第21話⬜酒づくり
あれから3日が経ち約束の期限が迫っていた。俺たちはホテルを引き払って黒竜村へ帰ろうとしていた。
「この町もなかなか面白いところだったぜ」
「そうですね。洋服の種類は豊富だったと思います」
自分の馬車に乗ろうとした時そこに例の犬人族の男が現れた。他の代表も揃っている。ただし反対したあの3人はいない。
結局話し合いは平行線で全員一致というわけにはいかなかったようだ。補強がうまくいったらあの3種族には割増料金を請求する予定だそうだ。
「分かりまちた。壁の強化を始めましゅ」
今度は距離が前の7倍もあるので そんな簡単には終わらない。約2ヶ月はかかるだろう。
朝から壁の強化をしている。前もやっていたことなので特に変わりなく同じペースで進めるようにしている。
コメットねえさんとユノねえさんは守備隊に雇ってもらい やはり独立中隊としてパトロールに行っている。
ソレイユねえさんは冒険者としての活動をこの獣人領で始めている。ただし護衛などの長期任務は受けないようにしてもらっている。
「あれ?水色ゴーレムだ。鉱石が集まったんだ」
壁の強化をやめて地上に降りる。水色ゴーレムからマジックバッグを受け取った。
「黒竜村は変わりないでしゅか?」
腕で大きな丸を作った。村は変わりないみたいですね。
「鉱石掘りは順調でしゅか?」
これも腕で大きな丸を作った。大丈夫のようだ。
「他に心配事はありましゅか?」
これは胸の前でバツを作った。つまり心配事はないということだ。よかったよかった。
なんか全身がプルンプルン揺れてて艶めかしい。マントと帽子を水色ゴーレム人数分あげて戻ってもらうことにした。
もう一つ袋を出してきた。これはゴーレムの魔力回路か。まとめて持ってきてくれたんだ。なかなか気が利くな。
ゴーレムにしゃがんでもらい頭を撫でてあげた。なんかクネクネして嬉しいのかな。空間魔法通信の端末を一つ持たせた。嬉しそうに帰って行った。
この日の作業は順調に終わり俺は拡張空間へ戻った。魔力回路が届いたのでゴーレム作りを開始した。
物理攻撃はできるが魔法攻撃があまりできていないので魔法をうてるようにしてみた。
鳥型のゴーレムでエクスプロージョンを撃てるようにした。魔石は大きめのものを使っている。まあ3発は撃てるだろう。20体作った。
あとは人型ゴーレムの口から風魔法ウインドカッターと腹から土魔法ストーンランスを放てるように作ってみた。竜の骨などの貴重品はもうなくなってしまったので普通に土を固めて作った。これに剣なども持たせて戦わせることができる。こちらは材料はいくらでもあるので100体作った。
これでユノねえさんのゴーレム軍団は200体を超えた。本当にこれは戦争できるようなレベルだな。
「ただいま〜ルーナは今日も変わりなく作業できたの〜」
「できたでしゅ」
「良かったわね〜」
珍しいなソレイユねえさんに元気がないなんて。
「うーん 大したことじゃないんだけどね〜お酒を飲んでもあんまり酔えないのよ〜雰囲気は楽しめるんだけどね〜」
俺にとって どうでもいいことだった。でも酒飲みには非常に重要なことらしい。
ソレイユねえさんはワインを飲んでもあまり酔えないと言っていた。醸造酒じゃダメってことはもっとアルコール度数をあげるって事?
蒸留酒を作らないといけないってことかな。う〜んと、蒸留機で蒸発させた後それを冷やして液体に戻したものね。前よりアルコール度数が高くなると聞いたことがある。これは前前世の記憶だな。
材料はいっぱいあるので まず蒸留器を作る。上に伸ばして別の容器に入れられるようにする。後はぶどう酒が手に入ればいいのかな。
「ソレイユねえさん、もっと濃いお酒を作りたいのでぶどう酒を買ってきてくだしゃい」
「本当!それでもっと濃いお酒が飲めるの〜!待ってて買ってくるわ〜」
しばらくするとソレイユねえさんは ぶどう酒を100本ぐらい買ってきた。どんだけ飲みたいんだよ。
早速蒸留して作ってみた。あーだめだ!こんなの匂いを嗅いだだけでぶっ倒れそうだ!この体にはきつすぎる!
マスクをつけて作業する。確かこれだけじゃダメなんだよな。熟成させないといけないだろう。
樽に入れて何年も寝かせておかないと美味しくならないんだよ。だけどソレイユねえさんはすぐ飲みたいんだよ。うーん、どうしよう。時間が早く進めば簡単なんだけど。
あるじゃない!マジックバッグの中は時間が止まってるから あれを止めないようにして、もっと早くするように調節すればいいんじゃない。
マジックバツクを作る。時間を固定しない。そのまま流す。今度は速くする。約1万倍にする。これならいいかな。これで一晩入れとけば いい具合にできてるんじゃないのかな。
「ねえねえ〜 もうできたルーナ〜?」
えーまだ入れてから5時間しか経ってないんだよ。どんだけ飲みたいんだ この人は。
「まだ足らないけど飲んでみる?」
「うんうん!」
マジックバックから樽を取り出して中身を開けてグラスに注いでみる。何かいい色合いになってきたな。匂いは?だめだー!今の俺にはきつすぎるー!
「うわー!これは美味しいわね〜 う〜ん、まろやか〜」
ボトルに2本詰めて姉さんに渡す。もう顔がとろとろになるほどに喜んでいた。
「おえー気持ち悪いでしゅ〜」
後はゴーレムに頼んで酒を買ってきた時には作って管理するようにマジックバックを渡しておいた。
「ルーナちゃん、このお酒は初めて飲むんだけれど何て言うの?」
「これはブランデーでしゅ」
俺は後日 同じ要領でビールからウイスキーを作った。姉さんが喜んでくれたので頑張って作った甲斐があった。
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