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「レイ様、ご機嫌ですね」

俺が鼻歌を歌いながら、シャワーを浴室で浴びていると、イスカが浴室のドアの外から、声をかけてきた。

「まあ、良いことがあったんだよ」


数メートルではあるが、ようやく縮地が使えるようになったのだ。

大きな進歩である。


俺も結構デキるようになったのだ。

まあ、使えるようになったきっかけがロトから逃げるため、というのが情けない話ではあるが。


こうして、シャワーで、実習でついた泥を流してから、ハーケン師匠に会いに行った。


「ほら、師匠、見てくださいよ」

数メートルではあるが縮地を成功させる。


師匠は、嬉しそうだった。

「よくやった、それを極めていこう。

これでもう俺の教えることは、ほとんどない。

後は、実践あるのみだ」

俺は頭の中に?が並んだ。


「えっと、他にないんですか?」

「ああ。

縮地で相手との距離を詰めたら、剣をふるえばいい。

後は、真向切りか、袈裟切りか、一文字切りか、刺突か、ぐらいの違いしかないぞ」


あれ、もしかして、この人、脳筋?


「師匠から他の戦技を教えてもらえたりしないんですか?」

「うん?剣士共通の戦技は基本的に縮地のみで、他は自分で開発していくんだよ。

実践とか鍛錬を通じてな」


あ、そういうことだったのか。

ゲームだと、ロトの剣術のステータスを伸ばすと、レベルアップで戦技を覚えたのは、そういう理屈だったのか。


「よし、じゃあ、打って来い」


俺は、師匠の胸を借りるつもりで、剣を袈裟にふるった。


一時間後、俺は、ボロ雑巾みたいに地面にへばりつく羽目になった。

俺結構デキるじゃん、って思ってた自分の心もズタボロになった。




「イスえもーん」

「はいはい、どうしました?」


夕食の準備をしていた彼女は手を止めて、迎え入れてくれた。


やはり、彼女の懐は海より広く、谷より深い。

そして、マシュマロよりも柔らかい。


「さきほどまで、あんなにご機嫌だったのにどうしたんですか?」

「ちょっと、調子に乗ってたわ。

俺、自分が剣術の才能あるんじゃないかって」

「メイド仲間の噂ですけど、ハーケンさんの厳しい指導にこんなに耐えている人は珍しいそうですよ。

それに、ハーケンさんがあれほど熱心に指導なさっているのも見たことないって、聞きましたよ。

きっと、有望だから、厳しくしているのではないのでしょうか」

「ありがとう。イスカ」


彼女がほほえむと、後光がさして見える。


過去の自分の考えを訂正した方が良いな。


彼女は、聖女ではない。女神だ。

誤字報告機能があることに気が付いていなかったので遅れましたが、

誤字報告ありがとうございました。

適用しておきました。

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