ドロシーと イザベラ
3月1日 王族朝食会
ウィントクーフ国王には、9人の妻がいる。王妃エリザベートと 側室8人.9番目の妻がダイアナだ。ダイアナは、山脈の大陸南側 サザンクロス帝国の第1王女だ。帝都魔法大学院を 飛び級し、13歳で卒業。2年間冒険者として、他大陸まで 自由に大冒険を楽しんだ。16歳になると、隣国国王と政略結婚した。ウィントクーフ国王は 爽やかな麗人で、ストライクゾーンだったし 9番目は自由そうだったので結婚した。王侯貴族は、一夫多妻婚当たり前な世界 血筋が一等モノをいうのだ。王家は 9人の妻で、11人の王子と 15人の王女を誇る。大家族である。
ダイアナが、第11王子を出産して 5ヶ月、3月1日に 王家に初お披露目となった。超広い食堂?に、超デカい ドーナツ状の木のテーブル。9番目の妻と 第11王子は、王族全員に紹介され 挨拶の後、王と王妃の真向かいに座った。沈黙の中 朝食が終る。食後の ティタイムに、第15王女ドロシー5歳が トテトテと、歩いて来た。そして 赤ちゃん用子ども椅子で、ウトウトしている ぷにぷにのボクのほっぺを、思いっ切りツネッた!ムッにゅ〜ん・・・「っ!うっぎゃぁー!」ダイアナが 泣き叫ぶボクを、アヤシながら退室する。涙目のボクは、ママの肩越しに あかんべをして、勝ち誇るドロシーを天敵と キッチリ心のページに刻んだ。
「あらあらまあまあ ドロシーがゴぉメンなさいねぇ…少し赤くなっているけど、治療師に見せましょうよ?」8番目の側室が、慌てて追いかけて来てのたまった。ママから ボクを奪うつもりか?「いえいえ大丈夫です。ちょっと 驚いただけで、もう泣き止みましたし。」ママが ヒッシと抱き直し、「今日は、このまま失礼致します。」と、転移して自宅に戻った。
「痛かったですね?大丈夫ですか?ヒール!」と、ママは 回復魔法で、痛みを完全にとってくれた。ほっぺを 5歳児に、思い切り むぎゅ〜っとされたら、失神しそうな位痛いぞ!生まれて初めての 物理攻撃、「ワタクシも、油断していました。ドロシーは 可愛らしくハグか、頭を撫でると思い込んでいました。次からは 幼児であろうと、身内でも 油断大敵です。」執事の少年と、コックさんが とてもクヤシそうだ。むーん…3人の 愛を感じて、ポカポカうれしい。しかぁーし、ドロシー!次会ったら 3倍返しだ!
おっぱいを お腹いっぱい飲んで、うとうと眠る。夢の中で 考えた。異世界転生 生命の危機!ソコは やっぱりテンプレート!「ステータスオープン!」夢の中の、ウィンドウには…
【名前】 ハヤト・カーク・ウィントクーフ
【年齢】 5ヶ月 10月31日誕生
【種族】 人族〈一応〉
【職業】 第11王子
【レベル】 5〈∞〉
【称号】 秘匿
【HP体力】 100〈∞〉
【MP魔力】 100〈∞〉
【ATK攻撃力】 100〈∞〉
【DEF防御力】 MAX〈∞〉
【STR筋力】 10〈∞〉
【魔法】 全属性
【Luck運】 〈豪運〉
【スキル】 空間魔法〈時間停止アイテムBOX・転移〉
【ユニークスキル】剣聖 並列思考〈演算〉 隠蔽〈名前 年齢以外 読取り不可〉 変体
天敵ドロシーを 殲滅するには(仕返しだけよ!)、お尻を 人知れずツネる!これしかないよね?第15王女5歳なんだし、まだお尻は 青いハズ。ツネっても バレない!あとは、何かで つまずかせて、コケさせて泣かす!ボクを 攻撃したのだから、反撃は 絶対だぞ!その日 夢の中で、今日受けた攻撃と 反撃について、考察し 結論は、物理攻撃*秘技つま先押さえ*の 実行。ふっ…明日の朝食が、楽しみだ。
