐらいだから即答でOKを出した。
ソレイユねえさんはやはりドワーフの人と話が弾んでるようだ。
「あなたが殲滅天使ソレイユさんですか。お噂はかねがね聞いております」
「あら〜そんな風に呼ばれてるんですのね〜 ソレイユ・ミルキーウェイですわ」
「私はドワーフ領鍛冶師ミラー・ヤングと言います。初対面の方に不躾なのですがミルキーウェイさんといえば 珍しいお酒をお持ちということを噂で聞いたのですが」
「はい私の方が販売をしておりますが〜作ったのは妹ですのよ〜。飲んでみますか〜?」
ソレイユねえさんはマジックバックからウイスキーとブランデーを出して グラスに注いでヤングさんに渡した。
「こ こ これはうまい!こんなうまい酒は飲んだことがない!ワインとは比べ物にならないくらい濃い酒ですな」
「はい〜。私が飲みたいと言ったら妹が作ってくれたんですのよ〜」
「是非 ドワーフ領に分けていただきたいのですが」
「少しなら大丈夫ですよ」
何やらドワーフの鍛冶屋さんと話してお酒の販売を進めているようだ。もうソレイユねえさんに任せてあるので好きにやってほしい。
コメットねえさんとユノねえさんは相変わらず2人セットで動いている。エルフの綺麗なお姉さんと話をしているようだ。
「私はエルフ領領主の娘キャメロン・グリーンと申します。あなた方がミルキーウェイ姉妹のみなさんですね」
「あーそうだぜ。あたいはコメット。隣はユノだ」
「ユノ・ミルキーウェイです。よろしくお願いします」
「お二人共ものすごく強いと評判です。私も剣を嗜むものとして一度是非お手合わせを願えればと思います」
「おういいぜ!あたいたちはいつも模擬戦してるからな。1人増えてもどうってことねーよ」
「それはありがたいです。エルフ領から出てきた甲斐がありました」
祝賀会が終わったので4人揃って今後について話し合った。そしてドワーフ領へ進むことになった。
エルフ領のお客さんがいるので先に 模擬戦を行うことになった。獣人領の北に広い空き地があるので そこで模擬戦を行う予定だ。
「あの模擬戦でしたら建物の中でもできるのではないですか」
「あーそれがね,あたい達がやると建物がみんな壊れてしまうんだ。だから広い外でやらないと無理なんだよ」
「ええ?壊れるんですか?」
「魔法でも何でもありで戦うので周りに何かあると大変なんですよ」
「そうですか。それはもう模擬戦ではなくて実戦ではないでしょうか」
いや、このエルフのお嬢さんが言ってるのが普通なんだ。こっちの4人が特殊なんだと思う。
「あーそうか。それじゃあ魔法なし 剣だけでやろう」
「いえ、私も剣聖の称号を頂いておりますので大丈夫だと思います」
「それフォボスのおっちゃんのと似てるな。ええと何だっけ」
「剣帝でしゅよ」
「ああ、そうそうそれだ!」
「剣帝様をご存知なんですか?」
「この間 黒竜村で手合わせをして勝ったぜ!」
「うそでしょ!剣帝様ですよ!」
ユノねえさんがどんな戦いだったのかを詳しく話して聞かせた。
「それはすごいです。世の中にはまだまだ高みがあるのですね!」
「先にあたい達がやってみせるから まあ見ててくれ」
ソレイユねえさん対コメットねえさんとユノねえさん。ソレイユねえさんは長い棒を持った。2人は真剣だ。
空中で切り合いが開始され3分ぐらいで2人とも叩き落とされてしまった。
「ぜひソレイユ様お願いします!」
「いいわよ〜」
ミラーさんは片手剣でソレイユねえさんに果敢に攻めかかるが頭や腹や腕を叩かれ1分位で倒されてしまった。
「痛いのとんでけー」
「はあーすごいです。で?手も足も出ませんでした。それにしても素晴らしい 回復魔法ですね。ルーナさん」
「回復はルーナの仕事でしゅ」
キャメロンさんはその後コメットねえさんに負けユノねえさんにも負けた。3人との戦いで愛刀がボロボロになってしまった。
「ねえさん達がすみましぇん。これはルーナが作った刀でしゅ。よかったら使ってくだしゃい」
ミスリルで作った片刃の刀をキャメロンさんにあげた。宝石がはまっている なかなか豪華な剣だ。切れ味も最高だと思う。
「いいんですか?こんな綺麗な剣をありがとうございます」
彼女はみんなに深々と頭を下げて帰っていった。
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