第1話 ⬜2度めの転生
気がつくと見たことのあるような真っ白な空間に自分はいた。そうだ!以前ここで女神様にお会いしたんだ。
すると次の瞬間に女神様が現れた。真っ白いドレスに艶のある白い長い髪、美しい翼が3対あり宙に浮かんでいる。
「地球人薄希空君。いやドレーヌ帝国大魔導師レオン・マーベリック殿と呼ぶべきかな」
「せっかく転生させていただいたのにすぐ死んでしまいすみません」
「ちょっと目立ちすぎたようね」
「魔法なんて初めて使ったものでつい夢中になってしまいました」
まさか味方にはめられるとは思っていなかった。一生懸命働けばいいってものでもないな。
「そう言うな。君にはもう一度アステリオンに行ってもらおう」
「女神様のせっかくのチャンスを不意にしたのに、もう一度行かしてもらえるのですか」
「元々私のミスであなたを死なせてしまったわ。当然あなたには幸せになる権利があるわ」
「ありがとうございます。もう目立つのは真っぴらです。お金をためて静かに暮らしていきたいです」
「ふふふ、そうですか。それじゃあ新しいスキルはどんなものがいいの?」
「生産系のスキルがあればいただきたいです」
「それなら錬金術がいいですね」
「ありがとうございます」
その後女神様の体が光り俺の体の中に何かが入っていくのが分かった。
「それでは行ってらっしゃい。よき人生を」
「行ってきます」
獣王連合国 竜人族の里 黒竜村
うん?ここはどこだ?布団の上で横になっている。手を見るとずいぶん小さい。また子供からスタートのようだ。
「あー気がついたのね?ルーナ。もうバタバタ走り回らないでね。手当は済んでるんだから今日はもうこのままおやすみなさい」
え?ルーナ?俺のことかな?布団のわきには30代くらいのおばさんが上から自分を見下ろしていた。
「うん・・・わかった」
ゆっくり起き上がり窓ガラスに映った自分の姿を見てびっくりした。
ピンクの髪の毛に金色の瞳、3歳ぐらいの小さな女の子がいた。
何〜?女の子〜?いや、せっかく女神様が転生させてくれたのだ。男だ女だと文句なんか言えない。
それにしても手足が痛いな。うわぁひどい!かなりすりむけてるな。
「うああ〜ん。びえ〜ん。うわあああ〜ん」
「もうやかましいわね。しょうがないでしょ!あれだけ勢いよく転んだんだから手足ぐらいすりむけるわよ」
あれちょっと不安になっただけでビービー泣いてしまった。どうもこの小さな体に気持ちが引っ張られるようだ。
魔法が使えないかな?試してみよう。ヒールだ。
「いたいのとんでけ〜」
もう治った。魔法は使えるようだ。前世の加護は消えてなかったようだ。女神様ありがとう。
俺はここがどこなのか調べてみることにした。布団から起き上がって廊下のようなところを歩いて行くと部屋がいくつも並んでいる。これは個人の家ではないな。病院じゃないな。学校か?
「よう!ルーナもういいのか?大丈夫か?」
「うん。だいじょぶ」
小さい子供から大きな子供、10歳ぐらいまでの子供がたくさんいる。20人はいるな。
建物に看板が取り付けてあるが文字が読めない。10歳ぐらいの男の子が近くにいたので看板に何て書いてあるのか聞いてみた。
希望の家だそうだ。なるほど。ここは孤児院のようなところなんだな。俺はもう少し 建物の周りを調べてみることにした。
「ふんふんふ〜ん。ららら〜ららら〜。ふんふんふ〜ん。ららら〜ららら〜」
何か楽しくなってきた。自然と鼻歌が出てしまう。
2、3時間うろうろして色々なことがわかってきた。どうやら俺たちは戦争孤児のようだ。
この国は色々な所と連合してるようだが魔族の国との争いが絶えないようだ。
戦いで身寄りがなくなった子供たちを引き取る施設なんだそうだ。
帝国に住んでいた時は戦争していたが他の国でも戦争しているんだな。
獣王連合国は魔の森をはさんで帝国の北側にあったはずだ。そして獣王連合国も魔国も帝国よりずっと強大な力を持っている。
こりゃいつまでもこんな所にいると、また戦争のとばっちりを受けるな。もっと南の方へ行った方がいいかな。
それにしても3歳じゃ何もできないしな。今は力を蓄えるか。
幸いにも前の加護も魔法の力も全て残っているので今は魔力を上げることを考えておくか。
引き続き俺は情報収集と魔法の訓練をすることにした。寝る前には魔力を全部使い切り 魔力を増やす努力をしようと思う。