ステータスの レベルアップの必要性を、改めて考えた。まだ 歩けないし、筋力とか 泣けてくる、数値の低さ!とにもかくにも…もう 眠ろう。夢の中だけど、考察に疲れたよ。すうすうすやすや…
翌朝リベンジ朝食タイム! ドロシーが テーブルに近づく、コケて ちょうどタンコブが、デコにデキるタイミングが大事!椅子とデコの タンコブキッスまで、3 2 今っ!躓き(つまずき)から、椅子にオデコが ゴチん!「っ!うっぎぁー!イッたあ〜い!ギャアーん!」とにかくウルサイ!コケたままジタバタして 泣き叫ぶ!第8側室が 大急ぎで助け起こしながら「ダレかっ!治療師を呼んでっ!ドロシーが ドロシーが死んでしまうわっ!」大騒ぎである。ボクは、周りの家族と 全く同じ反応、驚いた表情をした。
メイドや 執事達が、寄ってたかって 泣き叫ぶドロシーと、母親を退室させた。その後は 静かな朝食タイム。ボクも 赤ちゃん用子ども椅子で、ミルク瓶の母乳を ちうちゅう…うとうと…「…っケプ!」と ママにダッコされて、お家に帰った。ママは、魔法使いで冒険者!Aクラスで 転移も、得意なんだ!リベンジも成功したし、ドロシーはただの タンコブで、ヒールもいらないと笑われただけだった。突然の痛みは 驚きに痛みが、倍増してしまう。人の痛みを 思い知れドロシー! そして 落ち着いた淑女になりなさいと、王様から直々に ドロシーは、お小言までくらったのだった。食後(朝の授乳ご)、今日は ゆとりで、うとうと…すやすや…眠った。
ボクは、1日1日(日々) 急成長している。うごうごモゾモゾしていて、最近まで 自分では 全く移動できなかったのに、今では コロコロと、捕まり立ちとか出来る。ナンなら 3歩位 飛べる…が、歩くのは、まだムリっぽい。でも あとちょっと、キン肉がつけば・・・むむっ…!コロリン…コロコロと、鍛錬をしている。
そんなある日「ハーくん、今日はお昼寝あと 家族広場デビューをします。広場には、兄弟(腹違い)しかいないけど、多分 全員敵です。ケンカせず、ケガしないよう 気をつけて遊びましょうね?」ママ、広場デビューいらなくないですか?でも、決定事項らしい。天敵ドロシーも 来るよね・・・
王城には、ママ専用の 転移部屋がある。そこから、王家専用ダイニングと 王家専用屋内広場に行ける。王城は 5つの塔がある、某シンデレ○城の ドテか版なのだ。そして、ママと ボクの住んでる場所は、秘密なのだ。ママが転移出来てよかった。そうでなければ、住んでいる部屋がばれて、ドロシーの突撃は 止められないだろう。転移したあとの、 朝食タイムは ドロシーの突撃タイムなのだから。今では、静かなハタキ合いが 日課なのだ。頭を撫でる様を 装って、ツネろうとするドロシーの両手を 躱すことが、普通に出来る赤ちゃんが ボクだ。しかし、座る場所も 決まっていない広場は、未知の世界だ。ママ!ボクを 護ってね!
ママの転移部屋から、フルオープンになっている 広場に入る。何気なく よそよそしい雰囲気が漂う。今広場にいるのは、ドロシーと ドロシー ママのイザベラ。第一王子の嫡男イーサンと イーサン ママのマーガレット、あと数人。みんなビミョーな距離で バラバラに遊んでいる。ナノに、ドロシーだけが、突撃してくる…ウザい…面倒くさい。楽しくない時間が 始まる。